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60年でこれだけ進化!エアコンの歴史に迫る

60年!エアコンの進化
60年でこれだけ進化!エアコンの歴史に迫る

2016.09.27

(文/安蔵靖志)

毎年のように猛暑が叫ばれるようになり、エアコンの需要が高まっている。エアコンというと人感センサーなどで人や物を検知して賢く温めたり冷やしたり……と進化を遂げてきたが、40代、50代以上の人は「クーラー」というイメージを持つ人も多いだろう。ではエアコンはクーラーからどのように進化を遂げてきたのか。2017年にエアコン事業開始から60周年を迎えるパナソニックに聞いた。

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ここ最近、猛暑といわれる年が増えてきている。気象庁の「気候変動監視レポート」によると、猛暑日(日最高気温35℃以上)の年間日数は確実に増加傾向にあるようだ。人口の高齢化を背景に、熱中症による死亡者数も1994年を境として大幅に増えてきている(厚生労働省統計情報部資料より)こともあって、我々の生活にエアコンが欠かせなくなってきている。

一般社団法人 家庭電気文化会の「家庭の昭和史」によると、エアコンは1935年に国産初の「空気調整機」として生産が開始され、52年に室外機・室内機一体型モデルの本格的な量産がスタート。58年には名称が「ルームクーラー」に統一され、59年には室外機と室内機が別々になった「セパレート型クーラー」が登場。65年には「ルームクーラー」から「ルームエアコン」に名称が変更され、66年ごろから急速に普及し始めたという。

とはいえ、「主要耐久消費財等の普及率(二人以上の世帯)」(内閣府調査)によると、一般家庭(二人以上の世帯)の普及率が20%を超えたのが77年で、50%を超えたのが85年。80%を超えたのが98年だ。カラーテレビ(1975年2月時点で90%超え)などと比べると、長期間かけてじっくりと普及してきた家電だと言える。普及率が90%を超えたのが2012年だというのだから驚きだ。

最新のエアコンというと、人感センサーなどの各種センサーを用いて人や物、間取りなどを検知するだけでなく、さらには人が「暑い」、「寒い」と感じている「温冷感」までセンシングし、それに合わせて室内を吹き分けるようになってきている。では、エアコンが登場した当初(当時はエアコンではなくクーラーだったが)はどのようなものだったのだろうか。滋賀県草津市のパナソニック アプライアンス社で、エアコンの歴史の一端に触れてみることにした。

最初期は室外機・室内機一体の「ウインド型」

まずは形、スタイルの違いから見ていこう。パナソニック アプライアンス社 エアコンカンパニー エアコン事業部 グローバル開発戦略担当(兼)開発管理部部長の安田透氏が紹介してくれたのは、同社が初めて製品化した「ナショナルクーラー」の1号機、ウインド型の「W-31」(1958年製造)だ。

歴史的なエアコン製品を紹介してくれた、
パナソニック アプライアンス社 エアコンカンパニー エアコン事業部
グローバル開発戦略担当(兼)開発管理部部長の安田透氏

「室内機と室外機が一体化した『ウインドタイプ』で、当時はまだ門真工場で作っていました。欧州風のデザインで、今でもちょっとしゃれている感じですよね。このときは(海外のクーラーを)見よう見まねで設計したと聞いています」(安田氏)

パナソニック(当時は松下電器産業)が初めて製品化した「ナショナルクーラー」の1号機、ウインド型の「W-31」(1958年製造)

ウインド型というと、窓枠にはめるタイプを思い浮かべるが、これはそれよりもさらに大きい。

「壁をくり抜いてはめるので、これを取ったら穴が空いてしまうため、このサイズに合うもので買い換えが進みます。そのため、今でもウインドタイプというのはグローバルでだいたいサイズが決まっているんですよ。ウインドタイプは中国やフィリピンなどでは未だに使われています」(安田氏)

適用畳数は6〜8畳くらいで、価格は「当時の給料の3カ月分ぐらいと言われています」(安田氏)とのことだった。現在で言うと、約60万円前後といったところだろうか。至ってシンプルな作りだが、細部の仕上げはとても精巧で高級感があり、ヨーロピアンな色合いも含めて魅力的に感じた。

いかにも冷えそうな「樹氷」が60年代に登場

続いて安田氏が紹介してくれたのが、いかにも冷えそうなネーミングの「樹氷」ブランド第1号機で、室内機と室外機に分かれた「セパレートタイプ」の「CS-82SK」(1969年製造)だ。

「樹氷」ブランド第1号機の「CS-82SK」(1969年製造)

「こちらは業界初の壁掛けセパレートタイプで、まだ冷房専用タイプです。現在のエアコンは下から吹きますが、これは上吹きタイプです。天井に吹き上げてからサーッと下りてくる『シャワー効果』を狙っています。このモデルから、壁に穴を開けて導管を通すというスタイルになっています」(安田氏)