ハナマルキ 代表取締役社長 花岡 周一郎氏 河鶴 代表取締役社長 河島 伸浩氏

地方発の2社による食品イノベーション
得意領域の融合で
成熟市場に新たな価値を創出

和歌山県の総合食品メーカーである河鶴と、長野県に本拠を置く発酵食品メーカーのハナマルキ。成熟市場にある梅干しとみそという領域で挑戦を続けてきた両社は、発酵技術を掛け合わせたコラボ商品「まろ塩こうじ梅」を開発した。その共創プロセスと、“非効率の壁”を打ち破る独自のビジネスモデル、互いの経営思想について、トップ2人が語り合った。

液体塩こうじとの出合いが梅干しの新たな価値提案に

河島 河鶴は2025年で設立50年を迎え、今は第二創業期と位置づけています。当初はたくあんの製造からスタートし、私が事業承継した後は梅干しなどへと事業領域を広げ、販路も全国へと拡大してきました。そうした中で、花岡さんとも交流させていただくようになり、今回の協業に至りました。

花岡 初めてお会いしたのは、私がハナマルキ四代目社長に就任したばかりの頃でしたね。河島さんは、赤字で引き継いだ事業を10年で売上35億円にまで成長させた敏腕経営者でありながら、とても謙虚な姿勢に感銘を受けたのを覚えています。

河島 伸浩 氏

河鶴
代表取締役社長
河島 伸浩 氏

河島 まだまだハナマルキさんには及びませんが、現在グループで年商70億円を達成しています。一方で、梅干しは成熟市場にあり、新たな価値提案に課題を感じていたのも事実です。

河島 伸浩 氏

河鶴
代表取締役社長
河島 伸浩 氏

花岡 みそも同様です。当社は1918年に長野県で創業し、今年で108年になりますが、業界の中では後発です。だからこそ、常に新しいことに挑戦し続けてきた歴史があります。今では当たり前となっただし入りみそや即席みそ汁にもいち早く参入し、近年は独自開発の「液体塩こうじ」を次の事業の柱として育てています。

河島 その「液体塩こうじ」が梅干しの新たな魅力を引き出す鍵となり、ハナマルキさんとのコラボ商品、「まろ塩こうじ梅」の誕生につながりました。

独自のビジネスモデルで安定の品質と全国流通を実現

河島 私は以前から、「液体塩こうじ」という独自技術で市場を切り拓くハナマルキさんの挑戦する企業姿勢に共感しており、一緒に取り組む機会を熱望していました。そこで、「塩こうじを使えば面白いのではないか」とアプローチをさせていただきました。

花岡 周一郎 氏

ハナマルキ
代表取締役社長
花岡 周一郎 氏

花岡 今回採用いただいた「酵母発酵液体塩こうじ」は、通常の塩こうじよりもコクやうま味が強いのが特長です。もともとは海外のハラル市場向けに、アルコール不使用の商品を開発する過程で生まれたものですが、実は梅干しとの相性が非常にいいことが明らかになりました。

花岡 周一郎 氏

ハナマルキ
代表取締役社長
花岡 周一郎 氏

河島 ポイントは2つあります。1つ目は、梅干しのツンとした酸味を抑え、まろやかにすること。2つ目は、生きた酵素により、梅本来のうま味や甘みが引き出されること。その結果、塩を控えても満足感のある味わいが生まれ、減塩とおいしさの両立を実現しました。

花岡 「酵母発酵液体塩こうじ」は、これまでも和食の料理長や海外のシェフなどに愛用いただいていましたが、用途は限定的でした。今回初めて一般消費者向けの商品として全国発売することができ、私も嬉しく感じています。

河島 商品開発においては、様々な試行錯誤がありました。漬け込み期間の検証もその一例です。通常の梅干しは2週間ですが、それでは塩こうじ酵素が十分に浸透しない。逆に、長すぎても梅の香りを損ねてしまいます。何度も試験を繰り返した結果、最適解は3週間だと分かりました。

花岡 通常より1週間長く漬け込むとなると、生産効率にも影響しますね。

河島 その間ずっと樽を占有するので、回転率も下がってしまいます。また、塩こうじの品質を保ちながら大規模に調味加工するには、高度な技術力と、原料を安定供給するネットワークも必要です。その点、当社では調達から生産、流通までを一貫して最適化するビジネスモデルを採用しているため、あえて“非効率”を選びながらも、全国流通を実現することができました。

紀州南高梅をハナマルキの酵母発酵液体塩こうじに3週間漬け込んだ「まろ塩こうじ梅」。

紀州南高梅をハナマルキの酵母発酵液体塩こうじに3週間漬け込んだ「まろ塩こうじ梅」。
生きた酵素の働きにより、減塩でも満足感のある味わいに

共創がもたらすシナジーと次の成長への展望

花岡 「まろ塩こうじ梅」は、和歌山と長野、2つの地方発メーカーが手を組んでつくり上げた商品です。これを機に、お互いの販路拡大や次の展開にもつなげていきたいですね。

河島 今回の取り組みは、単なる商品開発にとどまるものではありません。塩こうじと梅干しという2つの伝統食品を掛け合わせることで、新しいカテゴリーを提示できたと考えています。

花岡 塩こうじは今、日本だけでなく海外でも注目される発酵調味料となっています。河鶴さんは海外での調達や生産も得意とされており、塩こうじのグローバル展開においても協力し合えるところは多いと期待しています。

河島 ありがとうございます。河鶴はローカルとグローバルをつなぐ「商社×食品メーカー」として成長を目指しています。ハナマルキさんとの共創は、第二創業期の幕開けにふさわしい取り組みとなりました。これからも日本の伝統食品を革新し、共に世界の食シーンへ貢献していきたいと考えています。

株式会社河鶴

〒640-8404 和歌山県和歌山市湊1720
https://kawaturu.jp/

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