空気予報 空気の未来を考えよう
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天気を読み、職場の空気も読む
天気との付き合い方編

2016.12.02

(文/佐藤俊郎)

天気の移り変わりに応じて、自分の体調を整える

河合さんには『体調予報-天気予報でわかる翌日のからだ』(講談社プラスアルファ新書)という著書がある。カラダと天気の関係をわかりやすく解説したもので、低気圧や高気圧の配置が様々な症状を引き起こすという。曇りの日は頭痛になりやすく、台風が近づいてくると気管支喘息を起こしやすい。「そもそも気圧が下がると、自分の弱いところに影響が出やすくなります。古傷が傷んだり、お腹が弱い人は痛くなったりするんです」。ヒポクラテスの時代から、気圧が下がったときは出血量が増えやすいので手術を控えた方がいいと言われてきたようだ。

また、空気の乾燥は人の体力を奪いやすい。高齢者や病気を患っている人が冬場に亡くなることが多い一因にもなっている。当然、天気が良ければ心も晴れ晴れとし、朝から雨が降っていれば気が重く、落ち込みやすい。太陽が上がると仕事をし、太陽が沈むと眠る。そうした生活が崩れてくるとうつ病にもなりやすいと言われる。冬場日照時間が激減する北欧でうつ病の患者が増えることがそれを物語っている。

「気温が22度、湿度が60~65%が人にとって一番心地良く過ごしやすい。太陽の下で思わずうとうととまどろんでしまう、そんなストレスを感じない状態です。でも、そんな日は春先や秋などに限られ、あっても年に何日もない。むしろ不快な日の方が多い。そうした不快な日をいかに快適に送れるように心掛けるかが大切なのです」。例えば、湿気があると感じたら雨が降りやすい。こういう日には新しい靴を履いていかないほうがいい。せっかくのおニューが雨水で台なしになってしまうからだ。髪の長い人はバサバサにならないよう、結んでまとめておくことも気分良く過ごす上で大切。

くもりの日は気圧が下がるのでアスピリンなどを持って出かけ、万一のときは服用する。仕事はなるべく早く済まして早く帰宅するように心掛けた方がいいし、夏でも冷えやすいので、温かい飲み物を意図的にとってカラダを温めるようにする。こうした備えをすることで気持ちが安心し、不快な日でも元気に過ごせるようになると河合さんはアドバイスする。

精度の高い天気予報も最終的に決めるのは人

スーパーコンピュータを導入した天気予報は、時間ごとの天気の移り変わりを地域ごとにピンポイントでわかるようになってきた。その精度は80%ぐらいまで上がってきたが、「残り20%は人なんです」と河合さんは言う。データを分析し、これまでの経験値から読み取り、最終的にどういう判断をするかは、予報士のセンスや勘。このセンスや勘を働かせるときに「体感」する部分がひとつの参考となるそうだ。それだけ肌で空気を感じることが大事ということ。

朝起きたら外に出て空気を感じてみよう

では、専門的な知識がない私たちはどう感じたらいいのだろうか? 河合さんはまず朝起きたら、ベランダに出て空気を吸うことを勧める。そうして空気を感じることを続けていくと、湿気や気圧の具合と、それを体感したときにココロやカラダがどう反応するのかが次第にわかっていくという。「外を歩くときも、スマホばかり見て下を向いていないで、空を見上げてみる。雲の形などからもその日の天気がわかります。そうすることで、それまで気にとめなかった季節の移り変わりや街の変化にも気づき始め、暮らしに彩を加えられることでしょう」。

まさにそれは、「天気とともに暮らしてきた生物としてのヒトに戻る瞬間」と河合さんは指摘する。空気をココロとカラダで感じる。これって、お金がかかるわけでもなく、やろうと思えば明日からでもすぐにできる。そうすることで、現代社会や都会生活で失いがちな、本来の人間らしさや人間性というものが取り戻せるきっかけになるかもしれない。

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