――今回得られた示唆を基に、今後どのような取り組みを進めていく予定でしょうか。
西田氏 今回のサーベイ結果を分析・考察したレポートが、今後の取り組みの出発点になります。まずはこの内容を経営陣に共有し、DE&Iを全社的な共通認識として浸透させるため、優先順位を明確にしていく考えです。
坪井氏 その際に重要になるのが、経営トップが自身の言葉で「なぜDEIBが必要なのか」「それが自社にとってどのような意味を持つのか」を語ることです。トップのメッセージがあって初めて、DEIBは単なる人事施策ではなく、経営の意思として現場に伝わっていくからです。
次のステップとして求められるのが、DEIBを支える仕組みや制度を整える取り組み(ハードの改革)と、DEIBに対する人の意識・行動を変えるための取り組み(ソフトの改革)です。ソフトとハードを両輪で回すことにより、DEIB戦略・施策の目的が腹落ちした状態で、仕組みや制度が適正に運用され、組織や人の行動が変わり、組織のパフォーマンス向上につながるという好循環を生み出すことができます。
三谷氏 私たちが特に重視しているのが、社員が新しいことにチャレンジしやすくなるための「余白づくり」です。例えば、特定の部門や個人に業務が過度に集中している場合には、それを整理・是正する。そうすることで、これまで余裕がなかった人にも時間的・心理的な余白が生まれます。
余白が生まれれば、管理職に挑戦する、スキルアップのための学習に取り組む、新しいテーマに手を挙げるといった選択肢も広がります。この「余白づくり」は、DE&Iの観点だけでなく、エンゲージメント向上やイノベーション創出の観点からも、優先度の高い取り組みだと考えています。
――最後に、経営層・人事責任者の方々に向けて、DE&Iに取り組む上で大切だと感じているポイントやメッセージがあればお願いします。
吉田氏 「DE&I=女性活躍」と考える傾向が強いのですが、それはあくまで捉え方の1つです。いろんな考えや価値観の人を含めての多様性なので、コンフリクト(摩擦)が起こるのは当たり前です。そこから逃げないで、オープンに高い透明性をもって議論する。その姿を見せることが、DE&Iに本気で向き合っている企業姿勢を示すことになるでしょう。
西田氏 仕組みや制度化を考える場合、会社としてのマクロ的な視点は必要ですが、その先には社員がいます。どうすれば、一人ひとりが能力を最大限に発揮し活躍できるかを考える。そこから目を背けず、多様な人たちを巻き込みながら、組織が活性化していく道筋を探していくことが大切だと感じています。一緒に前を向いて一歩ずつ進めていきましょう。
坪井氏 繰り返しになりますが、DEIBは重要な経営アジェンダです。正しいことを正しいやり方でやっていけば、組織は強くなり、イノベーションにつながる。PwCコンサルティングはこれまで培ってきた知見とノウハウを生かして、日本企業の変革と成長を支援していきたいと考えています。