空気予報 空気の未来を考えよう
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エアコン室外機の進化 ファンと寒冷地仕様編

エアコン室外機の進化
ファンと寒冷地仕様 編

2017.03.24

(文・写真/安蔵靖志)

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前編では、圧縮機や熱交換器など、室外機の内部構造についての説明となったが、この項では、室外機に内蔵されているファンの仕組みや、寒冷地仕様など過酷な環境向けに作られた室外機について、また室外機の進化について、前編に引き続き、パナソニック アプライアンス社 エアコンカンパニー エアコン事業部 商品開発部 機構開発課 主任技師の松原慶明氏に伺った。

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WXシリーズの室外機は2枚羽根形状のファンが採用されている

ファンの周りには、風の流れをコントロールするカバーが取り付けられている。室外機の側面と背面から空気を吸い込み、ファンの前面から空気を吹き出す流れになっている。

「ファンとカバーのすき間の大きさやカバーの形状で送風効率が変わったり、すき間をつめすぎると音が鳴りやすくなり、その寸法や形状は非常に重要です」(松原氏)

上部カバーを取り外したところ

試行錯誤しながらファンの形状をブラッシュアップ

ファンの羽根は扇風機とは形状が異なるものの、昔からそれほど大きく変わっていないようにも見える。そのあたりは進化しているのだろうか。

「見た目は似たように見えますが、断面を見ると複雑になっています。同じ面積でも風を効率よく送り出せる形だったり、風の剥離を起こさないような形状であったりさまざまです。また、部位によって厚みが異なっています」(松原氏)

羽根はシミュレーションしながら開発しているとのことだが、実際に性能試験を行いながら修正を施している。

「実際にファンを作って性能をテストすると、もう少し強度がほしいという状況が生じたりします。そこで一部のカーブの大きさを微妙に変えたり、補強用のリブを入れたりして強度を上げています。ただしそれらが邪魔をして性能が落ちることもあるので、試験で解析しながら邪魔にならないような形で量産にたえうるものを作っています」(松原氏)

写真では分かりにくいが、場所によって厚さが違っている

薄くしながら強度を高めるために、リブと呼ばれる補強形状を追加している

省エネ性を上げるためには軽く薄くすればいいが、回転するとファンがたわんでしまう。回転数が上がるとだんだん広がっていってしまうため、強度が必要になる。台風などで外から強風が吹くと、それによってファンが回されてたわむこともあるため、そういった強風にも耐えられるような設計が必要になるという。

エアコンは10年や20年、同じ機種を使い続けている家庭も少なくない。室内機はまだいい環境で使われるからいいが、室外機は風雨や雪などにもさらされる過酷な環境で使い続けられるようになっているのだから大したものだ。

寒冷地仕様だけでなく、塩害向けや酷暑仕様モデルも!

過酷な環境というと、「寒冷地仕様」のエアコンも各メーカーが販売している。寒冷地仕様というのはどのような仕様になっているのだろうか。

「まず、エネチャージシステムについては、寒冷地ほど霜取り運転に必要なエネルギーが増えるので、蓄熱の量が不足しそうな時にアシストとして、エネチャージシステムにヒーターを搭載しています。また、霜取り運転で溶けた水が室外機から外に出るまでに、寒冷地では再び凍ってしまうことがあります。そこで再び凍結しないように基板をヒーターで温めています」(松原氏)

過酷な環境という意味では、海沿いの街などで潮風にさらされる場合なども大変そうだ。

「一般地向けでも基本的にはさびにくい金属を使っていますが、塩害向けモデルというものがあります。さらに『重塩害向けモデル』というのもあり、それはネジの耐食性を上げたり、塗装をさらにもう1層加えるなどしています。塩害向けモデルは海岸線から約300m以上離れた場所、重塩害向けはそれより内側向けとなっております」(松原氏)

日本にはないが、砂漠地帯など向けの「酷暑仕様モデル」というのもあるとのことだ。

「中近東では気温が50℃以上に達する地域もあります。そこでは気温もそうですが、砂の粒が日本よりも細かいことが課題となっています。通常の室外機は電装品部分の一部に隙間があるのですが、酷暑仕様モデルでは砂対策のために密閉されています。そうすると電装品部が高温になるため、内部に冷却ファンを入れて電装品に負荷がかからないような工夫をしています」(松原氏)