次世代グローバル・サプライチェーンフォーラム review
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パートナー講演 エコバディス・ジャパン

規制が強まるサプライチェーン
評価プラットフォームが管理を支援

サステナブルなサプライチェーンをどのように運用管理するかは、グローバル企業にとっての課題になっている。欧州を中心とした規制に対応するには、サステナブル調達が可能なサプライチェーンが必要になるためだ。一方、自社ですべてのサプライヤーの環境や人権のデューデリジェンスを実施するのは現実的ではない。そこでサステナビリティの評価や、企業がESG(環境・社会・ガバナンス)を管理・改善するためのプラットフォームの活用が注目されている。

サプライチェーン規制強化が企業に与える影響

欧州を中心に、サプライチェーン関連の規制が強まり、企業はサプライチェーン管理の対応に追われるようになってきた。エコバディス・ジャパンの若月上氏は「これまでのサプライチェーンの調達管理は品質、コスト、納期のQCDがメインでしたが、今後はサステナビリティを含めたQCDSへの対応が求められます。サステナブルなサプライチェーン管理が重要になります」と語る。

 エコバディスは、フランスで創立した企業で、サステナビリティの評価や、企業がESG(環境・社会・ガバナンス)を管理・改善するためのプラットフォームを提供する。累計の評価済みサプライヤーはグローバルで15万社にも上る。日本法人でもサステナビリティを評価する多くのアナリストを擁する。

写真:若月 上 氏
エコバディス・ジャパン
代表取締役
若月 上

取り組みが進むサプライチェーン評価

 世界的にサプライチェーン関連の規制の強化は、ドイツのサプライチェーンデューデリジェンス法から始まった。国内外で自社のサプライチェーンにおける人権と環境問題に関するリスクの適正評価手続き(デューデリジェンス)の実施と報告が求められる。その後EUでもCSRD(企業サステナビリティ報告司令)が施行され、サステナビリティ情報の開示が義務付けられた。「トランプ政権による反動でサステナビリティへの取り組みが緩んでいますが、気候変動も人権問題も先送りされているだけ。多くのグローバル企業はサプライチェーン評価に取り組みを続けています」(若月氏)。

 EUの規制やデューデリジェンスの義務化に加え、機関投資家はサプライチェーンの環境や人権などの非財務情報を評価するようになっている。「これらは企業がサステナビリティ調達管理に取り組む動機になっています」と若月氏は指摘する。

エコバディスがバイヤーの作業を支援

グローバルサプライチェーンは複雑化が進む一方で、最終ブランド企業である発注元のバイヤーには調達責任が求められる。若月氏は、「バイヤーは、まず基準を作り、行動規範の遵守を求め、遵守されていることを評価するアセスメントを行い、その上で是正するというプロセスを回す必要があります」と語る。

しかし、バイヤーが自社のすべてのサプライヤーに対してデューデリジェンスを行うことは現実的ではない。「そこでエコバディスでは、広範なサプライヤーを対象にサプライヤー評価を行い、企業のバイヤーがリスクの高いサプライヤーに対して重点的に是正措置や実地監査を講じられるよう支援しています」(若月氏)。

その手法としては、全世界で600人規模のエコバディスのアナリストが0点から100点の評点を付け、44点以下をリスクありと評価する。また網羅的な評価のために、AIが潜在的なリスクを示す傾向を分析、推定する。これらをKPIにして、リスクの高いサプライヤーから優先的に是正措置や実地監査などを進めるという手順である。

サプライチェーンにおけるサステナビリティ・リスクの絞り込みフロー(KPI:評価スコア&AI傾向値)

図
全サプライヤーを対象に、AIとアナリスト評価でサステナビリティ・リスクを可視化。評価スコアとAI傾向値をKPIに優先対応先を特定し、是正措置や実地監査を効率的に進める

「日本企業に限らず、本社はデューデリジェンスの方針を作りますが、実務は子会社やグループ会社のバイヤーが担います。サステナビリティ部門と調達部門の連携が重要であり、そこではデューデリジェンスにおけるKPIを明確にすることが不可欠です」と若月氏は、サプライチェーン管理の肝要を語った。

「自社調査(SAQ)」の限界とグローバル管理における実務の壁

 サステナブルなサプライチェーン構築を目指す企業が直面するのが、実務上の高いハードルだ。多くの企業はまず、サプライヤーに対して自社独自の「セルフ・アセスメント・アンケート(SAQ)」を送付するが、若月氏はここに大きな落とし穴があると指摘する。

 「SAQには回答義務やペナルティがなく、回答内容の客観性に欠けるという課題があります。恣意的な回答を排除しきれず、結果としてリスクを正確に把握することが困難です。また、自社で専門的知見に基づいた分析を行おうとすると、膨大な人的コストがかかる割に、国際的な規制基準を満たすほどの質を担保できないというジレンマに陥ります」(若月氏)

 さらに、グローバル企業の「本社」が直面するのが、国内外のグループ会社・子会社を含めたガバナンスの難しさだ。欧米が先行する中で、海外子会社との意識の乖離や、本社による各拠点へのモニタリング不足が課題となっている。

 「本社が方針を作っても、実際にサプライヤーと接するのは子会社の調達部門です。サステナビリティ部門と調達部門、あるいは本社と子会社がどう連携し、役割分担をするか。契約条項にどう評価を反映させるかといった『ガバナンス体制の構築』こそが、実務上の成否を分けます。ブラックボックス化しやすいTier2以降の上流工程を含め、いかに網羅性とトレーサビリティを確保するかが、今後のサプライチェーン管理の肝となるでしょう」と若月氏は締めくくった。

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