糖質は、そのとり方ととる糖質の種類が重要。セミナーレポート 糖質のとり方を見直す「糖質スローオン」のススメ

2002年頃にブームとなった「低インスリンダイエット」を皮切りに、"糖質のとり方"に注目したダイエットが時々で話題になってきた。ここ数年は糖質オフが1つのトレンドを作っているが、経験者は約6人に1人と多いものの、「2人に1人がリバウンド」「実践者の約半数が体調不良」という調査結果も発表されている。
そこで、今、注目を集めつつあるのが、糖質の重要性に着目し、過度に制限するのではなく吸収をゆっくりにして食後高血糖リスクを避ける"糖質スローオン"という考え方。9月2日に開催されたセミナーでは専門家がこのコンセプトについて論じ、平日昼という時間帯にも関わらず、多くの聴衆が詰めかけた。

※ 20〜50代1880人を対象とした調査より(2016年3月ネオマーケティング調べ)

糖質スローオンとは

糖質を腸管からゆっくり(スロー)吸収させる(オン)という考え方。食後血糖値の急上昇を抑えることで、糖尿病の予防・改善、脂肪蓄積の抑制が期待できる。糖質スローオンの方法として「糖質の吸収を遅らせる食物繊維などを一緒にとる」「糖のなかでも、ゆっくり吸収されるものを選ぶ」などがある。

佐藤秀美氏 学術博士(食物学)、栄養士 日本獣医生命科学大学客員教授  「糖質スローオンの実践方法の基本は一汁三菜。おかずに酸味のある料理、よく噛める食材を取り入れ、胃での滞留時間を長くするといった工夫も有効」
講演1 これからの糖質摂取のあり方と糖質を生かす商品設計
体に負荷をかけずに健康になれる糖質スローオンの可能性

 栄養士である佐藤秀美氏は、実施経験を持つ人も多い糖質オフについて、3つの問題を指摘した。「糖には、脂肪を燃焼させる種火のような働きもある。糖をとらずに脂肪を燃やすという考えはお勧めできません。また、糖質を減らすと、代わりにたんぱく質がエネルギーとして使用されるため、とり方を気を付けないと体の構成材料が足りなくなり、肌荒れや疲れやすさ、免疫低下、老化進行などさまざまなトラブルを引き起こすことにもなりかねません。さらに、摂取エネルギーのバランスが崩れることで、糖尿病や動脈硬化、心臓病、がんなどのリスクが高くなるといった研究の結果も発表されています」

 栄養バランスを崩さず、健康な体を手に入れるために佐藤氏が推奨する考え方が"糖質スローオン"。 「糖質は、ごはんやパンなどの目に付きやすいものに含まれているだけではありません。料理に使う砂糖、菓子やジュースなどの加工品に含まれる糖も見逃さず、すべての糖質のとり方を変えていくことが重要です」

秋谷健太氏 イトーヨーカ堂 食品事業部 「お客様の健康意識の高まりの中で糖質オフは一定の市民権を得てきた。しかし、糖質オフ商品にはおいしくないという意見もある」
講演2 イトーヨーカ堂式 売れる商品づくりと商品陳列
糖質スローオン、ヒットの鍵は機能性とおいしさの両立にあり

 イトーヨーカ堂で健康機能を持つ食品の企画販売などに力を入れてきた秋谷健太氏は、この市場は少なくとも今後10年間、伸長が見込めると言う。 「現在、シニアの支出額1位は健康関連です。ヘルスケア・ビューティ市場は、2010年以降急速に拡大し、乳酸菌入りアイテムやグラノーラ、健康油など数々のヒット商品が続々と登場しています。顧客ニーズに合った商品が登場すれば、市場はさらに盛り上がるはずです」

 イトーヨーカ堂では全国21店舗で、スーパーフード、健康油など健康テーマを掲げた売り場を展開。また、「からだマネジメントフェア」を年3回実施するなど積極的な仕掛けを実施している。 「糖質マネジメントに関する商品について、お客様の関心の高さを実感しています。しかし、お客様を満足させるには機能性だけでは不十分。糖質とうまく付き合いつつ、"おいしさ"も兼ね備えた商品が登場すれば、ヒットの可能性は大いにあると予想しています」

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