空気予報 空気の未来を考えよう
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女性の体はなぜ冷える?
筋肉不足と炭水化物でますます冷える

2016.12.16

(文/山田真弓)

冬のほうが痩せやすいくらい! 体温維持は大仕事

「冷え症で肩が凝りやすい」

「手足がいつも冷たい」

という女性は多いだろう。貼るカイロを使ったり、温熱効果があるという下着を重ね着したり、ダウンのコートを着たりと外側からの対策を万全にしているという話もよく耳にする。

ところが内科医の久住英二先生によれば、外側からの対策だけでは冷え性対策にはならないという。

久住英二(くすみ・えいじ)
2008年に立川駅の駅ナカにナビタスクリニック立川を開業。都市生活者の生活動線の真ん中に立地し、21時まで内科と小児科診療を提供している。現在、ナビタスクリニックは立川、川崎、新宿の3ヶ所。血液専門医であり、貧血外来を開設し、女性の様々な体調不良にも造詣が深い。旅行医学の専門家でもある。
また、医療ガバナンス学会の理事として、現場で感じた医療の問題点を解決すべく、情報発信している。

「人間は摂取したエネルギーのかなりの部分を体温を維持するために使います。成人の腋窩で測定する体温は35度~37度未満とされていますが、内臓の温度は38度もあります。内臓が機能を発揮するためには温度が一定に保たれている必要があります。外気温が高い夏の間は、保温にそれほどエネルギーがかかりませんが、外気温が15度、10度と下がると、人間は体温を保ち、生命を維持するのに大量のエネルギーを消費することになります」(久住先生)

お風呂を保温するためには、気温の低い冬は夏よりガス代がかかる。人間の体も、冬の方が内臓の保温にエネルギーが必要になる。つまり、エネルギーを消費しやすくなるので、「同じ運動量であれば冬のほうが痩せやすくなるくらい、熱を作り出すというのは大仕事なんです」と久住先生は話す。

(C)バタコ / PIXTA(ピクスタ)

筋肉が少ないからと動かず着こむとますます冷える

その大仕事をしている体の組織はというと「肝臓が3割、筋肉が7割」(久住先生)で、肝臓の大きさは体格に比例するため、一般的に女性のほうが肝臓が小さくはなっても、体に適したサイズなので熱量の差にはつながりにくい。

一方、筋肉も機能としての違いはないものの、筋肉を作るために重要な役割を果たすテストステロンという男性ホルモンの分泌量に大きな差がある。テストステロンが多く分泌されると筋肉を作りやすくなるが、女性は男性の10分の1ともいわれているくらいだ。熱を作る筋肉量が少ない以上、冷えやすい女性は冷えやすい男性より多くなる。

さらに成人女性の場合、運動する機会自体が少ないことも多く、もともと持っている筋肉も十分に使えていないケースが多い。そうなると筋肉はますます発達の機会を失い、熱も生み出しにくくなる。そして冷えを感じると今度は衣服を着こむようになる。特に冬になると「靴下を3枚はいている」「今日はトップスだけで5枚着てきた」など、驚くほど厚着をしている女性に出会うものだ。しかし着れば着るほど動きづらくなるため、さらに動かなくなってしまう傾向がある。

「寒いからとたくさん着こんで部屋に閉じこもれば、どんどん冷えやすい体が出来上がってしまいます」(久住先生)

なお筋肉量の低下で冷えるという現象そのものは男性にも当てはまることで、年齢を重ねてテストステロンが少なくなれば筋肉も付きにくくなるので、冷えを訴える人も増えるそうだ。

(C)Kazuhiro Konta / PIXTA(ピクスタ)