次世代グローバル・サプライチェーンフォーラム review
INDEXページへ戻る
パートナー講演 project44

現場でのデータ活用とAIの力で
SCMの課題を解消し全体最適化を実現

今まさにグローバルサプライチェーンは、地政学リスクや気候変動、労働力不足、需要変動など複合的な課題に直面し、至る所で業務の「摩擦」が生じている。こうした環境下では、部分最適や属人的判断では限界があり、現場データに基づく迅速かつ確信をもった意思決定による全体最適が不可欠だ。project44は、業務標準化とデータ基盤整備を軸に、日本固有の商慣習にも即した、持続可能なサプライチェーンを実現する意思決定インテリジェンス・プラットフォームを提供している。可視化領域で長年培った技術と実績を基に、説明可能なAIを中核に、SCMをめぐる課題の解消と、単なる物流や輸送の効率化ではなく、サプライチェーン全体、ひいては企業の働き方を変えるビジネスの基盤となるプラットフォームの構築を進めている。

サプライチェーンが抱える予測不能な「摩擦」

 現代のグローバルサプライチェーンは、地政学的リスクや異常気象、労働問題、関税変動といった予測不能な「摩擦」に、常にさらされている状況だ。これらの事象は、リードタイムの延長やコスト増大を招くなど、企業経営に大きな悪影響を及ぼす。マッキンゼーの調査によれば、有事にあって情報に基づく迅速な判断ができないことによる損失は、一般的なFortune 500企業であれば、年間2億5000万ドル以上の人件費、53万日以上の管理職の時間の浪費に相当するとされる。

「この課題の本質は、サプライチェーンの複雑さから発生しており、人間が処理できる判断能力を超えている点にあります」とproject44の桑原祐司氏は指摘する。

写真:桑原 祐司 氏
project44
ゼネラルマネージャー
兼 営業担当副社長
桑原 祐司

SCMが抱える課題を解消する意思決定インテリジェンス・プラットフォーム

 こうした問題に対しproject44では、その摩擦とバイアスをサプライチェーンから取り除くことを一貫した目的とするプラットフォーム「Movement」を以下の4つのプロセスにより進化させてきた。

 第1段階は「Connect(接続)」で、世界最大規模のキャリアネットワークを整え、世界中の船やトラック、飛行機などの動静情報をマルチモーダルでデータ接続する。第2段階では「See(可視化)」によって、単なる位置情報の提示にとどまらず、貨物が今どこにあり、いつ届くかという文脈を持った洞察を現場や経営の意思決定に活かせるかたちで提供している。第3段階である「Act(実行)」では、経験や勘に依存するバイアスを排除し、データに基づき「次にとるべき行動」を導き出して業務変革を支援する。そして第4段階である「Automate(自動化)」においては、複数のAIエージェントを連携させることで、遅延などの例外事象を早期に検知し、後続の業務フローを自動化して、自律的なサプライチェーンを実現する。「重要なのは単なる自動化ではありません。確かなデータと仕組みに基づき、ユーザーが納得したうえで、安心して任せられる基盤があること。それがあってこそ、確信をもって適切な意思決定を下すことができると、project44では考えています」と桑原氏は紹介する。

説明可能なAIと自律型ワークフローの共存

 このように進化してきたMovementは、既存のERPやSCMシステムなど業務システムと柔軟に統合でき、調達から計画、実行、可視化、財務を含む、サプライチェーン全般にわたる業務をトータルに支援するソリューションとなっている。高精度な可視化とETAに基づくリードタイム分析により、安全在庫の適正化や業務効率化、不要なコスト削減も期待できる点も特徴だ。輸送中在庫をリアルタイムに把握できることで、より緻密な生産管理・調整が可能になる。結果として、計画精度の向上をはじめ、サプライチェーンの全体最適化、経営の高度化につながる。

 近年、project44では、AIを多用して自律型ワークフローを実現する機能の開発にも注力している。「ユーザー自らが、どういう異常や例外を検知し、どのようなアクションを取るべきかを決めて、自由にワークフローを設定でき、AIと自動化を信頼できるかたちで共存させています」と桑原氏は言う。

 例えばMovementに搭載される代表的なAI機能である「AI Disruption Navigator」では、急な天候異常や地域紛争、ストライキなど、世界中でサプライチェーンに影響を及ぼすインシデントの発生を常に監視して、それが自社貨物に影響を与える可能性をAIが自動的に特定・可視化する。

AI Disruption Navigatorの画面イメージ

図
世界各地で発生する天候異常や紛争、ストライキなどのインシデントをリアルタイムに監視し、自社貨物への影響を可視化。信頼性の高いAI活用により、迅速で的確な意思決定を支援する

 さらにMovementでは、マルチエージェント・オーケストレーションの開発を進めており、ユーザーが定義したルールに基づいて、複数の専門AIエージェントが連携して動作し、異常検知からアクションまでを自律的に実行するワークフローの実現に取り組んでいる。

 「ポイントは、最高品質のデータに基づくものであること、AIやモデルが説明可能であること、そしてユーザー自らが柔軟に管理、制御し運用できること。そうした意味で、AIは人に置き換えられるものではなく、人がより良い判断を下すための支援を行うものだというのが、project44の基本的な考え方なのです」と桑原氏は最後に強調する。

INDEXページ
ページトップへ