――先に挙げた企業の課題を受け、タクシーアプリ『GO』の法人専用サービスとして『GO BUSINESS』をスタートされました。その背景やコンセプト、ガバナンス強化に資するメリットとなる機能について教えてください。
中西 当社では、「移動で人を幸せに。」をミッションに、時代に合わせた「移動」のアップデートを通じて、日本の社会課題の解決を目指しています。その1つとして、2020年にリリースしたタクシーアプリ『GO』では、「誰でもスマートフォンを使ってすぐにタクシーが呼べる」という世界観を目指し、全国47都道府県でエリア展開を実現し、現在では国内No.1※1タクシーアプリとして広く認知されています。
その『GO』アプリで築き上げてきたサービスの利便性を大前提に、『GO BUSINESS』においては、法人利用に特化したサービスを提供しています。
最大の特徴でもある、「請求書払いサービス」による経費精算の効率化や、PCブラウザからのタクシー手配など、法人利用に最適なサービスの提供を通じて、企業の業務効率化やガバナンス強化をご支援しています。
とくにガバナンス強化に寄与するのが、乗車管理機能による「利用状況の可視化」の実現です。利用日時、乗降車地、利用金額といったログをリアルタイムで一覧できるため、ガイドラインで定められた利用以外のケースなども客観的なデータで把握でき、実態を踏まえたガイドラインの適正な見直しや改定の実現に貢献します。システム側でログが自動連携されるという状態は、利用者に対する不正の抑止力としてもワークしています。
※1:Sensor Tower調べ|タクシー配車関連アプリにおける日本国内ダウンロード数(App Store/Google Play合算値) 調査期間:2020年10月1日~25年12月31日
実際に、あるクライアントの事例では、社内ルールとして、「利用用途」を利用者自身が書き込む「乗車メモ」機能を併用することで、適正ではない利用の抑止力強化につながったというお声も頂戴しています。
太子堂 不正を「発見」するだけでなく「予防」するためにも、経費の利用実態を正確に把握するチェック体制を構築する必要があります。すなわち、経費精算における明確な社内ルールを設定した上で、日常業務の中に経費の利用実態を把握し、社内ルールに従った使用の有無を確認できるモニタリング機能を組み込むことで、不正は簡単にできないという「見られてる感」を醸成することが可能となります。
その観点からも、タクシーの利用記録が自動的に可視化される仕組みは、不正利用に対する心理的な抑止力を働かせる効果が期待できそうですね。また、経費処理のプロセスが効率化されると同時に、客観的なデータに基づいて利用実態を検証できる点は、判断の明確性に資するため、不必要な疑念の回避にもつながるのではないでしょうか。
中西 さらに、1月21日からは、管理者が設定したルール外の利用をリアルタイムで特定・通知する新機能「利用検知」の提供を開始しました。これまで膨大な利用履歴を目視で照合・確認する能動的な管理が必要だったのが、ルール以外の利用が発覚した際に、管理者に「アラート」が通知される仕組みです。これにより、管理部門の負担軽減とともにガバナンスの徹底をサポートします。
将来的には、AIを活用して、管理者側が介入せずとも自律的にタクシー利用の当否を判別するような機能の搭載の実現に向け、開発を進めています。
太子堂 会計上の異常値チェックや内部監査でもDXやAIの活用が進んでいます。テクノロジーの力による新たな進化にも期待大ですね。
――最後にガバナンス強化に取り組む企業のマネジメント層に向けてメッセージをお願いします。
太子堂 大前提として、そもそも「小口不正」は会社財産を毀損する犯罪行為ですから、経費利用に関するチェック体制を構築して抑止力を働かせた上で、発覚時には適切な社内処分をするなどして、不正を働くことが本人にとって「割に合わない」という認識を持たせる体制構築が欠かせません。不正が発覚すれば、社員のキャリアや人生にも重大な影響が生じる可能性があります。内部統制は、「会社を守る」だけでなく、社員が不正に手を染めることを未然に防ぐ、「社員を守る」仕組みでもあります。
多くの企業が、意欲的な攻めのビジネスチャレンジを許容する環境と、不正を許さない厳格な統制の両立を図り、持続的成長を実現していけるよう、私自身もガバナンス強化に向けたサポートに注力していければと考えています。
中西 内部統制をはじめ、コーポレート部門の強化・整備があってこそ、事業は健全に成長できるものであり、社員が様々なルールを「やらされている」と捉えるか、「事業成長に不可欠なもの」と理解できるかで、業務への取り組み方も大きく変わってくると思います。
太子堂先生がおっしゃったように、内部統制が単なる社員の監視・管理強化が目的ではないように、『GO BUSINESS』も経費削減や効率化だけが目指すゴールではありません。利用者と管理部門を守るだけでなく、会社全体の「攻めと守りのガバナンス」に寄与するサービスであり、導入いただいたクライアントからは「なくては困るサービス」として、日々の業務でご活用いただいています。
今後も、お客様からのお声を頂きながら、企業の持続的成長につながるガバナンス強化に資するサービス向上に努めてまいります。