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ビールの流れを変えるスーパードライ3.0 ビールの流れを変えるスーパードライ3.0
冷えた状態で最高にうまい、新・辛口へ 冷えた状態で最高にうまい、新・辛口へ
課題解決のための刷新ではありません。「スーパードライ」の強みをさらに磨き上げ、進化させる挑戦です。 アサヒビール 堀 謙太 氏 課題解決のための刷新ではありません。「スーパードライ」の強みをさらに磨き上げ、進化させる挑戦です。 アサヒビール 堀 謙太 氏
力強い飲みごたえとキレのコントラストがより鮮明になった印象です。「スーパードライ」らしさを保ちながら新たな進化を遂げていると感じました。 日経BP 品田 英雄 力強い飲みごたえとキレのコントラストがより鮮明になった印象です。「スーパードライ」らしさを保ちながら新たな進化を遂げていると感じました。 日経BP 品田 英雄
ビールの流れを変える

スーパードライ3.0 戦略の全貌に迫る

日経BP 総合研究所 客員研究員 品田 英雄 日経BP 総合研究所 客員研究員 品田 英雄
アサヒビール 「スーパードライ」 ブランドマネージャー 堀 謙太 氏 アサヒビール 「スーパードライ」 ブランドマネージャー 堀 謙太 氏

今年10月の酒税改正により、ビール類の税率が統一される。
価格差が縮小することで、これまでよりもビールが手頃な価格で購入できるようになり、
ビール市場は実力勝負の時代を迎えると言われている。
この転換点に、アサヒビールが総力を挙げて投入するのが「スーパードライ3.0」だ。
「冷えた状態で最高にうまい、新・辛口へ」をコンセプトに、1987年の発売以来2度目の刷新を実施した。
「辛口×冷え」を軸に、“新・辛口”へ進化した戦略の狙いをブランドマネージャーの堀謙太氏に聞いた。

聞き手:日経BP 総合研究所 客員研究員 品田 英雄

アサヒビールが総力をかけた刷新「スーパードライ3.0」 アサヒビールが総力をかけた刷新「スーパードライ3.0」

品田 今年10月に酒税改正の最終段階を迎え、ビール類の税率が統一されます。

日経BP 総合研究所 客員研究員
品田 英雄

堀 日本のビール市場にとって、大きな転換点になると考えています。これまで価格差によって需要が分散していましたが、これからはお客さまが本当においしいと思うものが選ばれる時代になります。だからこそ、これからも選ばれるブランドであり続けるためには、ブランドの価値を明確にし、それを磨いていくことが重要です。その考えのもと、「アサヒスーパードライ」の中味・パッケージ・コミュニケーションを刷新し、「スーパードライ3.0」を始動しました。

品田 「スーパードライ」といえば、あの完成された「辛口」のイメージが強く定着しています。これまでにも味わいを変えたことはあったのですか?

堀 実は1987年の発売以来、約40年の歴史の中で、味わいを刷新したのは今回を含めてわずか2回です。「辛口」という新しいコンセプトで日本のビールの常識を塗り替えた発売時を第1ステージ、お客さまの嗜好と時代の変化を捉えて「辛口」の価値をアップデートした2022年のリニューアルを第2ステージ、そして今回、「辛口×冷え」を掛け合わせた“新・辛口”への刷新、つまり「冷やすほどに極まる辛口〈生〉」を進化の第3ステージと位置づけ、「スーパードライ3.0」と命名しました。お客さまがビールに期待する一番の価値である「冷え」に着目し、「スーパードライ」の強みをさらに磨き上げ、”新しい辛口”として進化させる挑戦です。

アサヒビール
「スーパードライ」ブランドマネージャー
堀 謙太 氏

品田 「スーパードライ3.0」は、どのように進化したのでしょうか。

堀 今回の刷新では“キンキンに冷えた状態で最高にうまい、新・辛口”を目指して開発しました。最大の特長である“辛口のうまさ”のベースは維持しながら、麦芽使用比率を高めることで、麦芽由来の味わいが増し、飲んだ瞬間の飲みごたえを向上させています。加えて、醸造工程で煮沸直後に投入するホップ品種の配合を最適化することで、ホップ由来の香りを引き出し、後味のキレをより感じられる味わいを実現しました。アサヒビールが持つ技術とノウハウを結集し、長い歳月をかけて完成させた自信作です。

冷えた状態で最高にうまい、新・辛口へ 「進化」と「らしさ」を高いレベルで両立 冷えた状態で最高にうまい、新・辛口へ 「進化」と「らしさ」を高いレベルで両立

品田 「スーパードライ3.0」の開発で、一番難しかったことは何ですか。

堀 スーパードライらしさを引き継ぎながら、おいしさを進化させることです。つまり、「らしさ」と「進化」を高いレベルで両立させることでした。

「スーパードライ」は、おかげさまで日本のビールを代表するブランドへと成長しました。だからこそ、変えること自体が目的になってはいけないと考えています。長年ご愛飲いただいているお客さまの期待に応えつつ、確かな進化を感じていただく。この2つを両立させることが最大の挑戦となりました。

開発面では、茨城県守谷市の研究所の開発チームと共に、原材料や醸造工程を細かく検証しました。ホップの品種や麦芽の配合率、煮沸時間やホップの投入タイミングについても、わずかな時間・温度などの条件を変えながら何度も試験醸造を行い、消費者調査で検証を重ねました。

開発部門・生産関連部門の多くの関係者が、「スーパードライをもっと良くしたい、スーパードライはさらにうまくなる」という想いで力を結集し、今回のテーマである、「冷えた状態で最高にうまい、新・辛口」を完成させてくれました。

飲用実態を反映したシミュレーションも重視しました。お客さま調査によれば、飲食店で最初の一口目から飲み終わるまでの平均時間は“約18分”であり、その間にビールの液温は4℃未満から10℃程へと上昇します。開発チームは実際の飲用実態の温度帯に応じた味感を確かめ、温度が上がっても辛口の骨格が崩れない、極限のバランスを見出してくれました。本当に地道なトライの連続でしたが、その細部にわたる調整が飲食店でのジョッキ1杯、家庭での缶1本という「18分間のブランド体験」の質を決定づけると信じて追求しました。

事前の消費者調査では、「麦芽使用比率の引き上げ」や「ホップ品種の配合を最適化」により、
「おいしさ指数※1」がターゲット温度帯4℃未満において「125.3」に向上した。※1 中味試飲調査によるスーパードライ現行品とのおいしさ評価の比較において

「キンキンDRY戦略」が目指すのは、「体験」まで含めたブランドの進化 「キンキンDRY戦略」が目指すのは、「体験」まで含めたブランドの進化

品田 「冷え」を重視した「キンキンDRY戦略」は、マーケティングの観点からも興味深い取り組みです。

堀 お客さまは、よく冷えたビールを「キンキン」と表現されます。私たちはこれまで、五感で楽しむキンキンタンブラーや、パッケージデザインに使用する特殊インキによる飲み頃温度の可視化などを通じて、「冷えたスーパードライの体験価値」を高める取り組みを進めてきました。

飲食店では、「スーパーコールド認定店」として4℃未満で提供していただく取り組みを進めてきました。ご家庭向けには、「仕上げに3分冷凍庫DRY」として、十分に冷やした「スーパードライ」を、飲む直前に約3分間だけ冷凍庫に入れ※2、さらに冷やして「辛口のうまさ」を楽しむ方法を提案しています。

※2 冷凍庫には、20分以上入れないでください。他ブランド、缶以外の容器を冷やさないでください。

「スーパードライ3.0」ではその考え方をいよいよ商品そのものに反映し、ビールへの関心が高まる10月にお届けします。

一般的にビールの冷たさは、業界共通の根源的な機能価値であり、ブランドの差別化につながりづらいです。しかし、私たちはこの「辛口×冷え」の取り組みを、単なる商品戦略としてではなく、飲食店での品質・提供方法、家庭での楽しみ方まで一貫させた、スーパードライ独自の体験価値としてお届けしていきます。

品田 3商品のパッケージを同時に刷新するのも初めてですね。

堀 はい。通常缶に加え、「スーパードライ 生ジョッキ缶」と「スーパードライ ドライクリスタル」も同時に刷新しました。

中味のリニューアルに加え、缶の裏面には大きく「SUPER “DRY”」のロゴを配置し、シリーズとしての一体感を高めています。3ブランドを同時に展開することで、市場におけるスーパードライブランドの存在感をさらに高めたいと考えています。お客さまに一度飲んでみたいと思っていただくきっかけにもしたいですね。

通常缶に加え、「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」と「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」のデザインも同時に刷新。
DRYシリーズとしての一体感を強化した

品田 「スーパードライ」は来年3月に発売40周年を迎えます。

堀 はい。今回のブランド刷新は、たしかに大きな節目ですが、あくまでも通過点に過ぎません。酒税改正を機に、日本のビール文化そのものを再活性化させ、もう一度ビールの流れを変える。スーパードライが目指すのは、次の40年に向けた進化です。

品田 40周年を迎えるブランドのマネージャーを、ブランドより年下である36歳の堀さんが務められています。どのような心持ちですか。

堀 「スーパードライ」は、私が物心ついた頃から身近にあったブランドです。入社後は、その歴史や価値だけでなく、多くのお客さまから圧倒的な支持をいただいている事実を実感してきました。

先輩方が大切に育ててきたブランドですし、社内外に多くのファンがいます。その分、お客さまや社内からさまざまなアイデアやご意見をいただきます。

多くの声に耳を傾けながらも、最後はブランドマネージャーとしての責任のもと、お客さまにとっての価値を発想の真ん中に置いて判断することを大切にしています。その覚悟を持ってブランドと向き合い、辛口の価値をさらに磨きながら、次の世代へつないでいきたいと考えています。

品田 先頭を走るブランドをさらに進化させることの難しさは、どこにありますか。

堀 市場での立ち位置や競争環境は、お客さまにとって本質的な価値ではありません。主役はビールではなく、飲む人ですから。だからこそ、お客さまの「うまい!」をひたすらに追求したいと思います。それが、絶えずお客さまの期待を超え、新しい価値を提供し続けるということだと考えています。

ビールの需要が高まるこの酒税改正を機に、一人でも多くのお客さまに、1本でも1杯でも多く、「やっぱりビールはうまい」「ビールって最高だ」という感動体験を届けたいです。そして、その体験の輪の中心に「スーパードライ3.0」があることを願っています。進化した“新・辛口”を、ぜひキンキンに冷やして体験してください。

取材を終えて 日経BP 総合研究所 客員研究員 品田 英雄 取材を終えて 日経BP 総合研究所 客員研究員 品田 英雄

アサヒビールの大看板である「スーパードライ」の刷新を、30代の若きマーケターに託したことにまず驚かされました。すでに市場で圧倒的な支持を得ているブランドを、さらに進化させる。そこには、大きな責任と困難が伴うはずです。

取材を通じて感じたのは、堀氏の柔軟さと胆力です。さまざまな意見に耳を傾ける謙虚さを持ちながらも、最後は自らの判断に責任を持つ。その姿勢からは、ブランドマネージャーとしての強い覚悟が伝わってきました。

試飲した新しい「スーパードライ」は、力強い飲みごたえとキレのコントラストがより鮮明になった印象です。飲み終えた後の爽快感も際立っており、「スーパードライ」らしさを保ちながら新たな進化を遂げていることを実感しました。