空気予報 空気の未来を考えよう
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エアコンの操作性はどのように進化したのか?

60年!エアコンの進化
エアコンの操作性はどのように進化したのか?

2016.09.29

(文/安蔵靖志)

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エアコンの進化編はパナソニックの「ナショナルクーラー」から最新の「Eolia(エオリア)シリーズ」まで約60年、「クーラー」から「エアコン」までの歴史について、デザイン面を中心に紹介してきた。今回もパナソニック アプライアンス社 エアコンカンパニー エアコン事業部 グローバル開発戦略担当(兼)開発管理部部長の安田透氏にナビゲートしていただきながら、「操作性」や「性能」などについて迫っていきたい。

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「ナショナルクーラー」1号機は「オン・オフ」と「送風」のみ

海外のクーラーを「見よう見まねで作った」(安田氏)という「ナショナルクーラー」1号機の「W-31」(1958年製造)は、操作性がかなり原始的だ。

「ナショナルクーラー」1号機の「W-31」(1958年製造)

「クーラー」と名が付くだけあって、当然部屋を冷やすことができるが、温度調節の機能は持たない。ダイヤルが2つあり、1つはクーラーのオン・オフと送風の切り替えができるようになっている。

もう1つのダイヤルは「ベンチレートといって、外気導入と内気循環が切り替えられるようになっています。車と同じですね」(安田氏)という。

「W-31」の操作部。とてもシンプルな作りだ

現在は上下の風向を変える「フラップ」と左右の風向を変える「ルーバー」が付いていて、それらが自動的に動作するようになっている。しかしこのときはまだ角度が固定されたルーバーを引っ張り出して90度ずつ回転させることで、風向が変えられるようになっている。

フラップを引っ張り出したところ

当時は室内機と室外機が一体化しているため、現在は室外機に収納されているエアコンの心臓部である「コンプレッサー」が本体に収められている。そのためサイズは大きいが冷房能力はそれほど高くないようだ。

壁掛け型の「樹氷」も、操作面は黎明期

「樹氷」ブランド第1号機で、室内機と室外機に分かれた「セパレートタイプ」の「CS-82SK」(1969年製造)はどのように操作性が進化したのだろうか。

「樹氷」第1号機の「CS-82SK」(1969年製造)を紹介する安田氏

壁の上の方に設置するため、現在のエアコンの原型とも言えるスタイル。しかし当時まだリモコンはなく、操作は本体右端のパネル内にあるスイッチで行っていた。温度調節は9段階、風速は「弱冷」、「中冷」、「強冷」の3種類に対応。ルーバーの角度は本体左端のダイヤルを回して操作するようになっている。操作部はフタで隠されるように変化したものの、基本的な作りはナショナルクーラー1号機とほとんど変わっていない。

「樹氷 CS-82SK」の操作部

一方で変化したのは冷房能力だ。

「『ナショナルクーラー』に比べると小さく見えますが、熱交換器は2倍くらいに大きくなっています。詳しい性能は覚えていませんが、かなり冷房効率が上がっています」(安田氏)

樹氷1号機の適用畳数は8畳程度。ナショナルクーラー1号機の適用畳数が「6畳から8畳」(安田氏)とのことなので、サイズは大幅に小さくなったものの、冷房能力はほぼ同じと考えていいようだ。

初の冷暖房機「楽園」は操作性が向上

「楽園」ブランド1号機の「CS-220AK」(1974年製造)は、業界に先駆けて暖房を搭載した「冷暖房機」だ。

「楽園」ブランド1号機の「CS-220AK」(1974年製造)。右下にヒモが見えるのが分かるだろうか

操作部は先ほどの「樹氷」1号機から進化している。特に大きく変わったのが「リモコン」……ではなく、操作用のヒモだろう。壁の高い位置に設置しても操作しやすいように、電灯にあるようなヒモが付いており、引っ張ると「強」、「中」、「弱」、「送風」などと切り替えられるようになっている。ダイヤルの文字は小さくて見づらいが、その隣の窓に「送風」などと大きな文字で表示してくれる気遣いが心憎い。

「楽園 CS-220AK」の操作部

「ここから簡単なマイコンが入っていて、自動車のエアコンのようなサーモスタットを使って簡単な温度設定ができるようになっています。『冷房』、『暖房』、『霜取』というランプがありますが、これ専用の大きな基板が入っています。ただ、これは今のエアコンの原型に近いですね」(安田氏)

楽園1号機の適用畳数も8畳程度。ただし冷暖房に対応してサーモスタットやヒーター、ランプ用の基板などを搭載したためか、樹氷1号機に比べると大型化している。