シーメンス株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 堀田 邦彦氏
PROFILE
堀田 邦彦 [ほりた・くにひこ]
1959年山口県生まれ、九州大学工学部修了後、日本鋼管(現JFE)入社、米国駐在を経て国産三次元CAD事業推進、2002年から外資系ソフトウエア会社へ転身、吸収合併によりシーメンスに入社。カントリーマネージャーとして日本におけるソフトウエア事業を統括し、十数年にわたり連続売上二桁成長を実現する。2020年10月から現職。早朝ジョギングは20年間毎日欠かさず、週末にはロードバイクで汗を流す。
産業AIとクラウドで
日本のものづくりの変革に
伴走していく
日本のものづくりのDXは
世界に決して遅れていない
シーメンスは、明治時代の中頃から約140年もの間、日本の産業界の成長を支えてきました。令和の世を迎えた現在も、新しいものづくりをDXによって支援することが当社の社会的命題だと考えています。
「日本のDXは遅れている」との声もありますが、私はそう思いません。実際に当社のお客様の中には、世界をリードするような取り組みを進めている日本企業が多く存在します。
もちろん、グローバル競争は一段と激しさを増していますので、改革はさらに加速させていく必要があります。特に現在は、水平分業化が進んだことで、各メーカー、サプライヤーがそれぞれのレイヤーで「選ばれる企業」になる必要があります。そこで競合優位性を確立する際に、カギを握るのがデジタル技術です。
あらゆるプロセスやデータをデジタルでつなぐことで、リアルとバーチャルを融合したデジタルツインを実現できます。これにより、リスクを抑えて試行錯誤を繰り返せるようになります。より速く、よりダイナミックにものづくりの最適解を導き出せるようになるでしょう。
ハードルがあるとすれば、最初の一歩をどう踏み出すかだと思います。とはいえ、一度やると決めたら、猛スピードで動き出すのが日本企業の強み。今後はさらに多くの企業が、世界の注目を集めるDXを具現化していくと思います。

シーメンス株式会社本社内「デジタルエンタープライズ エクスペリエンスセンター DEX Tokyo」に設置されたデジタルツインのデモ環境。ここでは設計から製造までのデジタル化をどのように実現するかデモを通してリアルに体感することができる
豊富な実績で蓄積したノウハウを
伴走型の顧客支援に役立てる
デジタル技術の中でも、今注目を集めているのがAIです。産業の現場でAIの効果を引き出すためには、ChatGPTやGoogle Geminiなどの「コンシューマーAI」と「産業AI」が大きく異なるものだということを理解しておくことが重要です。
コンシューマーAIが扱うデータは、テキストや音声、映像などが中心です。一方、産業AIは設計や解析、製造現場のデータやBOM(部品表)など、多岐にわたるデータを取り扱う上、入出力形式も様々です。どんなにAIが賢くても、与えるデータの質が低ければ正しい結果は得られないため、多様かつ複雑なデータを適切に整え、AIが活用できる形にすることが産業AIでは欠かせません。
また、産業AIの活用を推進する際には、組織全体での導入・活用方針も考えておく必要があります。具体的には、経営者主導のトップダウン型にとどまらず、設計・製造現場の担当者を含めた組織の全員がAIのメリットを実感できるようにすることも肝心です。一人ひとりがAIの価値を体験することで、全社一丸となって取り組みを加速できるでしょう。
シーメンスはそのためのお客様の取り組みを支援します。グローバルで蓄積したノウハウと先進的なソリューション、1500人以上のAIエキスパート人材を武器にお客様を伴走型でサポートします。

クラウドの価値を引き出す
「コアクリーン」のアプローチ
既に多くの日本企業が、シーメンスと共に取り組むことで成果を上げています。モデルベース開発やAI活用、ITとOTの融合など、その内容は様々です。そして、これらの取り組みの中で、不可欠なものとなっているのがクラウドです。
クラウドを活用することで、デジタル技術やAIの価値を迅速に得ることができます。ただ、これまで日本のものづくりの強みであった、「工夫して改善する」アプローチを、そのままクラウド活用に当てはめるのは得策ではありません。
例えば、自社固有の業務に合わせてシステムをカスタマイズしてしまうと、運用や改修の手間が増大します。そうではなく、クラウドの世界では核となる基盤部分を標準化し、その上のアプリケーションレイヤーで工夫したほうが差別化を図りやすくなります。このような「コアクリーン」のアプローチが、クラウドの価値を最大化するコツだと当社は考えています。
シーメンスは、社会インフラの根本を支えるデジタルエンタープライズ基盤を提供していきます。エンジニアリング業務の高度な自動化を実現するAIエージェント「Eigen Engineering Agent」を2026年4月に発表し、自律型ものづくりに向かって大きな一歩を踏み出しました。このような先駆的なソリューションの開発にも引き続き注力していく予定です。
繰り返しになりますが、日本の製造業のDXは決して世界に遅れていません。グローバルな水平分業化が一層進み、AIが社会を急速に変えていく時代にあっても日本の企業がその強みを最大化できるよう、シーメンスはこれからもお客様に伴走していきます。
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