――求人サービスに紹介手数料を100万円払って、仕事を教えて。2カ月後にLINEで『辞めます』。感謝の言葉もなく、それっきりです。
――退職代行業者から電話がくるのは、まだいいほうです。実際は何も言わず出社してこなくなるケースも多い。
――休憩に入ったと思っていたらカバンがなくなっていて、そのまま戻ってきませんでした。
最近、若手人材を採用した企業からは、こうした声がよく聞こえてくる。
「採用しても採用してもこのようなことの繰り返しで、採用担当者の疲労や混乱は限界に達しています。いわゆる“若者疲れ”が、多くの企業・組織の課題になっているのです」。そう話すのは、企業の人材採用を支援するシニアジョブの中島 康恵氏である。
労働力人口の減少が進む中、特に従業員100人以下の中小企業において若手採用の難易度は急上昇している。求人サイトに高額な掲載費用を払っても応募がなかなか来ない。ようやく採用できても、紹介手数料はその人材の年収の3~4割(年収400万円の業務で120万~160万円)に上るのが一般的だ。そこへ来て冒頭のような状況が発生すれば、採用活動は振り出しに戻ってしまう。人材採用は企業経営に不可欠な活動であるだけに、マネジメント層からのプレッシャーも大きくのしかかる。
「仮に定着しても、若手世代との接し方に悩む企業は多いです」と中島氏は続ける。指示されていない仕事には手を付けない。飲み会に誘うと露骨に嫌な顔をする。少し注意・指導すると、パワハラだとコンプライアンス室に訴える。面接では熱意を見せ、優秀に見えた人材が、入社後は『やったことがないので』と平気で仕事を放置する
――。このような若手に呆然とする現場社員も少なくない。育てる労力が報われない徒労感が、“若者疲れ”をさらに加速させている。
「労働市場が売り手優位である現在、『合わなければ次を探せばいい』というのが若手世代の本音だと思います。プライベートを優先する傾向も強く、『昇進して稼ぎたい』『この会社で自分を高めたい』といった考えは持ち合わせていません。そのため、企業・組織が求めることとの間にギャップが生じているのです」と中島氏は言う。