空気予報 空気の未来を考えよう
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天気を読み、職場の空気も読む
職場の空気の作り方編

2016.12.02

(文/佐藤俊郎)

空気を自分で変えていくことができる

ときにはどしゃぶりの雨が降ることもある。でも、そんなときに傘を広げて「ここに入りな」と言ってくれる人がいるとほっとする。気温10度に冷え切っていた心もたちまち18度に跳ね上がることだろう。「この傘をさしていけば」と快く貸してくれる人がいれば、まんざらでもないなと思う。そして雨の後には決まって、気持ちのいい晴天がやってくるもの。「だから、そうやって助けてくれる仲間を自分の周りにつくっておく。それはすなわち、そういう人たちが集まってきやすい空気を自分でつくっていくのです」。

空気を変え、つくっていくには、「まずは挨拶をすることです」と強調する。河合さんは健康社会学者の修士と博士号を取得するために東大大学院に7年ほど在籍したことがある。通った研究室では学生たちはもくもくと自身の研究を行うばかり、誰も周囲に挨拶をするものがいなかった。子どものころから親に挨拶の大切を厳しくしつけられた河合さんはそうした挨拶のない状態が居心地悪く、来たとき帰るときは必ずひとりで挨拶をし続けたという。すると、次第に河合さんの挨拶にひとり、ふたりと応え始め、そのうちに世間話までし始める。前夜にサッカーのワールドカップの試合があった日はサッカーの話で盛り上がったりと、会話など全く交わされることがなかった研究室の空気が徐々に和みだしたそうだ。

「挨拶というのは最初、勇気が要ります。やっぱり知らない人に声をかけるのはハードルが高い。でも、黙っているだけでは何も変わりません。マンションのエレベータで見知らぬ隣人と乗り合わせた時、黙っているとどんよりとした空気に押しつぶされそうになります。でも、ちょっとばかり勇気を振り絞って挨拶をすると、気まずい空気はたちまち解消されます。挨拶は自然に笑顔も生み、何度か繰り返すうちに会話まで生み、確実に場の空気を変えてくれます」

空気をあえて読まない鈍感さも必要

ただ、空気を読むとはいっても、過剰な反応はいけない。「今は読むというより、現象に振り回されているきらいがある」と河合さんは心配する。「そこには周りから嫌われたくないという思いがあり、面倒なことは避けようとする意識も働いています。過剰なまでに『こんなことを言うと周りから白い目で見られる』『これをしたら、きっと変だと思われる』と自分で勝手に解釈してしまい、結局言いたいことが言えないし、行動しない空気を生んでしまうのです」

かつては空気が読めない人も周りに結構いたが、「あの人はしょうがない」「ときにはこんなこともあるから仕方ない」と大目に見たり、あまり気にしていなかったりしたものだ。河合さんは社会全体にそうした許容性がなくなり、余裕がなくなっていると分析する。行き過ぎのないバランス感覚があくまでも大切なわけで、ときには空気をあえて読まない勇気も必要なのだろう。