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省エネ化で消費電力は15年前の半分以下! 災害時も活躍する業務用空調機の最新事情

大型空調機の世界
省エネ化で消費電力は15年前の半分以下!災害時も活躍する業務用空調機の最新事情

2016.11.09

(文/磯 修)

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商業施設や病院、イベントホールなどの大空間を快適に保っているのは、業務用空調機のなかでも横綱といえる存在の「吸収式冷凍機」だった。鉄仮面のような堂々とした見た目に反し、電力をほとんど使わずに駆動できる点や、環境破壊につながるフロンを一切用いていないなど、環境性能にも優れている点が注目される。

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業務用空調機のなかで、構造が家庭用エアコンに近いオフィス・店舗用空調機も、省エネ性能や環境性能が大きく進化している。昨今、自然災害が多く発生していることを鑑み、停電した際も自家発電で空調や照明が使えるようにした災害対応モデルも登場。避難所となった役所や公民館などで、人々の不安や寒さを軽減してくれるのだ。そこで今回は、業務用空調機の最新事情や、パナソニックの空調事業に対するこだわりを取材した。

驚きの省エネ化が進む業務用空調機

大空間向けの吸収式冷凍機「ナチュラルチラー」を生産しているパナソニックの大泉工場(群馬県邑楽郡大泉町)では、オフィス・店舗用の空調機も手がけている。草津工場(滋賀県草津市)で作られる家庭用エアコンを除き、パナソニックの空調機の多くを、この大泉工場で生産しているのだ。

大泉工場内に設けられたショールームには、最新の大型空調機をズラリと展示。まず目を引いたのが、小規模の事務所や店舗に向く業務用エアコンの省エネぶりだ。ほぼ同等の空調性能を持つ新旧モデルを比較したところ、2001年発売の旧モデルは最新モデルと比べて消費電力が実に半分以下に抑えられていた。見た目はほとんど変わりないのに、わずか15年間でこれほどの省エネ化が図られたのには驚かされる。

ほぼ同等の性能を持つ新旧のオフィス・店舗用エアコンで消費電力を比較。室内機や室外機のサイズはほとんど変わらない

15年前のモデルの消費電力量が1.4kWだったのに対し、最新モデルは0.6kWで済んだ。実に半分以下で、劇的な省エネ化が図られていた

空調を働かせている際、室内を快適にする役割を担うのがナノイーだ。ナノイーは、ニオイのもととなるアンモニア(NH3)と結合することで、アンモニアを水(H2O)と窒素(N2)に分解する仕組み。家庭用エアコンでは、ナノイー発生機能を本体に内蔵する機種が増えているが、業務用空調機では従来の約10倍もの濃度でナノイーを発生させる「ナノイーX」を初めて搭載した4方向天井カセット形室内機が登場。今後、店舗やオフィスでの快適性がさらに高まりそうだ。

ナノイーを発生させる放電機構を改良することで、発生濃度を従来の約10倍に高めた「ナノイーX」を搭載する業務用エアコンの4方向天井カセット形室内機。ナノイーの数は、実に毎秒4兆8000億個にも達するという

イオンの状態で発生するナノイーは空気中のアンモニアと結合しやすく、水と窒素に分解される