メタウォーター株式会社 代表取締役社長 山口 賢二氏
PROFILE
山口 賢二 [やまぐち・けんじ]
愛知県出身。慶應義塾大学卒業後、1987年に日本碍子株式会社(現・日本ガイシ)入社。2015年にメタウォーター執行役員、2019年に取締役執行役員を経て、2021年より現職。
上下水道などの
水・環境インフラの再構築に挑む
メタウォーターの総合力と
長期ビジョン
三位一体の強みが生む、
唯一無二の水・環境インフラ企業
メタウォーターは、2008年に日本ガイシと富士電機の水環境事業子会社を統合して誕生しました。
浄水場や下水処理場といった上下水道施設やごみリサイクル施設を手がけ、設計・建設から運転・維持管理、事業運営までを一貫して担える、国内でも数少ない“水・環境インフラのプロフェッショナル集団”です。
2025年度で「中期経営計画2027(売上2000億円・営業利益130億円)」の目標を2年前倒しで達成できる見込みです。背景には、官民連携(PPP)の進展により、民間の力を発揮しやすくなったこと、そして海外事業が想定以上のスピードで伸びていることがあります。とくに北米では人口増加を背景とした旺盛な水需要により、高度な水処理技術のニーズも急速に高まっています。
一方、国内の上下水道が抱える課題は深刻です。人口減少に伴う料金収入の減少、施設の老朽化、人材不足──。上下水道に携わる自治体職員は30年で約4割も減り、使用水量も下がり続けています。中でも地方都市では「もはや自治体のみでの維持は難しい」との声が強く、官民連携の必要性はますます高まっているのが現状です。
こうした厳しい環境の中で当社がその価値を発揮できているのは、機械・電気・ICTを一体で扱える技術体制に起因します。制御技術やクラウド基盤を生かしたデジタルによる運転管理など、三位一体の強みをもつ企業は業界でも多くありません。国内の安定基盤と海外の成長市場。この二つが両輪となり、当社の好業績を力強く支えているのです。
官民連携と
海外M&Aが拓く
次のステージ
設計・建設から運転・維持管理、事業運営までをワンストップで担えるという当社の特徴は、平時の効率化はもちろんのこと、災害時やトラブル対応で特に大きな力を発揮します。責任の所在が曖昧にならず、原因究明から復旧までを迅速に進められることで、自治体からは高い評価をいただいています。また、上下水道における官民連携事業では主要案件の3~4割に参画しており、その実績とノウハウは業界でも屈指だと自負しています。
海外事業では、北米を中心にM&Aで獲得した各社が成果を上げています。文化、制度、水質が異なる上下水道の世界では、日本の技術をそのまま横展開しても成功しません。そこで各社が持つユニークな技術や販路を持ち寄って議論し、現場主体で新しい価値をつくるスタイルへと移行。このアプローチにより、シナジー創出のスピードは大きく高まりました。
今後は海外で実績を積んできた新技術を日本市場に投入していくことも検討しています。例えば、米国子会社が展開する新下水処理技術「Nereda®」は、省エネルギー、省スペース、高いメンテナンス性など優れた特徴を持っており、国内の設備更新需要にも応えていけるものと考えています。

成長の循環を回す人材力と
3000億円への道筋
当社は設立30周年となる2037年度に売上3000億円以上という目標を掲げていますが、そう遠くない将来に実現できる道筋が見え始めています。海外比率も50%に迫る未来も視野に入っています。この成長を支えるため、開発投資・M&A・人的投資・株主還元という循環を止めずに回していく方針です。
そして、成長に欠かせないのが人材の力です。当社は「一緒に働きたい会社No.1」を掲げ、社員一人ひとりが自ら考え、主体的に行動し、議論を通じて価値を創出できる組織づくりを進めてきました。会社の役割は、個々の能力が最大限発揮される環境を整えることにあります。柔軟な働き方の導入など多様な事情に寄り添った人事制度の整備を進めた結果、離職率は2%未満という低水準を維持しています。自治体やパートナー企業から真っ先に声をかけていただける組織であること。そして、「メタウォーターと組みたい」と言っていただける存在になること。それが、私たちの目指す姿です。
上下水道は人が生きるために不可欠な社会インフラです。その維持・管理は地域社会を支える“代替の利かない領域”であり、AIが発展しても決して消えることはありません。安心・安全な水・環境インフラを次世代へつなぐため、私たちはこれからもあらゆる努力を惜しみません。「続ける、続くために。」という理念を胸に、地域と共生し、水と環境の美しい循環を守り続けてまいります。

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