TISI 人事本部 西田 誠司 氏、TISI テクノロジー人材採用マーケティング室長 秋里 美和 氏

ITを「使う側」から、社会の願いを「叶える側」へ TISIが学生に届ける、ITの仕事のリアルと成長できる環境

IT企業の仕事は、学生にとって外からは見えにくい。TISIは新卒採用を、会社を知ってもらうだけでなく、学生が自分の可能性や適性を確かめる機会と捉えている。開発体感セミナーや入社後の育成を通じて伝えるのは、ITを「使う側」から、社会の願いを「叶える側」へ踏み出すリアルな道筋だ。最前線で働く若手エンジニアが学生をサポートし、地方の大学にも出張して直に伝える。TISIならではの採用活動と育成環境について、2人のキーパーソンに聞いた。

学生との出会いを
未来の事業と社会をつくる入り口に

TISIにとって新卒採用は、単に人材を確保する活動ではない。将来の事業を担い、ITの力で社会をより良くしていく人と出会う場である。人事本部で新卒採用を統括する西田氏は、学生との接点づくりにおいて「会社説明」だけでは届かないものを大切にしているという。

TISI 人事本部 人材戦略部 副部長 西田 誠司 氏
TISI
人事本部 人材戦略部 副部長
西田 誠司 氏

「TISIでは新卒採用を、将来の事業や社会を担う人材との出会いの場だと捉えています。そのため、会社説明会だけではなく、インターンシップや対話の機会を通じて、学生の皆さんとコミュニケーションできる場をつくることを大切にしています」(西田氏)

TISIの特徴は、幅広い業界・顧客とのつながりを持ち、ITの仕事の上流から下流、さらには運用やアウトソーシングまで、多様な経験の場があることだ。学生にとっては、入社後にどのような仕事に関われるのか、自分の関心がどの領域で生かせるのか、幅広い可能性を思い描ける。

一方で、IT企業の具体的な仕事は外から見えにくい。プログラミングが好き、デジタルサービスに興味がある、社会に役立つ仕事がしたいという思いがあっても、実際のシステム開発がどのように進み、どのような人と関わり、どんな責任を担う仕事なのかまでは、学生時代に知る機会が限られている。

そこでTISIが重視しているのが、社員との対話や実践型プログラムを通じて、仕事の解像度を高めてもらうことだ。西田氏は「当社は技術を生業としている会社です。だからこそ、一般的な会社説明会や社員との対話会だけではなく、実際に技術に触れ、仕事で技術を扱うとはどういうことなのかを感じていただく取り組みを大切にしています」と語る。

同社が求める人物像は、入社時点で高度な専門知識を備えた完成形の人材ではない。大切なのは、自分の思いを持ち、それを仲間とともに社会を動かす力へ変えていけることだという。「もっとこうしたい」「自分はこうやって社会を良くしたい」という意志を持ち、それを周囲と協力しながら形にできる人。そのような学生と出会うために、TISIは採用活動を学生が仕事や自分自身の可能性を確かめる場として設計している。

短期間でプロの開発を体感する
「開発体感セミナー」

そうした考えを象徴する取り組みが、学生向けの職業体験プログラム「開発体感セミナー」だ。実施責任者を務める秋里氏は技術本部に所属し、全社横断でシステム開発を支える組織のマネジメントや、技術者採用、技術研修に関わっている。技術本部は、事業本部や人事などのコーポレート部門とは異なる立ち位置で、全社を横断して高度な技術支援を行う組織である。難易度の高い開発案件にITアーキテクトなどの役割で関わり、会社全体の技術力を下支えする。その技術本部が、学生向けに長年提供してきたのが開発体感セミナーだ。

TISI 技術本部 開発基盤センター長 兼 テクノロジー人材採用マーケティング室長 秋里 美和 氏
TISI
技術本部 開発基盤センター長
兼 テクノロジー人材採用マーケティング室長
秋里 美和 氏

「開発体感セミナーは、SE職に興味を持ってくださる学生さんに対して、IT企業における実際の開発を模したものづくりの経験を、2日~5日といった短期間で提供することをコンセプトにしています。学生さんは学業も就職活動も忙しい。だからこそ、短い期間で必要なエッセンスを濃縮して届けたいと考えています」(秋里氏)

このセミナーの価値は、大きく3つの要素に集約される。第一に、チーム開発を体感できること。学生時代に個人でプログラミングやAIを使った開発を経験している人も多いが、「企業のシステム開発は1人で完結するものではありません。顧客の要望と課題を理解し、メンバーと分担し、品質を担保しながら成果物をつくり上げる。そうしたチーム開発を体験して、プロフェッショナルとしての組織的なものづくりを体験していただきたいと思っています」(秋里氏)

第二に、開発の全工程を経験できること。自分たちでシステム要件を定め、設計し、プログラミングし、最後にテストで品質を確認する。学校や個人学習ではプログラミングに焦点が当たりやすいが、プロの現場ではその前後の工程が重要になる。セミナーでは、QAサイトや保険の見積サイトのようなWebアプリケーションを題材に、あえて不完全なプログラムを用意する。それによって、「企業のエンジニアとして顧客やユーザーに価値を届けるにはどう修正すべきかを考え、設計から実装、テスト、成果発表までを行うことを体験していただきます」(秋里氏)

第三が、現場のエンジニアがフォローすることだ。セミナーの運営自体を外部委託する選択肢もあるが、TISIは自社の若手エンジニアが学生を支援することにこだわっている。「実際の仕事を模した形式の中で社員と触れ合うことによって、知識だけでなく、開発に向けた考え方が伝わります。単に動けばいいものを作るのではなく、品質を担保するには何を考えなければならないのか。そこを社員と対話しながら理解していただきたいのです」(秋里氏)

開発体感セミナーのねらいと提供価値。ねらい:システムエンジニア職/SI業界に興味を持つ学生を対象に、IT企業における実践形式を模したモノづくり[ソフトウェア開発]の短期体験機会を提供することで、学生が自身の適性・志向に目を向け、今後のキャリア選択の一助としていただく。学生へ提供したい価値:1 チーム開発の機会を通じて、チーム開発で求められる要素を感じていただく。2 ソフトウェア開発の全フェーズ(要件定義・設計・プログラミング・テスト)を経験し、エンジニアの仕事を体感していただく。3 現場エンジニアによるフォローを通じ、プロフェッショナルなエンジニアが開発に向き合うマインド・TISの組織風土(社員の人と成り)を感じていただく。
実践的なソフトウェア開発の短期体験を提供することで、
学生自身に適性や志向へ目を向けてもらい、今後のキャリア選択の一助とする

近年は「GitHub Copilot」などのコーディングをアシストするAIも取り入れ、AIを使った開発のリアルにも触れられるようにしている。ただしAIの答えを鵜呑みにするのではなく、その妥当性を人が判断し、責任を持って成果物に仕上げる力が問われる。AI時代だからこそ、基礎的な開発力や品質への意識はより重要になるのだ。

自主応募型から大学持ち込み型へ
地方の学生にも機会を届ける

開発体感セミナーは、2013年から継続して実施されてきた。もともとは冬期開催が中心だったが、近年は学生の活動早期化によるニーズを受けて夏にも開催し、多くの学生が応募するプログラムへと成長している。秋里氏によれば、近年は受け入れ100名規模に対し、2000人近くの応募が寄せられることもあるという。その一方で、応募者は首都圏の学生が多く、地方の学生に十分にリーチできていないという課題も見えてきた。オンライン開催により地理的な制約は以前より小さくなっているものの、顔を合わせて一緒に開発するからこそ伝わることもある。住んでいる地域の違いによって、学生にとっても企業にとっても機会損失が生まれているのではないか。そうした課題意識から、TISIは2025年より大学への持ち込み型セミナーを開始した。

開発体感セミナーの開催形式。自主応募型 開催:弊社採用ページから募集する形式。書類選考/適性検査など 一定の参加選抜を経て、イベント主旨とマッチ度の高い学生を招いて開催。2013年より冬季に開催を継続。学生のインターンニーズ(新卒採用の活動早期化)に合わせ夏季開催や秋季開催を織り交ぜて実施。過去、のべ1万人超の応募を獲得。大学持ち込み型 開催:TISIの開発現場で働く技術者が大学へ出向き、開発体感セミナーを開催する形式。<持ち込み型開催の経緯>10年以上「自主応募型」を開催するも、圧倒的に「首都圏学生」の応募が多い。地方学生との接点が不充分。
自主応募型でマッチ度の高い学生を招く一方、大学持ち込み型で地方学生との接点不足を解消。
TISIへの関心の有無を問わず、多くの学生に開発体験を通じて仕事への理解を深めてもらう

「会社としてつながりのあるいくつかの大学にお声がけをして、この開発体感セミナーを実施させていただけませんか、という形で活動を始めました。前半はオンラインでチーム開発を進め、最終日は私たちが現地に行くというハイブリッド形式です。実際の仕事でもテレワークと対面を組み合わせることが多いので、そういった働き方も含めて体感していただけます」(秋里氏)

大学持ち込み型は、単に採用母集団を広げるためだけの取り組みではない。ITエンジニアという仕事に興味はあるが、都市部の企業イベントに参加する機会が少ない学生に、実践的な体験を届ける活動である。地方にいながらも、プロの開発プロセスや企業エンジニアの考え方に触れることができる。その経験が、学生自身の進路選択の視野を広げることにつながる。

参加者からの反響も大きい。開発体感セミナーは12年連続で満足度97%以上を記録しているという。学生からは「学校では学べないことを経験できた」「社員のサポートが手厚かった」「全工程を通して開発する機会は貴重だった」といった声が多く寄せられている。特にチームで成果物をつくる経験は、強い印象を残すようだ。もちろん、参加者全員が楽しいと感じるわけではない。合う、合わないは人それぞれだが、「だからこそ身をもって体感してほしいと考えています。ITに魅力を感じて進んだとしても、実際の仕事が自分に合わなければ双方にとって不幸です。就職活動の中でプロフェッショナルなシステム開発の流れを経験し、挑戦してみたいと思える仕事なのかを確かめていただくことが、私たちが届けたい価値です」と秋里氏は述べる。

入社後に育てる覚悟
仲間とともに成長し、「叶える側」へ

インタビューに答える秋里氏

学生本人だけでなく、保護者にとっても気になるのは、入社後にどのような育成環境が用意されているかだろう。IT業界は技術の変化が速く、AIの進展によって若手の仕事がどう変わるのか不安を感じる人も少なくない。TISIはその点について、入社時点で完成されたスキルを求めるのではなく、入社後にしっかり育てる体制を整えている。

新入社員研修で大切にしている要素として、西田氏は「技術」「ビジネススキル」「仲間とのつながり」を挙げる。営業職も含めて、全員が必ず開発の研修を受けることについて、「技術を売っている企業ですので、ベースとなるプログラミングの考え方や開発の考え方は、しっかり身につけてもらうようにしています」と、その方針を説明する。ビジネススキルでは、これまでも注力してきた論理的思考力に加え、AI時代だからこそ必要とされる「自ら問いを立てる力」の育成にも力を入れる。同じくらい重視するのが、同期や先輩後輩とのつながりだ。新入社員研修では全国の同期が集まり、その後も節目ごとに学び合う機会が設けられる。現場配属後はメンターとなる社員がつき、OJTを中心に成長を支える体制も整えられている。

秋里氏が関わる技術系研修では、開発職向けに約2カ月間、実践に近いWebアプリケーション開発をチームで行う。部門を越えて新人が集まり、オンライン形式も活用しながら、1つのプロダクトをつくり上げる過程を経験する。そこには技術習得だけでなく、困難を乗り越える中で生まれる絆があるという。

「入社までにどんなスキルを学べばいいですか、とよく聞かれますが、スキルはそこまで求めていません。入社後に成長できると言い切れる環境があるため、入社前のIT学習よりも、学生時代にしかできない経験をして人間的な視野を広げてきていただきたいと伝えています」(秋里氏)

インタビューに答える西田氏

西田氏もまた、学生に期待するのは高度なスキルよりも「思い」だと語る。ITに可能性を感じ、自分で技術を身につけ、社会に価値を届けたいという意志を持つこと。TISIには、自ら学ぼうとすれば掴める機会が数多く用意されている。だからこそ、自分のキャリアを自分で選び取り、仲間とともに形にしていく姿勢が求められる。現在、TISIは旧TISと旧インテックの合併を経て、新しい会社として歩み始めた段階にある。大きな企業でありながら、新たな文化や仕組みをつくっていく挑戦のタイミングでもある。西田氏は「新しい会社をまさにつくっていく時期です。チャレンジングな環境の中で、一緒に思いを叶える側になっていただければと思います」と学生へ呼びかける。

秋里氏も、学生時代の経験を通じて感じた「思い」を大切にしてほしいと語る。「学生時代にいろんな物事を見聞きし、体験し、それらを通じた結果として、ご自身が社会に出てどうありたいのかを考えてほしいと思っています。学業でもサークル活動でも旅行でも海外留学でも、学生時代にしかできない経験を通じて見聞を広げ、就職という道を選択するときにシステム開発を通じて社会に繋がる仕事、さらにTISIという会社が1つの候補になってくれたらうれしいです」

TISIが掲げるメッセージは、「ITで、社会の願い叶えよう。」である。何気なく使ってきたスマートフォンのサービスやネット上の仕組みの裏側には、誰かの願いを技術で形にする人たちがいる。TISIは、学生がサービスを「使う側」から「提供する側」へ踏み出すために、仕事を知る機会と入社後に成長できる環境を用意している。技術は入社後に育てる。思いは、学生自身の経験の中から育っていく。その両方を大切にできる場所として、TISIは次世代の仲間との出会いを待っている。

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