空気予報 空気の未来を考えよう
空気予報 空気の未来を考えよう

なぜ不規則な変化をする無回転ボールが蹴れるのか キッカーと風の関係 無回転フリーキック誕生編

なぜ不規則な変化をする無回転ボールが蹴れるのか
キッカーと風の関係 無回転フリーキック誕生編

2017.03.30

(文/すぎさきともかず 写真/高梨秀樹)

2018 FIFAワールドカップ ロシア アジア地区最終予選が行われている中で、期待されているのは勝利を呼ぶゴールだ。特に相手ゴールに直接シュートを決めるフリーキックは、プロならではの職人技とも言える。そこで今回は、風の影響を受けながら不規則にボールが変化する「無回転フリーキック」で数多くのゴールを決めてきた元サッカー日本代表・三浦淳寛さんに、ピッチから感じたボールと風の関係、ボールの進化と無回転フリーキックの関係について伺った。

* * *

三浦淳寛(みうらあつひろ) 1974年7月24日生まれ、大分県出身。元サッカー日本代表。ゴールキーパー以外のポジションはどこでもできるマルチプレーヤーとしても知られ、日本における無回転フリーキックの先駆者。現役時代は横浜フリューゲルス、横浜F・マリノス、東京ヴェルディ1969、ヴィッセル神戸、横浜FCでプレー。2011年4月引退後、サッカー解説者として活躍する傍ら、指導者としての道を歩んでいる。J1直接フリーキックの歴代通算得点数は中村俊輔(ジュビロ磐田所属、元日本代表)、遠藤保仁(ガンバ大阪所属、元日本代表)に次ぐ第3位(2017年2月時点)。Jリーグ直接フリーキックゴール23得点。

30m以上の距離から無回転フリーキックを決めていた三浦さんは、当然、風の影響を感じながら蹴られていたと思います。そこで、まずは試合中に感じられていた風の影響について教えてください。

三浦淳寛さん(以下、三浦さん):サッカー中継では伝わりにくいですが、風の強い時だと狙ったところに蹴る感覚は本当に変わってしまうんです。だから、フォロー(追い風)なのか、アゲインスト(向かい風)なのか、いつも試合前に確認していましたね。フォローであればボールは風に乗って勢いよく飛んでいきますから、ゴールまで遠い距離からでも積極的にシュートを打つ。逆に、アゲインストの時は相手にシュートを打たせないようにしていました。

風の影響を考えながらプレーするようになったきっかけはあったのですか?

三浦さん:プロ入り後、25歳からはじめたゴルフです。ゴルフは風の影響を凄く受けるスポーツですから、風を計算してボールを打つのが当たり前ですよね。ゴルフで得た「風を味方にする」感覚を取り入れていったように思います。右から強い風が吹いていれば、ボールは風の影響を受けて左に曲がっていきますから、風に乗せて鋭く曲げる強い回転をかけたボールを蹴っていましたよ。

横浜フリューゲルス時代にはエドゥ・マランゴン(ゴールまで40m以上離れた距離からフリーキックを決めたことでも知られるブラジル人選手)、横浜F・マリノス時代には中村俊輔のキック技術の高さを目の辺りにした三浦氏は、無回転フリーキックを蹴る独自の技術をプロ入り後、さらに磨いていった。

味方からのロングパスを受ける時もあれば、ロングパスを蹴る機会も多かったと思います。様々なポジションでプレーされていたことも影響しているのでしょうか?

三浦さん:やっかいなのは上空に浮いたロングパスを受ける時です。パサーからボールが蹴られた瞬間、通常であればボールが落ちる位置も感覚で分かるのですが、アゲインストですと自分が思った以上に手前で落ちます。上空の風の強さは、ピッチで感じている強さと同じではありませんから、風の強い時はパサーに対して「低いボールを出してほしい」と要求することもありました。