特別対談 Coupa × KPMGコンサルティング

資源価格高騰や地政学リスクを乗り越える AIエージェントが切り拓く 調達・購買の革新

AIエージェントが切り拓く調達・購買の革新

企業の調達・購買を取り巻く環境は、サプライチェーンの分断や地政学リスクの高まりを受け、不確実さを増している。先行き不透明な状況下において、コスト削減のプレッシャーは維持しつつ、安定供給やコンプライアンスの徹底といった複雑な要求にどう応えるか。全社的なコストの可視化と最適化は、もはや待ったなしの経営課題だ。幸い、AIの急速な進歩によってリアルタイムな支出の把握や精度の高い将来予測が可能となっている。AIエージェントがもたらす調達・購買の未来について、TSM(Total Spend Management:総支出管理)プラットフォームを提供するCoupa日本法人代表取締役社長の反町浩一郎氏と、KPMGコンサルティングで執行役員 パートナーを務める三宅佑輔氏が語り合った。

世界の3400社以上が導入
累計支出データは総額10兆ドル

――この度、KPMGコンサルティングが日本におけるCoupaのパートナー企業として初めて「Sales Partner of the Year」をAPAC(アジア太平洋地域)部門で単独受賞されました。その意義についてお聞かせください。



写真:反町 浩一郎 氏

Coupa
代表取締役社長

反町 浩一郎

反町 Coupaは2006年に米国シリコンバレーで創業し、2026年でちょうど設立20周年を迎えました。この記念すべき年に、KPMGコンサルティングが日本企業のパートナーとして初めて単独受賞されたのは、とても喜ばしい出来事です。日本市場における調達・購買改革の気運の高まりが、この快挙に結び付いたのだと感慨深く思っています。

三宅 KPMGコンサルティングは、2018年から日本のお客様向けにCoupaを活用した調達・購買改革を支援してきました。当時の日本はTSMの重要性が周知される以前でしたが、今や多くのエンタープライズに採用され、調達・購買改革の基盤として定着しています。その普及活動の担い手として、お客様の革新に貢献し続けられたことを大変嬉しく思います。

――改めて、Coupaとはどのようなソリューションなのかご説明いただけますか。


反町 一言で表すなら、調達・購買・請求・サプライヤー管理・経費管理などの、支出管理に特化したグローバルなTSMプラットフォームです。あらゆるデータを統合し一気通貫で処理できるのが特徴です。現在、全世界で3400社以上のエンタープライズ及びFortune100企業の約半数以上に導入いただいています。

2026年には、過去20年間に記録・処理した累計支出データの総額が10兆ドル規模を突破しました。これほど膨大な支出データを持つTSMプラットフォームはCoupa以外にないと自負しています。このデータは、単なる記録ではありません。AIが学習するための、世界で最もリッチな「教科書」なのです。さらにCoupaは100を超えるAIの機能を搭載しており、蓄積したデータを活用することで、お客様のAIトランスフォーメーションの支援を推進しています。

AIが人に代わって
調達・購買業務を遂行

――企業の経営を取り巻く環境は不確実さを増しています。調達・購買に関しては、どのような課題が浮かび上がっているのでしょうか。



写真:三宅 佑輔 氏

KPMGコンサルティング
執行役員 パートナー

三宅 佑輔

三宅 業界の構造そのものが大きく変化しています。かつて調達・購買は、安定供給を前提とした中でいかにコストを抑えるかが主な課題でした。

しかし近年は、サプライチェーンの混乱が常態化し、地政学リスクの高まりや資源価格の変動の中で安定調達、コスト最適化を実現することが求められています。加えて、サプライヤーマネジメントやコンプライアンス遵守、さらにESG対応や人材育成など、考慮すべき論点も大きく広がっています。

このように、調達・購買はもはや単なるバックオフィス機能ではなく、企業の持続的成長と競争力を左右する重要な経営課題へと位置付けが変わっています。

反町 不確実な時代となったことで、多くの企業は先行きが読みにくくなっています。そうした時代だからこそ、収益維持や拡大のためには、会社全体のコスト構造を可視化し、最適化を図るプラットフォームを導入することが不可欠です。

おもしろいことに、コストは一度見直せば、その後は継続的に削減した分の利益を得られます。激変する市場で売上を安定化させるのは困難ですが、コストは戦略的にコントロールすることが可能なのです。

――さらに今後は、AIトランスフォーメーションの支援を推し進めていくわけですね。


反町 調達・購買の高度化には明確な筋道があり、企業の成熟度として4段階で表すことができます。①社内に点在するデータの「見える化」の推進、②データを分析する「戦略的ソーシング」の推進、③視点を社内から市場やサプライヤーに広げた「カテゴリー戦略」の推進、そして最後が、④調達・購買の枠を超えた「経営判断」そのものを支える機能となった段階です。

この成熟度を一気に引き上げてくれるのが、AIを始めとするテクノロジーの活用です。日本企業は現在もなおTSMプラットフォームの導入に後れを取っていますが、テクノロジーの進化によって、従来ならば④の段階までに2~3年かかっていたのが、導入とともに加速度的に推進することが可能です。

三宅 企業にとってAIトランスフォーメーションは、競争環境を勝ち抜くために最も重要かつ緊急度の高い変革の一つです。今後、投資ファンドや「既にAIを活用して業務を自働化、高度化した先進企業」が、さらなる収益拡大に向けて、企業価値向上の余地が大きい、AIトランスフォーメーションの遅れている企業の買収に動くことが想定されます。

こうした中、日本企業が調達・購買領域においてAIトランスフォーメーションを加速度的に実現可能なCoupaを活用することで、業務効率化や意思決定高度化といった「攻め」の改革に加え、リスクマネジメントの強化や買収防衛といった「守り」の観点でも高い効果を発揮することができると考えています。

反町 Coupaは、過去10年以上にわたりAIを活用した価値提供を行ってきました。そして現在推進しているのが、人に代わって調達・購買業務の一部を実行する、エージェンティックAIの活用です。

エージェンティックAIは、最適なサプライヤーを探し、見積書や請求書を照合して、不正や誤りを検知するといった作業を代替できます。これらの業務から解放されれば、人はサプライヤーとの関係性構築といった、より戦略的で高付加価値な業務に専念できるようになると考えています。

組織、プロセス、ルール作りまで
調達・購買改革を包括的に支援

――Coupaの導入支援にKPMGコンサルティングが携わることで、顧客はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。


三宅 KPMGコンサルティングがCoupaの導入支援に携わることで、お客様はシステム導入にとどまらず、調達・購買のあり方そのものを変革できます。

当社は、最新のテクノロジーであるCoupaを活用した調達・購買改革を、企業価値向上のための経営改革の一つとして捉えています。お客様固有の文化を理解した上で、KPMG独自の変革フレームワーク「Target Operating Model(TOM)」を用いて、組織・プロセス・テクノロジーを一体で設計し、実効性の高い変革を実現できるのが、当社の強みであると自負しています。

またKPMGは、これまでにグローバルで200社以上、日本では20社以上のCoupaを活用した調達・購買改革を支援しています。この豊富な知見、グローバルネットワークを生かして、お客様ごとに最適な仕組みを短期間で実装できるのも強みです。

――実際に、どのような企業からの引き合いが多いのでしょうか。


三宅 現在は、特定の業界に限らず、非常に幅広い業種の企業から引き合いをいただいています。特に多いのは、グローバルで事業展開している製造業やライフサイエンス、消費財企業など、サプライチェーンが複雑化している企業です。

こうした企業では、拠点や事業ごとに分散した調達・購買業務を統合し、オペレーションの効率化、コスト競争力やガバナンスの強化とともにリソースの再配置を実現したいというニーズが強く見られます。そのため、グローバル経営基盤の構築や、AI活用を前提とした業務変革、経営の意思決定高度化といった観点から、「攻めと守りの両立」を志向する企業からの引き合いが増えている点が大きな特徴です。

当社の支援においても、こうした取り組みを通じて、数パーセント規模のコスト改善効果が確認された事例が多数あります。数パーセントのコスト削減であっても、営業利益に与えるインパクトは極めて大きいものです。重要なのは「BS(経営基盤となる資産)思考」です。持続的な成長を実現するためには、単年度の成果であるPLではなく、優れたBSをいかに構築できるかが成功の鍵となります。

反町 KPMGコンサルティングは、お客様にしっかり寄り添った導入支援を行ってくださるので、われわれCoupaにとっても非常にありがたい存在です。当社はより良いソリューションを作り、KPMGコンサルティングはそれを生かして、お客様ごとに最適な導入・活用支援を行ってくれる。この二人三脚によって、日本企業の調達・購買改革をさらに前進させていきたいですね。

――最後に、両社の今後の抱負をお聞かせください。


反町 Coupaは「Agentic-as-a-Service(サービスとしてのAIエージェント)」を旗印に掲げ、自律型AIエージェントの適用範囲を今後さらに広げていきます。日本語対応のAIエージェントも2026年5月から順次拡充しておりますので、今後もご期待いただきたいです。

2026年7月24日に開催される日本での年次イベント「Coupa Inspire World Tour Tokyo 2026」では、本稿で触れたAIエージェントが実際にどのように機能するのかをデモンストレーションでご覧いただけます。また、日本のお客様による先進的な導入事例も多数紹介しますので、ぜひご参加いただき、自社の未来の姿を重ね合わせてみてください。

三宅 KPMGとしては、調達・購買領域における変革を通じて、日本企業の競争力向上にこれまで以上に貢献していきたいと考えています。とりわけ、AIの進展によって、企業経営そのものの意思決定のあり方が大きく変わろうとしている中で、単なるシステム導入にとどまらず、最新テクノロジーの活用を前提とした経営基盤の構築まで踏み込んだ支援を強化していきます。

その実現にあたっては、Coupaとのパートナーシップをさらに深化させながら、調達・購買領域における「攻め」と「守り」を高いレベルで両立するAI前提のオペレーティングモデルをグローバルに展開していきます。

最終的には、企業が不確実な環境の中でも自律的に意思決定を行い、持続的に企業価値を創出し続けられる経営の実現に貢献していきたいと考えています。

Coupa Inspire World Tour Tokyo 2026 資源価格高騰や地政学リスクを乗り越えるAIエージェントが変える調達の未来
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