
共同印刷
社会の変化に伴う多様なニーズに事業ポートフォリオの変革で対応
消費者がモノを購入する際、切っても切れない関係にあるのがパッケージだ。流通には必要不可欠であり、時にはブランドの価値向上に寄与することさえあるパッケージ領域において、特殊な意匠や環境対策、機能性など、様々な独自技術で新たな市場拡大に挑んでいるのが共同印刷だ。かつては書籍や雑誌を主戦場としていた同社が、さらなる成長に向けて目指すのはどのような姿なのか。キーパーソンの3人に話を聞いた。

長年培った印刷技術を核に
情報からパッケージまで幅広い事業領域をカバー
1897年に創業し、1925年に共同印刷として設立してから100年余り。ペーパーレスの時代に印刷会社ができることは何か、これまで蓄積した技術をどのように生かせば新たな価値を生み出せるのか。こうした課題意識から独自のパッケージビジネスの開拓に挑んでいます。
生活・産業資材事業を成長させ営業利益120億円企業へ
紙媒体の減少が続く印刷業界において、デジタルシフトの影響の大きさは改めて言うまでもない。今後を模索する中、事業ポートフォリオの変革へと踏み出しているのが共同印刷だ。同社では、パッケージとその周辺事業を「生活・産業資材系事業」と呼称しており、その事業本部を統括する髙木伸浩氏は、今後の長期戦略についてこう語る。
「当社では2025年にグループ長期ビジョン『NexTOMOWEL 2034』を策定し、2つの目標を掲げました。1つは連結営業利益120億円以上を目指すこと。もう1つが、戦略的な事業ポートフォリオ変革です」(髙木氏)
同社の事業ポートフォリオは現状、従来の印刷を含む「情報系事業」と、パッケージを中心とした「生活・産業資材系事業」の割合が「2:1」となっている。情報系事業の収益を維持しながら、生活・産業資材系事業を成長させ、「1:1」のバランスを実現するのが目標だという。
紙やプラスチックの包装事業を束ねる川口博史氏は、これを可能とする強みについて、「当社には雑誌や書籍の印刷というイメージがありますが、実はパッケージ事業も90年以上の歴史があります。印刷から加工までの一貫した生産ラインと、他社が真似できない独自のノウハウがあり、素材も含めて多様なパッケージに対応できるのが強みです」と語る。
例えば、即席麺の湯切りフタでは開けやすさや湯切りの安全性といった機能の高さが評価され、国内市場で高いシェアを誇るなど、技術力が同社のビジネスを支えている。
「パッケージの機能性向上は、利便性や品質維持にも貢献します。消費者の生活様式が多様化する中、一貫生産体制を持つ当社が果たせる役割は大きいですし、技術を組み合わせることで成長の余地もあると思います」(髙木氏)

独自の剥離樹脂で安全な湯切りやスピーディーな水切りを実現。食品領域で高いシェアを誇る
開発組織刷新で次世代ソリューションを創出
共同印刷
執行役員
生活・産業資材事業本部
包装事業部長
川口 博史 氏
髙木氏は、新市場開拓の柱に「既存事業のブラッシュアップ」「機能性包材の拡販」「周辺事業の拡大」の3つを挙げる。同社の一貫生産体制を生かせるのは機能性包材と周辺事業だ。
「機能性包材は市場評価に時間がかかりますが、医薬品や太陽電池などでの活用の可能性が広がっており、柱として育てていければと考えています。また、周辺事業は、発注いただいた製品を納品するだけでなく、包装素材の開発から包装機の開発、包装業務の受託など、上流から下流までをワンストップソリューションで提供できる体制づくりを進めています」(川口氏)
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技術開発本部
副本部長
谷口 昌 氏
新規事業開発を目指す中で、重要な役割を果たすのが開発部隊だ。技術開発本部 副本部長の谷口昌氏は、そのための組織改革についてこう紹介する。
「26年度から製品開発、新事業開発、イノベーション推進の3部隊に組織改編し、短期から長期まで対応できる開発体制を整えました。各部署が連携し、コーティングやラミネートといった多様な技術を集積することで、より付加価値の高いソリューションを提供できればと考えています」(谷口氏)
さらに、同社が力を入れているのが環境対策だ。環境に配慮したパッケージとして「TOMOWEL NEXT PACKAGING」 シリーズを展開している。
「お客様から環境配慮のご要望を頂くことも多く、脱プラスチックやリサイクル素材の活用などに取り組んでいます。ただ、当社のみでは限界があるため、同業他社やサプライチェーンも含めた仕組みづくりが今後の課題になってくると感じています」(谷口氏)
髙木氏によると「インキ成分の除去やケミカルリサイクルのコンソーシアム参加など、アンテナを張りながら最適解を探っています」とのことだ。
創意と熱意で10年後を開く長期ビジョンのロードマップ
グループ長期ビジョンとともに発表された中期経営計画は、10年後に向けたいわば種まきと土台づくりの期間として位置付けられている。
「既存事業に注力しつつ、新たな事業へ挑戦するチャレンジングな目標であり、M&Aや海外市場への事業展開も視野に入れています」(髙木氏)
また、長期ビジョンに合わせて経営理念も刷新。「創意と熱意で新たな価値を生み出し、共にある未来を実現する」という新理念は、自社技術の組み合わせや他社との協働により新たな市場を開拓する意思が見て取れる。
今後のパッケージには、フードロスの削減や品質の維持などが期待される一方、評価期間や個社での限界といった課題もあり、経営理念にもある「創意」は必須だ。開発部隊を率いる谷口氏からは「変化に合わせて種を植え、アジャイルに提案を続けることが重要だと考えています」、包材事業を担当する川口氏からは「既成概念にとらわれずゼロベースで考え、新たな価値を生み出したいと思います」とのコメントがあった。最後に髙木氏が口にしたのは、10年後に向けたロードマップの方針だ。
「現在のフェーズが種まきや土台づくりなら、次は収穫に向けた具体的な実行フェーズです。これからの1年で10年後の姿が見通せる形にしたいですし、そのためにも現状に満足せず、変化に対応しながら新市場の開拓に果敢に挑みたいと思います」(髙木氏)



