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対話×AIで現場を変え、経営を変える

成長に向けた実践的ブレークスルー戦略とは

AIの活用シーンがますます広がりを見せている。重要な顧客接点であり、顧客体験の起点でもある「対話」もAIで進化する。こうした中、対話型音声AI SaaSを展開するIVRyは2025年11月20日、「AI対話と顧客の声」をテーマとするカンファレンス「Voice to Value 2025」を開催。当日はAIトランスフォーメーションやDX推進の第一線で活躍する有識者による講演やディスカッションが行われた。ここではその内容を基に、AIの現在地と音声データが経営にもたらすインパクトについて考察してみたい。

IVRyはカスタマードリブンなAI戦略を推進

AIは検索や翻訳、要約といったツールとしての利用を超え、自ら判断してタスクを実行する自律性を獲得しつつある。一連の業務プロセスや複雑なタスクを実行するAIエージェントはその代表例だと言えるだろう。

様々な分野でAI活用が進む中、大きな可能性を秘めているのが音声分野だ。例えば、コンタクトセンターに音声AIを活用すれば、チャットなどのツールを使わずともスピーディーで的確な対応が可能になる。

株式会社IVRy 代表取締役/CEO 奥西 亮賀氏

音声AIのプロダクトは大きく2つに分類できる。「テックドリブンのプロダクト」と「カスタマードリブンのプロダクト」だ。テックドリブンのプロダクトはすべての領域をAIで解決しようというアプローチを採る。一見すばらしく見えるが、ハルシネーションリスクが避けられない。一方、カスタマードリブンのプロダクトはすべての領域をAIで解決しようとせず、ハルシネーションなく対応できる領域、つまり対応品質の標準化がしやすい領域からAIを適用していくアプローチだ。

「日本のカスタマーコミュニケーションの品質は世界でも高水準です。コスト効率や生産性だけでなく、『おもてなし』の品質が強く求められます。だからこそ、カスタマードリブンのプロダクトが最善であると我々は考えています」と話すのは、IVRyの奥西 亮賀氏だ。

これを具現化したサービスが対話型音声AI SaaS「アイブリー」だ。単なる音声ガイダンスではなく、顧客との会話の意図を理解し、最適な答えを音声で回答する。誤情報を返さない独自技術「ハルシネーションゼロ」で信頼性を担保し、滑らかかつ自然な発話で高品質な顧客対応が可能だ。通話内容の文字起こし、要約、分析、FAQ生成なども自動で実行。通話データを起点とした継続的な業務改善とデータドリブンな意思決定を支援する。


対話型音声AIは攻めのビジネスも加速する

AIX partner株式会社 代表取締役 三井住友カード株式会社 Head of AI Innovation コクヨ株式会社 Executive Adviser of AI strategy 株式会社カウネット社外取締役 マイナビ Executive AI Adviser 野口 竜司氏

それでは対話型音声AIの“現在地”はどうなっているのか。AIX partnerの野口 竜司氏は実体験を基に次のように語る。

積水ハウス イノベーション&コミュニケーション株式会社 CMO(Chief Marketing Officer)/CDDO(Chief Data and Digital Officer) 木田 浩理氏

「地方でレンタカーを借りたときのことです。ETCカードを装着したいと思い、確認するためにレンタカー会社に電話しました。すると音声AIが要望を受け付け、すぐに折り返しがありました。担当者はこちらの要望を把握していて、すぐにETCカードを装着可能であることを教えてくれました。顧客を待たせず応対し、知りたいことにすぐに答えてくれる。とても良質な顧客体験でした」

後から分かったことだが、このシステムはアイブリーによるものだったという。「コンタクトセンターはコスト効率の改善を考えることが多いが、それだけを追求してもDXは実現できません。顧客本位の攻めのサービス提供を目指すべき。野口さんの体験談はその好例です」とIVRyの田井 義輝氏は語る。

音声AIが変革するのはインバウンド対応だけではない。アウトバウンド対応への活用も可能だ。「顧客の電話から相手の意図や求めることを判断・理解し、AIが適切な対応を自動で行うことも可能になっています。今後は音声を活用した攻めのビジネスが加速していくでしょう」と積水ハウス イノベーション&コミュニケーションの木田 浩理氏は期待を込める。


IVRy Data Hubはデータを経営資源に変える

ただし、音声AIを活用していくには問題もある。その最たるものがデータだ。通話やメール、チャットなど日々生まれる膨大なコミュニケーションデータの多くは、構造化されずに企業内で十分に活用されていない。「潜在的な価値のある非構造化データの多くが捨てられているのが実情です」と奥西氏は指摘する。

可能性の大きい顧客接点のデータ活用をいかに支援するか――。こうした考えからIVRyは、2025年11月から新サービスの提供を開始した。それがデータプラットフォーム「IVRy Data Hub(アイブリーデータハブ)」である(図)。

図 「IVRy Data Hub」の仕組み

コミュニケーションを通じて生成される非構造化データを統合し、様々な分析やナレッジの活用を可能にする。CRMやBIツール、AIエージェントとも柔軟に連携する。顧客体験の向上や業務プロセス変革、意思決定の迅速化など様々なメリットが期待できる

図 「IVRy Data Hub」の仕組み
株式会社IVRy Chief Sales Officer 田井 義輝氏

コンタクトセンターやカスタマーサポート活動を通じて蓄積する通話・メール・チャットなどのコミュニケーションデータを一元的に統合する。CRMやDWH、データレイクやインテリジェンス・プラットフォームとも柔軟に連携し、データ活用が難しい非構造化データを「経営資源」へ変える。そのデータを解析することで、コミュニケーションにおける「攻め」と「守り」の両面を強化できるという。

既にIVRyでは自社の問い合わせや商談のコミュニケーションデータ分析にIVRy Data Hubを活用している。プロダクトを提供する自分たちがまず実践することが大切と考えるからだ。

「これまでの手法としては、例えばコンバージョン率をはじめとした指標に対して、低下していれば要因分析をして原因を突き止め、アプローチを変えていくというやり方でした。しかし、IVRy Data Hubを活用することで、お客様の生の声など非構造化データを含めて課題の発見ができるようになりました。お客様の生の声を聞くと、何を求めているかというニーズの変化が非常によく分かる。課題の発見から新たな打ち手までの時間と労力を大幅に短縮できました」と田井氏は語る。

現場で起きていることは経営に上がって来づらい。現場の状況を吸い上げる仕組みを構築することが難しいためだ。結果的に経営としての意思決定に時間がかかったり、場合によっては失敗してしまったりすることもある。「お客様が本当は何を求めているのか。そのヒントはお客様の声の中にある。それをダイレクトに分析する手法は経営の意思決定のスピードアップにつながります」と木田氏は評価する。

DX・AXを実現するブレークスルーの条件とは

組織の中で眠っている音声データを活用し価値創出を図る。そのための技術は整いつつある。ブレークスルーを実現するためには、その技術とどう向き合い、どのように使っていくかが重要になる。野口氏はそのためのポイントを2つ挙げる。

1つはリスク対応だ。「どんなにいい戦略を描いてもリスクをコントロールできないと前に進めません。具体的な業務に落とし込んだとき、どんなリスクが懸念されるか洗い出し、それがどこまで許容できるか・できないかを明確にする。その上でリスクが許容できる領域は思い切りAIを使い込んでいく。その意思決定を行うのがブレークスルーのための第一歩です」(野口氏)。

もう1つは体験設計の最適化である。「ベンダーが提供する標準的なUIだけでは、自社のニーズにマッチせず、そのままでは十分に価値を発揮できないことがあります。各社の現場や経営が最適と考えるアウトプットが実現できる。設定を含めてそういう柔軟性を備えているプロダクトを選ぶことも重要なポイントです」と野口氏は続ける。

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リスク管理に関しては、経営層が意識を変えることも必要だという。木田氏は次のように述べる。

「リスクを懸念するあまり、AIを使っていない経営層が少なくない。どこまでAIに任せられて、何ができるのか。こうしたことは実際に使ってみないと分からない。意思決定プロセスの中枢にいる経営層がまず使って、メリットや限界を知ることが大切です」

データのサイロ化も見過ごせない課題だ。「例えば、コールセンターのデータはコールセンター部門だけが活用し、他部署と共有できていないケースが多い。顧客の声は様々な部署で共有してこそ価値が出る。部門を超えて全社共有できる仕組みを整えることもブレークスルーの条件です」と木田氏は続ける。

これに対し、IVRy Data Hubはコミュニケーションデータを一元的に統合し、柔軟な運用が可能だ。「直感的で自然な言語インターフェースを有し、危機管理指標やネクストアクションなどの検索、定義・検知、通知設定も容易に行えます」と奥西氏は話す。

例えば、顧客とのコミュニケーションの中からクレームやカスハラなどのリスクをリアルタイムに検知し、経営層や関係部門へ迅速に通知する。優秀なスタッフのノウハウをAIが分析・抽出し、研修コンテンツの自動生成や個別指導も支援できる。「誰に・どのタイミングで・どれだけ電話すべきか」を可視化し、オペレーターに適切なコールを促すことも可能だという。

多くの大手企業がアイブリーを採用

IVRyのソリューションは活用が難しかったコミュニケーションデータを経営資源に変え、ビジネスにブレークスルーをもたらす。しかし、その取り組みは段階的に進める必要がある。「まずスモールサクセスをつくり、成功イメージをつかむこと。スモールサクセスを積み上げていくことで、大きな成果につながっていきます」と木田氏は述べる。

大きな絵を描き、ウォーターフォール型で導入すると、システムをつくることが目的化してしまう場合がある。よくある失敗パターンだ。その点、IVRyのソリューションはSaaS型である上、大きなゴールを描きつつ、ステップを踏みながら導入を進めていくことが可能だ。

こうした点が評価され、中堅・中小企業ばかりでなく、業界を代表する大手企業でも導入が進んでいるという。自然でスムーズなAI対話品質やセキュリティー、アイブリー独自のハルシネーションを起こさない技術などが高く評価されているためだ。

AIは急速な勢いで進化している。その進化を完全に予測することは難しい。奥西氏は「進化する技術を柔軟に取り入れ、仮説が誤っていたら迅速に修正する。PDCAを回し続けることが肝要です」と提言する。

今後もIVRyはAIの力でコミュニケーションデータの潜在的価値を高め、経営課題の解決とビジネス変革を強力に支援していく考えだ。

問い合わせ

株式会社IVRy
https://ivry.jp/