イノベーター達の挑戦 Vol.2「スタートアップの原点」

日本の強みを生かす、日本発のイノベーション

「日本」というブランドをつくる

阪根 「C CHANNEL」はどのようなマネタイズモデルを採用しているのですか?

森川 主な収入源は広告とEC、それにクリッパーと呼ばれる動画出演者によるインフルエンサーマーケティングです。クリッパーがプロデュースした独自ブランドのアパレルや化粧品を販売しています。服や化粧品そのものを売るというよりも、女性の生き方を支援できればいいなと。今の日本企業では、女性が活躍できる場が少ない。「C CHANNEL」を通じて女性が個人として情報を発信すれば、広告も取れるし、自分で商品もプロデュースできる。そうした生き方が一般的になればいいと思っています。

阪根 日本の女性の生き方を、アジアを中心とした世界に広めつつ、情報やモノも届けるというイメージですか?

阪根氏、森川氏 対談

森川 例えば韓国製品の場合、K-POPや韓流ドラマがアジアで流行っているから、韓国の化粧品も売れるわけです。日本も文化をもっと発信して、アジアの方々が日本に憧れるベースをつくったうえで、日本の商品を売っていかないと厳しいのかもしれません。「日本」というブランドをしっかりつくることが大切だと思います。

阪根さんは、“日本発”ということについては、どのようなこだわりを持っていますか?

阪根 セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズはハードウェア系のスタートアップですから、“日本発のものづくり”ということに、とことんこだわっています。

かつてソニーが世界を席巻したように、日本のものづくりは必ず世界をあっと驚かせられるという信念を持って開発に取り組んでいます。

実際、「ランドロイド」を海外で展示すると、「日本人のつくるものは、なんてクールなんだ」と言ってもらえることが多い。これからも日本人らしいシンプルさや、洗練されたものづくりにこだわっていきたいですね。

高齢化がより高齢化を促進する

阪根 ところで日本文化のユニークさは、漫画やアニメなども含めて、海外ではかなり注目されていますが、ビジネスではあまり成功していないイメージがあります。何が原因なのでしょうか?

森川 ファッションに関して言うと、かつてはとんがった時期もあったのですが、今はとんがった人たちが、ほかの業界に流れているイメージがあります。

根源的な問題となっているのが高齢化ですね。高齢化が進むと、おしゃれな服よりも、いつでも着られるコストパフォーマンスのいい服ばかりが売れてしまいます。無難な服だけが好まれるようになって、ファッションのトレンドが生まれにくくなるのです。

起業についても言えることですが、異質なものが叩かれる社会になると、とんがったベンチャーは生まれにくい。異質さへの許容性をもっと高めていかないと、日本発の流行は生まれないのではないでしょうか。

阪根信一氏

阪根 文化の面でも、高齢化といかに闘うかが大きな課題となっているのですね。

森川 私がかつて働いていたテレビ業界で言えば、最近は若い人がテレビを見なくなったので、お年寄り向けの無難な番組ばかりがつくられています。昔売れた歌手や芸能人ばかりが出てくるので、若い人がさらに離れていく。高齢化がさらに高齢化を促進しているのです。そういうところが、今の日本が抱える大きな課題なのかなと思います。

阪根 高齢化によって社会が成熟したことも、日本発のイノベーションを妨げている要因になっているように感じます。かつてソニーやホンダが生まれたころは、戦後の何もない時代だったので、誰もが挑戦しないと生きていけなかった。だからこそベンチャー精神に満ち溢れていたのではないしょうか。

しかし、今の日本は非常に豊かになって、国内市場だけでも十分に採算が取れてしまう。悪く言えばぬるま湯状態です。私たち世代に起業マインドを持った人材が少ないのは、そうしたツケが回ってきているのではないでしょうか。

挑戦する姿勢が人々の心を打つ

阪根 今、私たちが世の中から曲がりなりにもイノベーターの一員として見られているのは、「やめておけ」という反対意見と闘い続けてきたからだと思います。

イノベーションというものは、一度テーマを決めたら、とことんやり続けることによって生まれるのではないでしょうか。とんがったテーマであればあるほど、それを追求する過程では、反対や妨害、トラブルなど、さまざまなことが起こります。それらを乗り越えて成し遂げたことこそが、イノベーションと呼ばれるのです。

たとえボコボコにされても、声を高らかに「やりきろうぜ」と言って前に突き進む。そういう強い信念と挑戦する意欲を持った人たちがどんどん生まれてこないと、日本にイノベーションは巻き起こらないのではないでしょうか。

森川 その点、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは、ほかの会社ができないことに挑戦し続けているところに強さを感じますね。しかも、ただチャレンジするだけでなく、それを事業として確立させようと必死に取り組んでいるところに共感を覚えます。

挑戦する姿勢は日本人の心を打つと思いますし、もちろん製品も素晴らしい。これからもどんどん夢を追い続けて、歴史に残る大きな会社をつくってほしいと思いますね。

森川亮氏

阪根 最後に、森川さんにとってのイノベーションとは何でしょうか。

森川 私の場合、理不尽なことを経験すると、それを何とかしたいという気持ちが強くなるんです。闘わなくても生きてはいけるけど、そういう楽な生き方をする大人より、そことぶつかって傷ついても生きていける大人のほうが、次の世代に何かを残せるのではないかと思いながら事業に取り組んでいます。

ただ、そのためには成功しないと意味がありません。世の中に噛みつくだけでなく、そこから何とかみんなが満足する仕組みをつくり上げて、収益を上げることが起業家にとっては一番大切なのではないでしょうか。

イノベーションと呼べるのかどうかはわかりませんが、これからも理不尽と立ち向かいながら収益を上げていくことに精一杯チャレンジしていきたいと思っています。

阪根信一氏と森川亮氏
TOPページへ
/landroid 大切な人に、次の自由を。 詳しくはこちら
イノベーターたちの挑戦  Powered by seven dreamers

本サイトは、パートナーとともに、日経BP社が企画・制作しているWebメディアです。
運営会社:日経BP社 www.nikkeibp.co.jp  パートナー:セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社 https://sevendreamers.com/

Copyright © 1995-2017 Nikkei Business Publications, Inc

PAGE TOP