日経ビジネス発行人が訊く変革期の経営戦略
THE INTERVIEW
野村不動産ソリューションズ 代表取締役社長 日比野勇志

人的資本経営のミッションは
お客さまと社員の幸せの最大化

野村不動産ソリューションズ

代表取締役社長

日比野 勇志

PROFILE

1991年に野村證券入社、その後、野村ホールディングス執行役員(人事担当)・野村證券常務などを経て、2021年に野村不動産ソリューションズ専務執行役員・法人営業本部副本部長に就任。23年に同社取締役兼専務執行役員・法人営業本部長、25年4月より現職。

( 聞き手:日経ビジネス発行人 松井 健 )

全社員の共通言語
「幸せのスノーボール」

ー 御社は、社員が活き活きと働ける環境こそが会社の持続的成長を支える経営基盤であるという理念の下、人的資本経営を推進されています。「日経ビジネス」2025年10月13日号掲載の「10万人口コミ調査、社員がオススメする100社」では、27位にランクインしました。現役社員や退職した元社員の回答に基づくこのランキングの結果をどのように受け止めていますか。

 とても喜ばしく、社員・元社員が会社を誇りに思っていることに感動すら覚えています。会社に誇りを持てないと仕事が苦しくなりますし、逆もまた真です。以前から私が目指していた会社の姿に近づきつつあり、感慨もひとしおです。

ー 社員とのエンゲージメント強化のためにどのような理念を掲げられていますか。

 経営目標は「お客さまと社員の幸せの最大化」です。

 もともと当社には、DS(ディライト&サティスファクション)賞という、お客さまアンケートの顧客満足度に基づく表彰制度があり、多くの社員がこの獲得を目指しています。お客さまの幸せを最大化したいという文化があるのです。

 それをさらに根付かせるため、会社は社員に公平なチャンスと働きやすい環境、そしてふさわしい経済的処遇を提供します。

 それを受けて社員は自らオーナーシップを持ってチャンスをつかみ、スキルを高め、その結果、お客さまに高いサービスを提供し、お客さまから感謝と信頼を頂く。

 私はこの循環が人的資本経営そのものであると考えますが、当社約2000人の共通言語として、回せば回すほど大きくなる「幸せのスノーボール」という言葉を使っています。

希望を吸い上げ、多様な
キャリアプランを後押し

ー 公平なチャンスと働きやすい環境について、具体的に教えてください。

 社員の成長には、挑戦ができ、成長を実感できる環境が不可欠だと考えています。その点、当社の不動産仲介事業は、流通事業・パートナー・法人という3つの営業本部で構成されており、これらの営業本部間を異動することで、適性と希望に応じた経験と知識を獲得できます。もちろん、専門性を追求するキャリアも選択可能です。

 社員の希望は年2回のキャリアシート提出や、25年10月に開始した社内公募制度によって吸い上げ、年に4回開催している人財開発会議で、会社の方針とも調整し異動を実施しています。

野村不動産ソリューションズ 代表取締役社長 日比野勇志 × 日経ビジネス発行人 松井健

研修や育成プログラムで
社員の挑戦や成長を支援

ー 社員のキャリアプラン実現を支援するために、どのような制度を用意されていますか。

 これをやってみたいという希望(Will)に不可欠な能力(Can)を増やす機会を用意しています。例えば、昨今、海外のお客さまから日本の不動産の透明性や流動性、信用への評価が高まっています。そこへ十分に対応ができるよう、海外留学や語学研修制度を拡充しています。当社の持つシンガポールと香港の拠点も活用しています。

 また、女性活躍支援や外部研修機関への派遣も行い、スキルアップや66個の資格取得を支援するプログラムも提供しています。社員は非常にポジティブに受け止めており、対象資格を増やしてほしいといったリクエストも寄せられています。

 今回の調査でも高く評価を頂いたワークライフバランスの観点では、育児休業からの復帰支援を行い、使いやすい時短勤務制度を整え、キャリア形成上不利にならないように取り組んでいます。いずれの施策も、社員に長く働いてほしいと思って用意しているものです。組織として長期的に成長するには、社員に会社を好きになってもらい、楽しく前向きに、過剰なプレッシャーなく働き続けてもらうことが不可欠です。

ー 25年4月に社長に就任され、約10カ月になります。これから御社をどのように成長させていきますか。

 まさに今、全国の店舗を訪れて社員と直接対話を重ねています。お客さまと社員の幸せを最大化するという経営目標に向かって、社員がより一層の誇りを持って働ける環境を整え、今以上に社員から愛される会社となるよう邁進してまいります。

2025年8月に移転した野村不動産ソリューションズ株式会社 新オフィス

25年8月に移転した新オフィスは、部署や役割の垣根を越えて、会社全体が一体となる空間を実現。

聞き手:日経ビジネス発行人
松井 健

1994年筑波大学卒業後、日本経済新聞社に入社。日経産業新聞編集長などを経て、24年より日経ビジネスなど経営誌の発行人を担う経営メディアユニット長。

野村不動産ソリューションズ株式会社

野村不動産ソリューションズ株式会社

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