一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル 代表理事 滝川クリステルと考える 生物多様性を守るために今、できること

一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル 代表理事 滝川クリステル
©阿部雄介

物事は必ず俯瞰して見るようになった

——ボルネオ島訪問の経験は、滝川さんの考え方にどのような影響を与えましたか?

滝川 ヘリコプターから島を見下ろした経験から、同じ場所、同じ目線から見るだけではわからないことがたくさんあるということを痛感しました。だから、物事をなるべく俯瞰して見るようになりました。

また、人々が自然の貴重さを理解するためには、地道な教育が必要だということもわかりました。森や生き物は、一度失ってしまうと二度とはもとには戻りません。ところが、人間中心の社会に暮らしていると視野が狭くなり、そのことを忘れてしまいます。だからこそ、まずは「知る」ことの大切さから伝えていきたいと思っています。

——メディアや講演会などを通じて、生物多様性についてお話しされることの多い滝川さんですが、情報を発信するときは、どんなことを意識していますか?

滝川 たくさんの方に気軽に情報に触れてほしいと思っています。だからこそ、「わかりやすさ」や「入りやすさ」には気をつけています。知識や関心のない方々にも、「この人のこと知ってる、見てみよう」「記事を読んでみよう」と私のことを入り口にしてもらえるとうれしいですね。

インタビュー写真

生物多様性保全って、とても難しいことのように思われがちですが、決してそうではないんです。こうやって記事を読んで、ボルネオ島の熱帯雨林の危機について知る。友人や家族に話してみる。「日本はどうなんだろう」と調べてみる。社会や環境に配慮した商品を選ぶ。こんな小さな積み重ねが、重要な意味を持っています。

得た情報や知識を口コミで広める、しっかりとした軸を持って日常の買い物をする、というのは比較的女性のほうが得意だと感じます。社会や家庭の中で賢く「伝える力」「決める力」を発揮して、男性や子どもたちに影響を与えていく役割を担ってもらえたら、と願っています。

ファッションを通じてでも、行動はできる

——ほかにも、ボルネオ島で保護された野生のゾウのミルク代をサポートするため、アクセサリーを制作して売り上げを寄付されていますね。

滝川 今、日本のスーパーにある商品の半数近くにパーム油が使われています。私たちが毎日知らずに使っているもののために、ボルネオ島のゾウやオランウータンは暮らす場所を追われ、劇的にその数を減らしています。それを知らないまま過ごすのか、それとも、彼らの命を少しでもつなぐことを考え、行動するのか。その行動の一つになればと、ボルネオ島で出逢ったゾウやオランウータンの生き生きとした姿をモチーフに、ピアスとネックレスを制作しました。おかげさまでたくさんの方々に購入いただき、赤ちゃんゾウが立派に大きくなるくらいのミルク代を送ることができました。

——ファッションという身近なものを通じて、生物多様性を守ることができるんですね。

滝川 入り口は好奇心でいいと思います。動物モチーフのアクセサリーを探していたらたまたま見つけて、そこから熱帯雨林の問題について知ったという方もいらっしゃいます。「こんな商品があるんだって」と誰かに伝えてもらうだけでも、大きな力になります。

——生物多様性保全への関わり方には、多くの選択肢があるのですね。

滝川 その通りです。選択肢が複数あるというのは、とても幸せなことだと思います。社会や環境によっては、選ぶ余地さえない場合もありますから。ぜひ、自分にできるところから始めてもらいたいですし、今後もいろいろな選択肢を発信していきたいと思っています。

——滝川さんの今後の活動予定についても教えてください。

滝川 引き続き、啓発活動やアクセサリー販売でボルネオ環境保全活動をサポートしていきたいと思います。また、私が代表を務める財団で、アニマル・ウェルフェアに則った犬猫の殺処分ゼロを目指すプロジェクトも行っているのですが、2020年に向けて新しい企画が動きだしています。今年中に内容をお知らせする予定ですので、注目していただけるとうれしいです。

入り口は“好奇心”だっていいんです。小さな行動の積み重ねが生物多様性保全につながるのだから