多様な不動産事業領域で活躍する各社の強みを磨きあげ、掛け合わせることで、グループの新たな成長ステージを切り拓く。
その先頭に立つのが、第一ライフ丸紅リアルエステート。2025年7月、Daiichi Lifeグループ・丸紅グループの国内不動産事業統合で生まれた持ち株会社だ。
統合の狙いや目指す姿を、代表取締役社長の金子伸一郎氏に聞く。

不動産投資市場の現況をどうご覧になりますか。

金子 いま、本業回帰のトレンドが強まる中で、企業がノンコアと位置付けた不動産事業から撤退したり、バランスシートの改善に動いたりする中、大型の不動産取引が加速しています。国内不動産の取引総額は2025年度、過去最高水準を記録したほどです。海外の投資家が円安を背景に活発に不動産投資市場に参入してきていることも、不動産投資市場の活況を後押ししています。
 昨今の金利上昇は、不動産ファンドや不動産投資信託(REIT)の運用上ネガティブに働きますが、インフレが進行する中で賃料上昇の動きも広まってきており、それが金利上昇の影響を打ち消しているため、投資リターンは十分に確保できる状況です。賃貸オフィスでは、建築工事費の高騰で供給が制約されたことから需給がひっ迫し、賃料上昇につながっています。また賃貸マンションでも供給制約に加え、分譲マンション価格の高止まりを背景に需要が押し上げられ、需給ひっ迫を招いたことから、賃料上昇が見られます。

そうした中、事業統合に踏み切りました。対象の事業は、不動産私募ファンドやREITを運用するアセットマネジメント(AM)事業、不動産の開発・保有事業、不動産を管理するプロパティマネジメント(PM)事業の3つです。これらの事業を手掛ける7つの事業会社を、第一ライフ丸紅リアルエステート(DMRE)傘下に置いています。統合の狙いを教えてください。

金子 上場REITや私募REIT、私募ファンドなどの優良な不動産投資商品を安定的に提供し続けられる体制を強化し、事業をより成長させていくことが狙いです。

 基軸に据えるのは、AM事業です。老後2000万円問題が話題になったことやNISAなどの税制優遇制度による後押しを背景に、貯蓄から投資へ、という時代の大きな流れがあります。年金基金をはじめとする機関投資家も投資先の多様化を求めています。ところが国内の不動産投資市場には、資金の受け入れ先となる投資対象が足りない。例えば日本の年金基金のREITへの投資比率は米国と比べるとはるかに低く、REITへの投資拡大余地は大きい。こういった背景から、不動産投資市場は拡大基調にあるとみています。優良な投資商品を投入していくことで事業成長を実現する。同時に、経済活性化や人々のFinancial well-beingにもつなげていきたいと考えています。

 基軸のAM事業を開発・保有事業とPM事業で支え、事業成長を加速させます。

 開発事業は、仕入れた土地を収益を生み出す物件に作り替えていきます。PM事業は不動産の収益性を維持・向上させるのに必要な管理サービスを提供します。つまり開発事業で収益不動産化した物件を、AM事業が不動産投資商品化して運用し、それをPM事業で管理して収益性を向上させていく――そうした一気通貫に対応できる価値創造プロセスを生み出しています。このプロセスを通じて、グループ内で資産循環しながら、アセットライトな事業構造を構築し、優良な投資商品を市場に安定的に提供していくわけです。

ご説明いただいた価値創造プロセスの下、優良な不動産投資商品を安定供給していくうえで、DMREグループはどのような強みをお持ちですか。

金子 AM事業の肝は、優良な物件を適正価格で仕入れることで実現する「外部成長」と、ポートフォリオ内の収益性を高めることでもたらされる「内部成長」の2つです。

 外部成長を図るうえでは、優良な物件を安定的に不動産投資商品に組み入れることが不可欠です。そこでは、不動産投資市場のトレンドを踏まえて最適な物件を取得するソーシング力が求められます。また、物件の価値を見極めたうえで、適切な価格で取得する目利き力も必要です。これらの力を、グループ傘下のAM事業会社が備えています。

 またグループ傘下には、Daiichi Lifeグループと丸紅グループから開発事業会社2社が加わっています。これら子会社2社が開発した物件を、不動産投資商品を構成する物件としてAM事業に供給します。裏を返せば、AM事業会社側が把握する投資家ニーズを物件開発に反映させられるわけです。開発機能を併せ持つことで、不動産投資商品としての魅力を一段と高められます。

なるほど、AM事業と開発事業の連携を強みに変えていこう、と。

金子 はい。Daiichi Lifeグループ出身の相互住宅はこれまで、自社保有を前提に主に賃貸住宅を開発するというビジネスを展開してきました。一方、丸紅グループ出身の丸紅都市開発はこれまで、分譲住宅のように開発した物件を第三者に売却する事業を進めてきました。どちらも、各グループ内でのAM事業との連携は、そう強くありませんでした。事業統合を契機に、その連携強化に力を入れていきます。

一方、内部成長という観点からは、何が強みになりますか。

金子 内部成長を図るうえではまず、マーケットにおける適切な賃料水準をタイムリーに把握したうえで物件ごとに賃料を増額し、物件単位の収益性を向上する必要があります。次に市場の動向を見据えながら適切なタイミングで物件を入れ替え、ポートフォリオの最適化を図ることも求められます。物件単位の収益向上と物件ポートフォリオのリバランスを通して、投資リターンの最大化を追求するわけです。

 ここで強みになるのは、グループ傘下のPM事業会社の存在です。Daiichi Lifeグループ出身の第一ビルディングは、主にオフィスビルの管理を手掛けるPM事業会社です。全国に拠点を展開し、ネットワークを張り巡らせています。一方、丸紅グループ出身の丸紅リアルエステートマネジメントは、主に商業施設やオフィスビルを管理するPM事業会社です。商業施設やオフィスビルのほかにも賃貸マンションやホテルなど幅広い用途で事業を展開中です。

 このPM事業会社2社を傘下に置くことで、DMREグループでは、どのエリア・用途でもPM事業に対応できる体制を整えました。第一ビルディングでは目下、インフレ環境を踏まえて、全国で賃料改定の協議を進めています。そのノウハウは長年にわたるPM事業会社としての実績を通して蓄積されているため、物件に応じて適切な賃料水準を把握し、賃料増額を通して価値創造をしていく力に長けていると自負しています。

 市場環境に応じた適切な賃料改定を通して物件の収益性を維持することで、管理・修繕の質を高めることにもつながります。オーナーだけでなく、テナントにとっても、メリットがあることなのです。

事業統合から1年経過しました。成果は表れていますか。

金子 はい。第一生命保険を主要投資家とする私募ファンド「DMREファンド」を、AM事業会社の一つである丸紅アセットマネジメントが組成し、運用し始めました。現在4号ファンドまで運用を開始しており、運用資産規模は2026年7月現在、1~4号の累計で900億円超に達します。1~4号の投資対象資産は、賃貸マンションに加え、物流倉庫やデータセンターといった時流に乗った用途も取り扱っています。

金子 開発事業では相互住宅と丸紅都市開発の共同案件が動き出しています。例えば、東京・目白と東京・赤羽に立地する賃貸マンションの開発です。この2社はともに、住宅開発を手掛けてきました。実績を重ねる中で磨き上げてきた互いの知見を掛け合わせ、賃貸マンションにおける新たな価値の創出を目指します。

 PM事業ではAM事業との連携を強化しています。グループ傘下のAM事業会社が投資商品化する不動産の中でグループ外のPM会社に管理業務を委託していた物件については、投資家に対するメリットや運営効率、更にはコンプライアンスの観点を慎重に検証したうえで、投資家の利益に資すると判断される場合には、傘下のPM会社への委託先の切り替えを検討します。

AM事業の肝であるAUMについて、2030年度3兆円という将来目標を掲げています。現在2兆円に達していますから、残るは1兆円です。外部成長にしても内部成長にしても、どのように達成していくお考えですか。

金子 「DMREファンド」のような私募ファンドのほか、私募REITや上場REITを交え、3つの商品ラインアップで達成していきます。いずれにしても、投資家に対してより良い投資機会と投資リターンを提供していくことが大事です。各ラインアップをそれぞれ受け持つAM事業会社3社が、目利き力を発揮すると同時に、グループ内の開発機能やPM機能とうまく連携することで、投資家の期待に応えていきます。

 開発機能では、不動産の再生事業にも乗り出したいと考えています。背景には、建築工事費の高騰があります。不動産の再生手段としては、建て替えだけでなく、リノベーションや改修も有力になってきました。グループ内でも、リノベーションの事例が出始めています。そうした事業を本格展開し、開発機能の強化につなげていきます。

グループビジョンには「Well-Going.」を掲げています。「Well-being」と「Going」を掛け合わせた造語とお聞きしています。どんな思いを込めていますか。

金子 このビジョンは、DMREグループで管理・運営する不動産の利用者、開発した分譲マンションの購入者、組成したファンドの投資家をはじめとする多くのステークホルダーに対して、グループの事業を通じて持続的なWell-beingを提供したいという思いを込めています。それによって「DMRE」という安心のブランドを確立し、投資家から信頼されて選ばれる企業グループに成長したい――。そんな将来像を描いています。

問い合わせ先

第一ライフ丸紅リアルエステート株式会社

〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-2-3
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