日経テクノロジーONLINE SPECIAL
IoEを支えるジェイテクトの技術開発 制御機器で40年以上の実績 現場で鍛えた技術とITを融合

ジェイテクトのIoEを支える製品群には、ものづくりの現場で長年鍛えた高品質な技術を基盤にして、製造業の新しい時代を見据えた最新のIT(情報技術)が組み込まれている。その開発経緯や製品のコンセプトについて、IoE推進室を担当するジェイテクト技監の青能敏雄氏が語った。

青能 敏雄
ジェイテクト
技監
工作機械・メカトロ事業本部 IoE推進室 担当

トヨタ生産方式のDNAを継承
理念を実践する機能を内蔵

 TOYOPUCに長い歴史があることを知っている方は、必ずしも多くないのが現状です。これは、最近までトヨタ自動車およびグループ会社を中心に事業を展開していたからだと思います。

 トヨタグループとのかかわりが長いTOYOPUCの大きな特長は、世界のものづくりの指針である「トヨタ生産方式(TPS:Toyota Production System)」のDNAを受け継ぎ、ともに進化してきたことです。つまり、生産の「ムダ、ムラ、ムリ」を発見し、改善するという理念が設計に一貫して反映されています。

 例えば、TPSの重要なコンセプトに「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」供給する「ジャスト・イン・タイム」があります。これを実践するプロセスは注文情報を生産指示情報として生産システムに伝達するところから始まります。そこで生産指示情報を直接受信できる機能を、TOYOPUCコントローラにいち早く実装しました。

 人の知恵に基づく働きを設備に組み込み、生産に問題が生じたとき自動的に設備を止める「ニンベンがついた自働化」という、もう一つのTPSの重要なコンセプトに始まる機能もTOYOPUC製品に取り込んでいます。このため、これらの製品を使って構築したIoEシステムには、おのずとTPSの理念が反映されます。

 もう一つ、TOYOPUC製品の特長として挙げておきたいのが「高い信頼性」です。これはTOYOPUCを最初にコントローラとして製品化したときから一貫して重視してきたことです。

 トヨタグループの皆様とのビジネスが始まったのも、最初の製品であるコントローラの高い信頼性を評価いただいたのがきっかけでした。

 かつてトヨタ自動車では、ジェイテクト(当時、豊田工機)製以外のコントローラを数多く使っていました。ところが、ある生産拠点で故障が頻発したことから、他社製品への置き換えを検討することになり、そのときに目にとまったのが、なかなか壊れないと現場で評判だったジェイテクト製コントローラだったのです。

 それからジェイテクト製品を積極的に採用していただけるようになり、これを契機に生産システム全体にジェイテクトがかかわらせていただくようになりました。

大量生産の技術に新たな工夫
あらゆる現場にIoEを展開

 高い信頼性を備えた設計は、ジェイテクトの製品開発の現場に受け継がれています。もともと豊田工機のコントローラは、自社のアーク溶接機向けでした。アーク溶接機は放電現象を利用した加工装置ですが、放電システムは電子機器の誤動作や故障を招く電磁ノイズの強烈な発生源です。このためコントローラを設計する際に、極めて厳しい環境で安定して動作するように強力な対策を施す必要があり、開発資源を多く投入しました。この取り組みが設計開発の現場に定着しました。

 生産の「ムダ、ムラ、ムリ」を改善するというTPSの基本理念はIoEのコンセプトの基本です。当然、IoEソリューションを支える新しいTOYOPUC製品にも受け継がれています。そのうえで最新のITの技術を導入しながら、大規模な生産システムからスタンドアロンで稼働する工作機械まで、あらゆる規模の生産システムに適用できるように、新規のコンセプトや新しい技術も採り入れました。

 製造業が大きな変革期を迎えている中で、制御システムに対する新たなニーズが続々と浮上してくるはずです。それを先取りする形で、IoEソリューションおよび関連するTOYOPUC製品は進化を続けます。

メーカーならではの具体的提案で拡販

吉田氏
吉田 幸浩
ジェイテクト
工作機械・メカトロ営業部
販売企画室
制御拡販グループ
グループ長

 加工機械メーカーであり、部品メーカーでもあるジェイテクトは、お客様が抱える現場のニーズを先取りした具体的な提案ができます。これがIoEソリューションの市場を開拓するうえでの大きな強みです。

 

 本格的な拡販に先駆けて工作機械を製造する自社の刈谷工場に、IoE関連の最新製品を実装し、IoEソリューションの可能性を検証しました。このときIoEのコンセプトが現場に受け入れられたこと。また想定していた以上に現場が新しい仕組みを活用していたことから、より一層の自信を持ってIoEのコンセプトやソリューションを社外で展開できるようになりました。

刈谷工場
JTEKT 刈谷工場:ジェイテクトが国内に持つ13工場の一つ。IoEソリューションをいち早く実践し、工作機械、制御機器などを生産しながら、カスタマーセンター、コールセンターを併設。