空気予報 空気の未来を考えよう
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空気を香りでデザインする
香りのデザインで空間演出

2016.11.09

(文/佐藤俊郎)

香りによって環境や季節を彩れる

ホテルや百貨店、アパレルショップなどさまざまなジャンルの施設で香りをデザイン。業務用のディフューザーをフロアに置いたり、空調で流したりして来場者にオリジナルの香りをインプットする。

武石さんによると、この香りのデザイン性と機能性をうまく組み合わせることで様々な目的やニーズに合った空間演出が可能になってくるという。たとえば、働く場としてリフレッシュや集中力アップを図りたいオフィスでは、集中力を高めるローズマリーと清涼感のあるペパーミントの香りを漂わす。一方、年齢や性別を問わず幅広い人へのおもてなしが求められるホテルにおいては、万人に親しまれやすいオレンジやベルガモットといった柑橘系の香りが相応しい。また、居心地の良さやリラックス感を演出したいショールームやショップに至っては、落ち着きのあるウッド系や華やかなフローラル系の香りという具合だ。

「百貨店やセレクトショップではフロアごとに香りを違えるところもあります。森など自然に近い香りを好む傾向にある男性、対して女性はフローラルの柔らかで華やかな香りを好みがちなので、そうした香りの性差を意識した演出もできます。いずれにしても、空間のイメージやコンセプトを依頼側から伺って、具体的なキーワードや色、それにイメージ写真などを互いに共有しながら、具体的な香りをご提案していきます」。

季節感も、3か月ごとに香りを変えることで効果的に演出していけるらしい。新社会人や新生活の春は華やいだ気分にマッチするフローラル系、暑く湿気もある夏はペパーミントなどで涼しさを表現。一転、秋になれば紅葉に合わせてベルガモットやホーウッドでしっとりと落ち着いた空気をデザインしていく。風邪などが猛威をふるう冬になると、抗菌・抗ウイルス作用が期待できるユーカリを使いながら、ジンジャーやオレンジなどでほっこりとした温かみを演出する。

「ANAの空港ラウンジや機内サービスでオリジナルの香りを演出した際は、日本のエアラインらしさと『またANAに乗りたい!』と思いたくなる香りを求められました。そこで、一般に馴染みやすい柑橘系はあえて避け、ややスパイシーなローズマリーと日本を感じさせる檜や高野山に育つ高野槇を使って、記憶に残りやすい尖った香りを考案しました」。2020年の東京オリンピックを控え、檜や杉、ひばといった日本らしさを表現する香りが空間演出ではより注目を集めていきそうと武石さんはみる。

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