食物繊維の摂取量を増やすという世界的なトレンド「ファイバーマキシング」が広がる中、
食物繊維を「質」で捉える新たな潮流が生まれている。
腸内細菌の多様性に働きかける「発酵性食物繊維」だ。
日清製粉はオーストラリアで育種された高食物繊維小麦を原料に、
発酵性食物繊維を豊富に含む100%天然素材の小麦粉「アミュリア」を日本で唯一展開している。
すでに600社を超える食品メーカーと取り組み、150以上の製品に採用されている。

一般的に便通の改善など腸活に役立つと言われている食物繊維。いま世界的に広がっているウエルネストレンドの1つが、食物繊維の摂取量を意識的に増やす「ファイバーマキシング」だ。
しかしここへ来て、そのトレンドは日本で新たな段階に入りつつある。「質」の重視だ。
注目されているのは「発酵性食物繊維」。善玉菌をはじめとする腸内細菌の栄養源となり、腸内細菌の増殖をサポートする働きが期待されている。腸内細菌を「摂る」から「育てる」という考え方へのシフトが進んでいるのだ。
腸内細菌の構成は一人ひとり異なっており、家族間でも違うと言われる。同じ食物繊維でも、得られる効果は一様ではない。そのため、近年では飲料やサプリメントで単一の成分を補うだけでなく、さまざまな食品から多様な発酵性食物繊維を日常的に摂取し、腸内細菌の多様性を維持することの重要性が認識されるようになった。
こうした流れを受け、食品業界でも発酵性食物繊維を無理なく摂取できる食品の開発が進んでいる。その代表例の1つが、日清製粉が2023年に発売した高食物繊維小麦粉「アミュリア」だ。
「アミュリア」は、一般的な小麦粉の約5倍※1の食物繊維を含み、その約80%※2が発酵性食物繊維で構成される。原料には、オーストラリアのアリスタ社が20年以上かけて育種した高食物繊維小麦を使用。食物繊維素材を後から添加するのではなく、小麦そのものが豊富な発酵性食物繊維を含む100%天然由来の原料であることが特徴だ。※1:日清製粉分析(AOAC2011.25法)による「アミュリア」、小麦粉の食物繊維量から算出
※2:日清製粉におけるパンの分析例からの換算値

※4:二次加工工程において食物繊維量は減少します。「アミュリア」100gあたりの食物繊維量約17g(日清製粉におけるパンでの分析例)をもとに、レタス1個300g、ごぼう1本150gとして、日本食品標準成分表2020年版(八訂)より算出。 ※5:日清製粉におけるパンの分析例からの換算値
「アミュリア」の原料は100%天然素材の小麦。
外皮ではなく胚乳そのものに、豊富な食物繊維を含む

※日清製粉におけるパンの分析例からの換算値
発酵性食物繊維の「多様性」も大きな特徴だ。
自然由来の複数種類の食物繊維を豊富に含み、
人それぞれ異なる腸内細菌の多様性を支える
「従来の小麦は外皮の部分に食物繊維を多く含んでいましたが、『アミュリア』は胚乳そのものに豊富な食物繊維を含みます。発酵性食物繊維を特に多く含むことが、これまでの小麦粉にない特徴です」(上原氏)
全粒粉やブランなどの従来の健康系素材に新しく、白くておいしい「アミュリア」が加わった形だ。「アミュリア」は味や香りにも癖がほとんどないため、パンやうどん、ラーメン、菓子など、日常的な食品に幅広く活用できる。普段の食事を置き換えることで、おいしく発酵性食物繊維を摂取できる点が大きな強みだ。
「今日はパン、明日はうどん、明後日はラーメン、おやつはクッキーというように、普通に食生活を送っているだけで、知らないうちに発酵性食物繊維を摂取できます。食品の素材だからこそ、できることです」と上原氏は話す。

日清製粉 営業本部 営業企画部 部長
上原 岳夫 氏

これまでに600社を超える食品メーカーと取り組み、150種類以上の製品に採用されている。2026年度上半期に商品化された製品だけで約40種類に上り、販売量も前年同期比約250%と大きく伸長。食品メーカーとともに新たな市場を創発している。


朝食向けに開発されたひと口サイズのソフトクッキー。パッケージ前面で「発酵性食物繊維」を大きく打ち出す。


5種類以上の野菜、1食1人前あたり10g以上・8種類以上の食物繊維やオリゴ糖などを組み合わせ、腸内細菌に配慮して設計されたミールキット。


湯捏製法による、もっちり食感とやさしい甘さが特徴の食パン。“おいしい健康志向食パン”をコンセプトに、日本人に不足しがちな食物繊維と葉酸を配合。
「まずは、発酵性食物繊維の認知を広げたい。そのうえで、食品メーカーが商品開発を考える際に『素材はアミュリアだよね』と思い出していただければ嬉しいです」(上原氏)
同社は「アミュリア」を「食のプラットフォーム素材」と位置づける。食品メーカーに原料として活用してもらうだけでなく、市場動向の共有から試作品開発、レシピ提案、時にはラインテストまで伴走し、顧客ごとの技術や設備、商品コンセプトに合わせた商品開発を支援している。
必ずしも使用する小麦粉すべてが「アミュリア」であることにはこだわらない。例えば、うどんなら他の小麦粉と半々程度の配合でも、1食で約8gの食物繊維を摂取できる。
「普段食べているものと変わらず、おいしく召し上がっていただくことが大切です」(上原氏)
同社が最も重視するのは「おいしさ」だ。各メーカーの個性やアイデアを尊重しながら、無理のない形で発酵性食物繊維を取り入れてもらおうとしている。
こうした考え方は、健康食品にありがちな「我慢して食べる」という発想とは対極にある。あえて健康を意識して選ぶのではなく、おいしいから食べていたら、いつの間にか発酵性食物繊維も摂れている。無理のない健康習慣を目指す。
今後の展開として注目されるのが、機能性表示食品への活用だ。「アミュリア」に含まれる発酵性食物繊維の1つである「小麦由来レジスタントスターチ」は、お通じが気になる人のお通じを改善し、おなかの調子を整えることが報告されている※3。日清製粉が当該成分の知見を食品メーカーに提供することで、「アミュリア」を原料とした機能性表示食品の開発を支援していく。※3:日清製粉が行った機能性表示食品の届出(届出番号L429)の届出表示に基づく
とはいえ、発酵性食物繊維市場は広がり始めたばかりだ。バイヤーから「それは何ですか」と聞かれることも少なくない。しかし市場の関心は高く、全粒粉が広く浸透したように、発酵性食物繊維もハイスピードで広がる可能性がある。
食物繊維の量を増やすファイバーマキシングから、質や多様性を重視する時代へ。発酵性食物繊維は、日本独自の進化を遂げながら新たな市場を形成しつつある。「食文化創発カンパニー」を掲げる日清製粉が目指すのは「健康のために食べる」のではなく、「おいしいから食べる」という選択が、自然に健康につながる食のあり方だ。

ファイバーマキシングから、ファイバーダイバーシティ(多様性)へ。「アミュリア」は食物繊維への注目が、量から質へと転換していく契機となる注目素材です。豊富な発酵性食物繊維を含むからこそ、いつものパンや麺、おやつを置き換えるだけで、そのまま健康的な食生活につなげられる。今後は「アミュリア」を原料とした機能性表示食品の開発も進むことが期待されます。2027年は、食べて楽しむ新しい健康市場がいよいよ本格的に立ち上がりそうです。