空気予報 空気の未来を考えよう
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換気と調湿で“空気質”向上!
ヒートショックはなくしていける編

2017.03.03

(文/山田真弓)

日本の住宅は冬、寒いと言われる。特に昔ながらの木造の家屋では断熱性能に課題が多く、リビングや寝室など空調機器のある部屋と、トイレや浴室・脱衣所などの空調機器のない部屋の温度差が大きく、これにより血圧の急激な変動(ヒートショック)が起きるリスクが高まると言われる。東京都健康長寿医療センター研究所が行った調査では、2011年の1年間に全国で約1万7000人もの人々がヒートショックに関連した「入浴中急死」に至ったと推計されたといい、この数字は2016年の交通事故死者数が3904人(警視庁発表)と比べると、4倍以上にも上る。

また、近年は花粉などによってくしゃみや鼻水が止まらないなど、良かれと思って行った部屋の空気の入れ替えによって、良くない影響が出るというケースもまま見られる。つまりそれだけ家庭内の空気の温度や湿度、ひいては空気の質は、家族の健康に影響を与えやすいものだといえるだろう。

では、家の中の空気の質=空気質はどうしたら向上できるのだろうか。パナホーム株式会社で話を聞いた。

家の中の温度差、5℃以上でヒートショックの危険性

実際、家の中で温度差はそれほど生まれるものなのだろうか。

パナホーム株式会社 住宅・技術研究所 居住環境研究室 中川浩室長は、「家全体での温度むらは当然起こり得ますし、部屋の中でも同じです」と話す。中川室長によれば、九州大学の栃原裕教授らは温度差が5℃以上になるとヒートショックが起きるリスクが高まるとしているといい、この温度差を防ぐためには全館空調の導入が望ましいものの、ランニングコスト面から日本では普及していないという。

英国建築研究所が開発した住宅の健康安全性の評価システムによれば、健康な温度は21℃で、18℃から健康リスクが現れ、16℃以下では深刻なリスクが現れるとされる。しかしこれを全部屋で達成する全館空調にはコストの壁がある。そこで同社では空調を使っている部屋と使っていない部屋の温度差を低減するために、「エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)」を導入した。

「エコナビ搭載換気システム HEPA+」のシステム。(1)床下に外気を取り込む(2)沈降作用で空気を浄化(3)HEPAフィルターでさらに空気をきれいに(4)きれいな空気を各部屋に供給(5)換気ファンで屋外へ排気

暖房室の空気をトイレや浴室に送ってから排気

パナホーム株式会社
住宅・技術研究所
居住環境研究室 中川浩室長

「前提として、弊社の住宅は気密性、断熱性が高いのが特徴です。ですから外気の影響を受けにくい構造ではあります。2003年7月の改正建築基準法で住宅の『計画換気』が義務付けられ、揮発性有機化合物によるシックハウスへの対策のため、現在の住宅は1時間あたり0.5回の換気能力を持つ機械式換気を設置し、24時間換気をしなければなりません。弊社ではこの換気システムを、単なる換気システムとしてだけでなく、空気質を上げるためのシステムにしたのです」と中川室長。

このシステムではまず家のベース空間と呼ぶ、床下に外気を取り込む。ベース空間では空気が緩やかに流れ、ホコリや花粉などの大きな粒子が沈下し、空気が自然にきれいな状態になりやすい。その空気をさらにHEPAフィルターを通すことで浄化。浄化された空気がエコナビ搭載の給気ファンで、各部屋に給気されていく。「各部屋に直接送られた新鮮な空気は、洗面や脱衣室、トイレから排気されるようになっています。暖房を使っている部屋(暖房室)で温められた空気が洗面や脱衣室、トイレなど温度が低い部屋に送られることで、温度差を小さくできるわけです」(中川室長)