大阪市高速電気軌道株式会社 代表取締役社長 角元 敬治

PROFILE

角元 敬治 [かくもと・けいじ]
1962年生まれ。1985年、住友銀行(現 三井住友銀行)入行。2019年、取締役兼専務執行役員ホールセール部門副責任役員(西日本担当)。2022年、取締役副会長大阪駐在。2025年、大阪市高速電気軌道社外取締役。2026年6月、代表取締役社長に就任

100年の現場力と連携で
AXと風土改革に挑む
選ばれるOsaka Metroへ

100年の歴史の中で培ってきた
現場力が最大の強み

 Osaka Metroの最大の強みは現場力にあります。地下鉄やバスを毎日安全に、安定的に運行することは、決して当たり前ではありません。お客さまを運ぶ乗務員、駅で安全を支える駅社員、電気・線路・車両・駅施設等保守担当の技術者など、一人ひとりの仕事で都市交通は機能します。前職の銀行でも長く現場でお客さまと接しており、現場が事業の基盤だと考えています。ただ、当社の現場で感じる緊張感は特別です。運転士の隣に立つ乗務員室添乗も何回か経験しましたが、出発時の安全確認、トンネル内の信号や標識の確認、定められた動作の徹底など、命を預かる仕事として、高い意識のもとに行われます。乗務前日から体調を管理し、緊張感を持ってルーティーンが厳守されることで安全な運行につなげています。そこには約100年にわたる地下鉄の歴史の中で、諸先輩方が築いてきた現場力が脈々と受け継がれています。

 2025年大阪・関西万博の開催期間中には、中央線で2分30秒間隔という超過密ダイヤでの運行を実現しています。需要予測に基づくダイヤ改正、列車の出入庫タイミングの緻密な調整や停車時分の微調整などにより遅延を最小限に抑えました。これもまた、現場力の結晶だと思っています。

2分30秒間隔という超過密ダイヤで2025年大阪・関西万博の輸送を担った新型車両400系。万博開催に先駆け、2023年にOsaka Metro中央線に導入された。安全性・移動手段としての新機能・高い快適性を追求。さらに、前面をガラス張りの展望形状とすることで、宇宙船を意識させる未来的デザインが実現した。2024年には鉄道友の会が選定するローレル賞を受賞。万博レガシーとしてOsaka Metroの日々の運行を支えている。

デジタル化、データ・AI活用と
人財戦略で企業風土を変革

 長年培われてきたこうした現場力や技術力は、「安定した正確な運行」「高い安全性」などの形で現れ、お客さまからの大きな信頼につながっています。

 今後はその信頼を土台に、デジタル化、データ・AI活用推進と新たな人財戦略に取り組み、企業としてさらなる成長を目指します。現在は紙中心の業務のデジタル化と業務効率化が中心で、当社が保有する多様なデータを十分に活用したAX(AIトランスフォーメーション)にまで至っておらず、ここには大きな成長余地があります。

 当社には、毎日約250万人のODデータ(乗客発着地データ)の他、「e METROアプリ」の会員データ、オンデマンドバスの利用データ、今後導入予定の駅構内の動線・立ち寄り・滞在を可視化するビーコンデータなど膨大なデータがあり、これらを一元管理するデータプラットフォームの整備を進めています。

 AI活用では、社員が資料作成に活用できる生成AI、白杖検知や拾得物管理などを行うマルチモーダル生成AI、各種データをもとに生成されたAIペルソナが企画立案やクリエイティブ生成を行う仕組みなどが独立して動いています。今後はそれらをまとめるAIマルチエージェント、データプラットフォームを導入し、AIをAIが自律的に使い分けて業務を行う環境の構築に取り組んでいきます。

 ただ、技術の導入だけでは価値は生まれません。データを正しく蓄え、AIの判断を的確に生かせる仕組みとそれを活用する人財をあわせて育てることが不可欠です。その意味で当社におけるAXは、技術の導入にとどまらず、働き方と組織文化そのものを変えていく取り組みだと考えています。

 組織風土として目指すのは「誰もが、何でも、自由に言えるカルチャー」への変革です。役職や年齢に関係なく、一人ひとりが考え、提案し、本音を言い合うことで個々人が最大限のパフォーマンスを発揮できれば、企業力向上につながります。

 さらに人財戦略として、当社は、鉄道に関わる技術教育は非常に充実していますが、今後はそれに加え、コミュニケーション、教養、外部との接点を広げる力など、人としての成長を支える教育にも力を注いでいきます。これらを通じて、幅広い視野と柔軟な発想を備えた人財を育成したいと考えています。

大阪のポテンシャルを引き出し
「選ばれる企業」へと進化する

 一方で外部との連携は、まだまだ十分ではなく大きな課題です。銀行員時代、多様な業種、企業、人、地域、事業を結び付け、新たな価値を生み出す仕事に携わってきました。だからこそ、私が社長を務めることへの期待の一つに「つなぐこと」があると考えています。

 持続的成長のためには、自社の力だけでは限界があり、現場力という揺るぎない基盤を大切にしながら、幅広く外部と積極的かつ戦略的に連携することで、新たな可能性を広げることが必要です。

 例えば当社が掲げる、移動と生活に関わるサービスを創出し、一体的に提供する都市型MaaS構想「e METRO」では、自動運転・顔認証改札・オンデマンド交通等において先端技術がキーとなるため、スタートアップなどの新技術を持つ企業との連携は重要です。

 都市開発についても同様です。不動産開発は単に建物をつくることが目的ではなく、まちの魅力を高め、沿線価値を向上させるため、多様な強みを持った様々なプレイヤーと協業していきたいと考えています。

 Osaka Metro Groupの成長は、大阪の成長と切り離して考えることはできません。大阪のまちをより良く、より便利に、より元気にしていくことが私たちの存在意義です。その手段として、都市型MaaS構想を推進し、まちづくりを進めています。

 大阪の魅力が高まれば、当社の魅力も高まるはずで、大阪の発展と当社の成長は、運命共同体だと考えています。

 安全・安心という変わらぬ本質を守りながら、交通を起点に大阪のまちに新たな価値を生み出す。Osaka Metro Groupは、単にそこにあるインフラではなく、お客さまの意思で「選ばれる企業」へと進化し、大阪のポテンシャルを引き出していきます。

大阪市高速電気軌道株式会社

大阪市高速電気軌道株式会社

〒〒550-8552 大阪市西区九条南1-12-62
https://www.osakametro.co.jp//

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