事故直後のドライバーを1人にしない 東京海上日動が描く、新たな自動車保険の価値

東京海上日動火災保険 個人商品業務部 自動車グループ マネージャー 伊東 健氏

2025年の交通事故発生件数は
約29万件、
同年の交通事故死者数は
2547人。

交通事故においては1秒でも早い救急対応が生死を分ける。相手車からの追突、あおり運転など、「自分は事故を起こさない」と思っていても、自分では防ぎきれない事故に遭うリスクも存在する。“事故直後の数分”をどう支え、人命の救助や安心の提供につなげるのか。東京海上日動が最新の技術と強固なオペレーションの力で創り出した新たな自動車保険について、開発経緯や実現を支える取り組みを聞いた。

生死を分ける事故直後の対応に備える

交通事故は近年、自動ブレーキをはじめとする先進安全技術の普及により減少傾向にある。一方で情報化・高齢化の進展により、事故の質は変化しており、スマートフォン使用などの「ながら運転」や高齢ドライバーの運転ミス・体調急変といったリスクが増大している。東京海上日動の伊東健氏は「ご本人がいくら気をつけていても、避けられない事故はあります。事故を起こさないだけでなく、万一の際に被害を最小化するという観点が必要です」と指摘する。

ドライブエージェントパーソナルを手に説明する伊東健氏

東京海上日動火災保険
個人商品業務部
自動車グループ マネージャー
伊東 健氏

とはいえ、交通事故は多くの人にとって一生に一度経験するかどうかの出来事だ。事故後は誰でも大なり小なりパニック状態に陥る。事故後に警察や消防への連絡が必要と分かっていても、衝撃でスマートフォンが手元から離れてしまうなどして、すぐ手の届く場所に見当たらないことも多い。けがで身動きがとれなくなる場合や、旅行中などなじみのない場所で現在地の把握が困難な場合もある。「1分1秒が生死を分けることもあり、事故直後の数分間は人命救助やその後の被害拡大防止の観点から極めて重要な時間です。だからこそ、“事故直後への備え”は、事故予防と同じくらい重要です」(伊東氏)

事故の直後から人と技術で支えるDAP

こうした課題に対し、東京海上日動が出した答えが「ドライブエージェント パーソナル(DAP)」である。従来の自動車保険は、事故後に顧客からの連絡でサービスが開始される仕組みだった。DAPはその発想を大きく転換し、事故直後に数秒で保険会社と自動的に通話がつながる仕組みを提供するという画期的なサービスだ。伊東氏は、「事故の直後からお客さまを支えることができないかと考え、DAPを開発しました。“事前の安心”と“事故直後の安心”の両方を提供するサービスです。特に事故という非日常の不安が大きい瞬間にお客さまに寄り添い、安心を届けることにこだわりました」と語る。

DAPは事故が起きるとドライブレコーダーがその衝撃を検知し、即座にオペレーターに通報する。位置情報や事故直後の数秒の映像が事故受付センターに転送され、オペレーターはその情報を確認しながら、ドライブレコーダーに搭載したスピーカーから顧客に声かけを行う。伊東氏は、「一般的なドライブレコーダーは記録することが主な役割ですが、DAPは“事故直後のお客さまを守ること”が主な役割です。DAPはもはやドライブレコーダーではなく、お客さまを守る“自動通報装置”です。そのため、お持ちのドライブレコーダーとDAPを2台設置するというお客さまも多くいらっしゃいます」と説明する。

車内のDAPと対応に当たるオペレーター

車内に設置されたDAP 通報を受けて対応するオペレーター

事故発生時、車内のDAPが衝撃を検知し、プレミア・エイド社のスタッフと即座に連携する

DAPを支えているのは、目に見えない技術的な工夫の数々だ。事故後の極めて短い時間に、数秒でつながる通話を成立させながら同時に映像も転送するという、通信負荷の高い技術については、特許を取得している。また、ドライブレコーダーには非常用バッテリーを搭載しており、事故後の通話中は車のエンジンをオフにしても通話が途切れることはない。

事故受付センターのオペレーションにも特徴がある。緊急通報サービスの専門会社であるプレミア・エイド社と提携し、顧客との通話担当、救急・消防との連携担当、両者のモニタリングする管理者の3名体制で顧客を支える。これにより顧客と通話する担当者は状態把握や情報提供に専念でき、終始一貫して親身な対応が可能になる。同時に別の担当者が救急・消防など必要な関係各所に迅速に連絡しているため、1名での対応に比べて格段に早い救急対応を実現している。

DAPの最新機種は月額500円で、東京海上日動の自動車保険に特約としてセットできる。

※保険期間1年で分割払(分割割増あり)の場合の保険料です

DAPは契約者に安心を提供するだけでなく、蓄積されたデータを交通安全教育や災害時の道路復旧支援など、社会課題の解決にも活用している。

補償する会社から、
お客さまや社会を守る会社へ

インタビューに答える伊東健氏

今後、自動運転やコネクテッドカー、AIなど技術の進化によって、交通社会は大きく変化すると予想される。しかし、どれだけ技術が進歩しても、事故リスクをゼロにすることは簡単ではない。伊東氏は「だからこそ、事故で起きた損害を補償するだけでなく、事故を未然に防ぎ、事故直後を支えるという役割がより一層求められます」と語る。

インタビューに答える伊東健氏

さらに、DAPは顧客に安心を提供するだけでなく、蓄積されたデータを交通安全教育や災害時の道路復旧支援など、社会に貢献する取り組みも行っている。直近の令和8年熊本地震発生後には即座にDAPの統計データを用いて被災エリアの道路の走行可否や地割れ状況が分かる地図をHPに一般公開した。また、DAPで収集したデータを解析して“事故惹起傾向を予兆して未然に防止する”機能の研究にも取り組んでいる。伊東氏は、「将来的には、DAPが事故自体を未然に防ぐサポートができる世界を目指しています。DAPによって自動車保険の役割は大きく広がりました。“事故後の補償を提供する保険”から、“お客さまや社会の安心と安全を提供する保険”へと進化していると思います」と話す。

最後に伊東氏は、「私たちの目標は、事故そのものが減り、万が一起きても誰一人取り残されない社会です。その実現に向けてDAPのサービスと価値を絶えず進化させていきます」と力を込めた。

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