1 AI時代に問われる企業の「競争力の源泉」の守り方・活かし方 2 ソブリンAIとは――「自分たちでコントロールできる」こと 3 AIを使うほど問われる「どこまで自社でコントロールするか」

生成AIは単なる業務効率化のツールではない。企業が長年蓄積してきた技術やノウハウ、業務ルール、判断基準といった「知識資産」を活用し、企業競争力そのものを左右する存在になりつつある。

一方で、AI活用が進むほど、「自社の知識資産を自らどのように守り、どこまでAIに預け、そしてどこまでコントロールするのか」という新たな経営課題も浮上している。

知識資産は企業の“頭脳”だ。AI時代に、それをいかに守り、競争力につなげていくべきか。そして安心安全なAI活用の在り方とは何であるか。考え方のキーワードとなるのが「ソブリニティ(主権)」だ。

富士通のコンサルティング事業Uvance Wayfindersを率い、顧客の企業変革に向き合う習田晋一郎氏がナビゲーターとして自社のキーパーソンに問いかける本企画。コメンテーターには、日経BP 総合研究所フェローの桔梗原富夫氏を迎える。第3弾の今回は、富士通執行役員専務 プラットフォームビジネスグループ長の古賀一司氏とともに、企業は競争力の源泉となる自社の知識資産を見極め、どのように守っていくのか、どの部分を自らコントロールしなければいけないのか、を考える。

AI時代に問われる 企業の「競争力の源泉」の守り方・活かし方

習田 これまでのAIは、どちらかというと個人の仕事をサポートするツールとして使われてきました。しかしAI時代においては、日本企業が長年蓄積してきたデータや業務ルール、さらにはベテラン社員が培ってきた業務ノウハウや暗黙知そのものが、企業の強みになっていきます。
一方で、AIの活用が広がることで、こうした知識資産が国や業種の壁を越えて流通・活用されるようになりました。企業が長年築いてきた強みを、どう守り、どう活用していくのかが大きな課題になっています。

これは単なる技術の話ではなく、企業経営や産業競争力、ひいては日本の国力にも関わるテーマだと考えています。

古賀さん、現状のAIにまつわる企業の課題を、どのように捉えていますか。

習田 晋一郎氏【ナビゲーター】
富士通 Global CEO & Senior Managing Partner, Uvance Wayfinders

米国ブラウン大学工学部卒。流通、消費財、製造、製薬、プライベートエクイティー業界を中心に、戦略立案から実行・運用までのプロジェクトを日本・北米・豪州で多数経験。アクセンチュアの北米拠点においては、経営・事業変革、業務効率化、DXなど企業価値の向上に従事、また複数のプラクティスリードを経験。コンサルタントとしての経験に加え、UNIQLO USAのCMO(Chief Marketing Officer)として、ブランドのターンアラウンドに参画、欧米市場での成長基盤の構築に貢献。日本と北米での豊富な経験を生かし、企業の成長を支援。2025年3月より富士通に参画し、Uvance Wayfindersのグローバルなビジネス展開と組織変革を推進。

古賀 まさにAIの問題は企業競争力を超え、国力にすら直結するテーマになりつつあると感じています。
日本の製造業には、数十年かけて培われた生産技術や設計ノウハウ、現場の暗黙知が多く蓄積されています。これらは企業の競争力の源泉であると同時に、日本の産業競争力を支える重要な資産です。

だからこそ、「便利だから」「効率化できるから」という理由だけで、重要なデータを外部のプラットフォームに簡単に預けるわけにはいきません。今後はAI活用を「便利だから使う」から一歩深め、自社にとって最も重要な知識資産は何か、どのようにそれを守るのか、そのためにはどのような技術、運用、基盤でどこまでコントロールするべきか、そういった視点で企業自身が適切にコントロールする必要があります。

古賀 一司氏【メインスピーカー】
富士通 執行役員専務 プラットフォームビジネスグループ長

1988年、富士通入社。保険業界を中心に20年以上金融営業を経て、ロンドン・シンガポール駐在中に欧州・アジアでの金融ソリューション展開とセールスを責任者として推進。2021年執行役員常務として国内インフラサービス、社会課題解決に向けたグローバルインフラサービスを統括。2025年4月より現職。2万人の技術者集団を率いて、ハードウエア、クラウドなど、すべてのインフラストラクチャ関連サービスをグローバルに展開している。

習田 まさに、AIの活用が広がれば広がるほど、リスク管理の重要性も高まりますね。AIを積極的に活用しながら、リスクをどうコントロールしていくかが重要なテーマになっています。

古賀 この問題は「自社の競争力の源泉を、AI時代にどう維持・発展させるか」という経営・事業戦略のテーマといえます。

桔梗原 同感です。今年6月の「Mythos」の事件は、私たちに「最先端AIを米国だけに頼る怖さ」をまざまざと見せつけました。AIが社会や企業活動を支える重要なインフラになりつつある中で、米国の政策や規制次第で、昨日まで使えていたサービスが突然制限されるリスクが現実のものとして意識されたのです。
パブリッククラウドの普及時にも同様の議論はありましたが、多くの企業はあまり深刻に受け止めていなかったと思います。Mythosの事件が起きて、一瞬にして海外情勢や政治判断がサービスの利用に大きく影響することが明らかになり、AIに対する見方が大きく変わりました。利便性や性能だけでなく、「企業にとって重要なデータや知識資産を誰がどのような技術で、どこまでコントロールするのか」という視点が重要になっています。

桔梗原 富夫【コメンテーター】
日経BP 総合研究所 フェロー

早稲田大学理工学部卒業。SI会社を経て1987年日経BPに入社。主として企業情報システムの動向やIT企業の事業戦略を取材・執筆。「日経IT21」「日経ソリューションビジネス」「日経コンピュータ」の編集長を経て2010年コンピュータ・ネットワーク局長、2012年執行役員。2013年日経BP総研 イノベーションICTラボ所長、2018年4月から現職。

ソブリンAIとは―― 「自分たちでコントロールできる」こと

古賀 「海外への依存から脱却し、自国・自社で技術を守る」という動きは、すでにグローバルな潮流(トレンド)になっています。実際に欧州では、今年6月欧州委員会が「欧州技術ソブリンパッケージ」を発表するなど「ソブリニティ(主権)」が大きなテーマになっています。特に欧州のデジタル・AI戦略において、「ソブリンウォッシュ(見せかけの主権)」をどう排除するかが大きな議論の的となっており、企業が自社にとって重要なデータや技術を誰が管理し、どこまでコントロールできるのかを重視する考え方を土台にしています。

海外のサービスや技術への依存リスクが顕在化したことで、欧州企業はデータ管理や技術基盤の自立性に強い関心を持つようになっています。これは日本だけの課題ではなく、世界中の企業が向き合うべき重要なテーマです。

習田 AI時代におけるソブリニティの確立を「ソブリンAI」と捉えると、これはどういった状態を指すのでしょうか。

古賀 端的に表すなら、自分たちが必要なときに、他者の判断によって利用を止められることなく、自分たちの意思でコントロールし、使い続けられる状態を指します。例えば、外部の判断や影響でサービスが突然停止され、利用を続けられなくなるようなリスクを排除しなければなりません。
そのためには、データを保有するだけでは十分ではありません。技術や運用も含めて主体的にコントロールできることが重要です。どこにデータがあり、それを支える技術や運用がどのように管理されているのかまで把握し、自らの意思で管理できる状態を維持することが求められます。

習田 コントロールの対象は、データだけではないということですね。

古賀 その通りです。データ保護は大前提ですが、それを支える技術や運用まで含めて適切に管理できなければ、トラブル発生時にお客様に十分な対応ができなくなる恐れがあります。だからこそ、データだけでなく、技術、運用、インフラ、サポート体制を含むAI基盤全体について、自社がどこまで主導権を持ち、手掛ける事業において重要な領域をどこまで自らコントロールする必要があるのかを見極めることが重要になります。
そのため、データやAIだけでなく、それを支えるハードウェアレイヤーまで含めてどこまで主体的にコントロールできるかが重要になります。富士通では、自社開発CPU「FUJITSU-MONAKA」に搭載するコンフィデンシャルコンピューティング技術などを通じて、データの機密性を確保しながらソブリニティを支える技術基盤の強化にも取り組んでいます。

実際に欧州企業のお客様と話していると、ソブリニティに対する感度や意識が急速に高まっているのを肌で感じます。欧州では今、AIやクラウドを評価・調達する際に「ソブリニティ(主権)」を重視する考え方が急速に広がっています。その実効性を測る指標として使われ始めているのが、欧州委員会が定めた「SEAL(主権実効性保証レベル)」と言う評価基準です。
SEAL1はデータが国内(域内)に所在するサービスを利用するレベル、SEAL2はデータ管理の主導権を確保するレベル、SEAL3は運用面までコントロールするレベル、そしてSEAL4は技術基盤そのものの自立性まで確保するレベルと考えると分かりやすいでしょう。重要なのは、全ての面でSEAL4を目指すことではなく、適材適所で必要なレベルを選択し、組み合わせて運用することです。

背景には、米国の「CLOUD Act」(米国当局が米国のクラウド事業者に情報開示を求められる法律)への懸念や、海外ベンダーへの依存リスクがあります。欧州では、実際に同法が適用された事例の有無よりも、「適用される可能性がある」こと自体を重大なリスクと捉える声が強まっています。
また、表面上はソブリニティを掲げながら、その実態は結局海外ベンダーへの依存状態という「ソブリンウォッシュ」への警戒感も強まっています。

習田 言葉で言うほど、ソブリンAIを確立するのは簡単ではないということですね。

古賀 仰る通りです。実際、欧州では「本当に自分たちでコントロールできているのか」までを厳しく評価しようという動きも広がっています。一方でソブリンとは「すべてを自前で持つ」という意味ではありません。
重要なのは、多様な海外の技術やサービスを活用しながら、自社にとって重要な資産となるデータは何で、それをしっかり守るために使う技術、運用などの領域に対するコントロールを確保するという考え方です。

桔梗原 欧州には以前から、GDPR(一般データ保護規則)に象徴されるように「データは自ら守るべきだ」という強い思想が根付いています。米国をはじめとする海外プラットフォームに重要な情報を依存することへの警戒感も強く、そうした意識がソブリニティへの関心の高さにつながっているのでしょう。

習田 とはいえ、SEAL4(技術基盤そのものの自立性まで確保するレベル)のような高いレベルのソブリニティを実現しようとすると、欧州域内の技術を中心に構成する必要があり、米国企業が持つ先進的なAI技術を活用しにくくなります。難しい面もあるのではないでしょうか。

古賀 どこまでソブリニティを求めるかは、企業によって異なります。重要な領域ではSEAL4の高いレベルでコントロールを確保したいという企業もあれば、SEAL2(データ管理の主導権を確保するレベル)程度をベースに先進的なAI技術を積極的に活用しようとする企業もあります。

大事なのは、二者択一で考えないことです。重要な業務領域では高いレベルのコントロールを確保しながら、海外の技術やサービスも活用していく。そのバランスを取ることが重要です。
ソブリンAIの実現に向けて、リスク管理とAI活用を両立するために、自社にとって何が重要かを見極めた上で「自社でコントロールすべき領域」と「外部の技術・サービスを積極的に活用する領域」を、企業ごとの要件に応じて切り分けることが重要になります。

AIを使うほど問われる 「どこまで自社でコントロールするか」

習田 AI活用は個人業務をサポートするフェーズから、企業固有のデータやノウハウ、熟練工の匠の技といった暗黙知をAIに取り込むフェーズに移りつつあります。熟練工がなぜその判断を下したのか、という「コンテキスト」までを形式知として蓄積・活用することこそが、次の競争優位の鍵になります。

ソブリンAIを実現するためには、どのような基盤や仕組みが必要になりますか。

古賀 AIが企業固有の知識を扱い、業務や判断に関わるようになればなるほど、「AIを使えること」だけでなく、「そのAIやデータを、誰がどのようにコントロールできるのか」が重要になってきます。

製造業では、熟練者の判断や経験といった「暗黙知」を形式知化し、AIに活用させる取り組みが始まっています。そのなかで、製造現場で生まれる重要データを外に出さずに自社内でしっかり守りたい、そのために自社内で閉じた環境でソブリニティを実現・運用したいというニーズが高まっています。

AI活用が進むほど、企業の宝である重要なデータや知識資産をどのように守り、コントロールし、安心安全にAIを活用するかを早期に考えることが重要になります。

富士通もコンパクトな専有型AIプラットフォーム基盤「Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factory」を提供していますが、引き合いは急速に高まっています。「Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factory」の特長はデータを外に出さない自社専有の環境の中に、当社のAI領域の先端技術群を使い、AIの開発から学習、運用までのサイクルを丸ごと内製化できる点にあります。さらに、富士通独自のAIトラスト技術も組み込まれており、9,000種を超える脆弱性に対応したスキャナーとガードレールでハルシネーションやセキュリティリスクを自動で検知・抑制しながら、安全にAIを自律進化させ続けることができます。米国企業を始めとする外部の技術・サービスをうまく活用しながらも、重要なデータは自社内でしっかり守りたい。そうした企業のニーズにお応えしています。

桔梗原 私が取材した企業の中には、自社専用のLLM(大規模言語モデル)を構築し、研究所で蓄積してきた貴重なデータを活用して新たな価値創出を目指す企業もありました。こうしたデータはまさに企業の競争力そのものであり、厳格な管理が求められます。だからこそ、企業独自のデータを安全に活用できる基盤として、プライベートAIやソブリンAIへの関心が高まっているのでしょう。

古賀 26年2月に富士通は日本国内でAIサーバを開発、提供していく方針を発表しましたが、欧州企業を中心に大きな反響がありました。背景には、特定の国やベンダーへの依存を避けたいという欧州企業側の意識があります。そうした中で、日本発かつ日本でコントロールされたAI基盤は、有力な選択肢の一つとして受け止められています。
メイド・イン・ジャパンのAI基盤や先端プロセッサー技術、低消費電力化技術などは、富士通の強みの1つです。例えば、私たちの研究所が開発した「1bit量子化技術」は、推論時の計算負荷とメモリ消費量を最大94%(約16分の1)も劇的に低減させることができます。これにより、従来はハイエンドGPUが4枚必要だった大型の生成AIモデルを、ローエンドGPUわずか1枚で高速に実行することが可能になりました。メモリ不足や電力消費、そして莫大なコストが課題となるAI導入において、この技術は非常に大きな経営的インパクトをもたらします。
こうした期待は、半導体の分野でも広がっています。先月9月14日に発表した富士通が2026年11月よりグローバルに販売提供開始予定の国産次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」及び「Fujitsu MONAKA Server」は、ソブリンAI基盤を支える中核技術の一つです。最新の2nmプロセス技術を採用し、CPU単体でのAI推論やコンフィデンシャルコンピューティングを可能にします。
欧州でも半導体の自立に向けた取り組みは進んでいますが、実現には時間がかかります。そうした背景もあり、今後日本発の技術への関心はさらに高まっていくと見ています。

習田 富士通は、自身がIT機器を生産するメーカーでもあり、自社内でソブリンAIの構築と活用を進めていますよね。最近ではどういった取り組みを進めていますか。

古賀 当社の笠島工場(石川県かほく市)では、世界一となった「富岳」をはじめ、世界トップクラスのコンピュータを製造してきました。現在は工場のリニューアルを進めており、メイド・イン・ジャパンのAIサーバの生産に取り組んでいます。

サーバ機器は、数万種類にも及ぶ多品種少量生産を特徴とする製品です。フィジカルAIでは、製造現場に蓄積されたデータや熟練者のノウハウをAIが学習し、現実世界で判断・実行まで担うようになります。例えば製造現場では、熟練技術者が長年の経験から短期間で何万点とある部品の中から必要なものを瞬時に判断し、組み立て方法や作業手順、品質を確保するためのノウハウが存在します。これらは何十年もの実践を経て培われた、まさに企業の競争力の源泉です。
こうした暗黙知をAIで活用する動きが進んでいますが、だからこそ、企業の強みそのものである製造ナレッジを外部に流出させることなく、自らコントロールしながら安全にAIを活用できるソブリン環境が重要になります。当社の笠島工場では、フィジカルAIを活用した先進的な生産システムの構築を進めています。その過程で、自らソブリンAI環境の構築と運用に取り組み、Customer Zero*として実践的な知見を蓄積しています。そこで得られた我々の経験値とノウハウをお客様にも共有し、お客様ごとに異なる「どこまでコントロールすべきか」という要件に応じて、ソブリンAI環境の実現と運用に生かしていきたいと思います。

* 新しい技術やサービスをまず自社で実践し、そこで得た効果や課題、実装上の知見を検証した上で、顧客への提供に生かす考え方

習田 今日のお話を聞く中で、経営者にはまず「自社の競争力の源泉は何か」を見極めることが求められていると感じました。その上で、それをAIでどう活用し、同時にどこまでコントロールするのかを考えることが必要ですね。

古賀 その通りです。ソブリンAIを企業価値につなげるには、基盤を整備するだけでは不十分です。
富士通は、ソブリン環境を実現するインフラやAI基盤の提供に加え、構想策定から業務変革のコンサルティング、実装・運用までを一気通貫で支援できることを強みとしています。この一連の取り組みを「ソブリン・オーケストレーション」と呼んでいます。

桔梗原 これからの経営は、AI抜きには語れません。企業固有のデータやルール、判断基準、暗黙知は競争力の源泉であり、AIによってその価値をさらに高めていく必要があります。競争力の源泉である自社の情報資産をどう守り、どう活用していくのか。今こそ、経営者が主体性を持ってソブリニティの在り方を定め、競争優位の確立につなげていくべきです。

その点で、多くの経営者はAIの価値を投資対効果(ROI)の観点から捉え過ぎているように感じます。もちろんROIは重要ですが、AIは単なる効率化の手段ではなく、将来の競争優位を創出するための戦略的な投資でもあります。その一歩を踏み出せるかどうかが、これからの企業間格差を決定づけることになるでしょう。

古賀 同感です。AI投資は、目の前の投資対効果(ROI)だけでなく、未来の競争力となる将来価値も含めて判断する必要があります。その決断を先送りすれば、世界のライバルとの差はさらに広がる一方です。だからこそ、私たちはその将来価値を示しながら、お客様の意思決定も支援していきたいと考えています。

習田 ROIという短期的な『目先の物差し』だけで考えていては、企業の頭脳を守り、進化させるという長期的な投資決断はできません。富士通は技術の提供だけでなく、AI活用に関するコンサルティングまで含めて一気通貫で支援できるところが強みです。まずは、すぐに成果が見込める領域から着手し、その先の競争力につながる投資へ広げていくことが重要です。日本企業には、ぜひAIへの投資を続けてほしいと思います。それが大きなリターンとなって返ってくるはずです。

AI時代に、なぜ「ソブリン」が重要なのか

富士通は、AIに信頼を組み込むための「Trust in AI」を5つのコア要素で可視化している。今回の鼎談では、その中でもAIやデータ、そして競争力の源泉となる知識資産を、誰がどのような技術や運用で、どこまでコントロールできるのかという「ソブリン」の観点に着目した。

ソブリン(主権)とは、企業がAIやデータ、プラットフォームを自らコントロールし、外部の影響を受けずに活用できる状態を示す。

しかし、全ての領域で完璧なソブリンを目指すのは現実的ではない。だからこそ、富士通はコンサルティング事業「Uvance Wayfinders」を通じて、企業ごとに異なる「守るべき知識資産」を特定し、適材適所のソブリン戦略を策定する上流の構想策定から支援している。

その上で、安全なデータ連携を実現する「データ・AIスペース連携技術」、AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」、エンタープライズ向け生成AI「Takane」、専有型AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factory」、そして国産次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」や国産AIサーバ「Fujitsu MONAKA Server」などの高度な要素技術を最適に組み合わせ、データからAI、インフラまでを含めた安全なソブリン環境を構築する。

このように、構想策定のコンサルティングから高度な技術実装・運用までを一気通貫で支援する「ソブリン・オーケストレーション」を通し、企業が競争力の源泉となる情報資産を守りながら、安心してAI活用を進められる基盤を提供する。

「Trust in AI」の5つのコア要素の説明文
(出典)Uvance Wayfinders作成