たかさご じゅんじ。自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。熱帯から極地まで世界中の国々を訪れ、海中、生き物、虹、風景、星空など、地球全体をフィールドに、自然の繋がり、水や生命の循環、人と自然の関わり合いなどをテーマに撮影活動を行っている。著書は、「PLANET OF WATER」(日経ナショナル ジオグラフィック社),「night rainbow」「LIGHT on LIFE」「free」「夜の虹の向こうへ」(小学館)、「Dear Earth」(Pie International),「光と虹と神話」(山と渓谷社)ほか多数。ザルツブルグ博物館、東京ミッドタウンフジフイルムスクエア、渋谷パルコ、阪急百貨店ほかで写真展も多数開催。TBS「情熱大陸」、日本テレビ「未来シアター」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然の大切さ、自然と人間の関係性、人間の地球上での役割などを幅広く伝え続けている。
海の環境非営利団体OWS(Oceanic wildlife society)理事。みやぎ絆大使。

その幻想的な美しさで、人々を惹きつけてやまないオーロラ。光のカーテンを一目見ようと現地を訪れる人は後を絶たない。これまで20回以上カナダを訪れているという写真家の高砂淳二氏もその一人だ。水中カメラマンだった高砂氏は、どんなきっかけでオーロラに出会ったのか。また、オーロラの下で何を感じたのか。

頭上で揺れるカーテンのような
オーロラに圧倒された

私が初めてカナダを訪れたのは、今から20年以上前のこと。水中カメラマンとして海の中の生き物を撮っているうちに、陸上の動植物にも興味が湧くようになりました。アザラシの赤ちゃんの写真を撮影しに真冬のカナダに向かいましたが、現地の自然の豊かさ、美しさにあっという間に魅了されてしまいました。

オーロラと出会ったのは、その数年後の2001年。雑誌の撮影でオーロラ観光で有名なフォートマクマクマレー(アルバータ州)に行き、生まれて初めてこの目でオーロラを目撃しました。上空を見上げたら美しい緑色をしたオーロラがあって、分厚いカーテンが揺れるようにワサワサと動いた、あの瞬間。本当に圧倒されました。

この光景を何度でも観たい、撮影したいと思って、たびたびカナダを訪れているうちに、「オーロラを見たいのなら、イエローナイフに行くべき」とたくさんの人に勧められました。初めてイエローナイフに向かったのは2011年のことでした。

イエローナイフは北緯約60度にある湖畔の町。「オーロラベルト」と呼ばれる、オーロラが頻繁に出没するエリアに位置しています。さらに真冬の晴天率が高いのが特徴で、「イエローナイフに3日もいれば、95%の確率でオーロラが見られる」と言われているそうです。

面白いのは、その鑑賞法。凍った湖の上に立ってオーロラを眺めることができるのです。イエローナイフは1、2月頃にマイナス30度近くまで気温が下がるので、湖が凍って約1メートルの分厚い雪と氷に覆われます。一部の雪をかき分けて道を作ると、氷上の道「アイスロード」となります。ただ、氷はとても硬いので、オーロラを見るときはアイスロードを気にせず氷上を自由に車で走り回っています。

オーロラを見るには人口の光がなく、視界が開けた場所がベスト。さらに雲の状況によってもオーロラの見え方が変わるので、街から離れた場所に移動しやすく、常にベストなポジションで見られるイエローナイフは、うってつけと言えるでしょう。雑誌の撮影などでもよく使われているので、みなさんがよく目にするオーロラの写真はイエローナイフで撮影されたものかもしれません。

凍った湖の上に立って、空中に広がったオーロラを眺める。街から遠く離れて見ることができるので、光の影響も受けづらい。
PHOTOGRAPH BY JUNJI TAKASAGO

アイスロードの下はガチガチに凍った氷が。下が見えないほどの分厚さで、叩いても割れない。この上をトラックでも安心して通ることができるほどだ。写っているのは、ナヌックオーロラツアーズの大塚さん。
PHOTOGRAPH BY JUNJI TAKASAGO

湖に穴を開けて釣りをすると、ノーザンパイクが釣れた。淡水魚だが脂が載っていて、濃厚な味。フライにしてもおいしい。

オーロラ撮影には
タイミングもテクニックも重要

フィルムで撮影していた頃は暗いところでの撮影が大変でしたが、デジタル撮影するようになってずいぶん変わりました。ただ、オーロラ自体が動くものなのでぶれやすいという問題があります。せっかく揺れて見えるのに写真がぶれると伝わらなくなることもあるので、感度を高めてシャッタースピードを短くするなど、細かい調整が必要になります。また、オーロラは星に比べると明るいので、星もオーロラもどちらも収めたいと思うとより難しくなります。新月か満月か、月の明るさも関わってくるので、タイミングもテクニックも重要だと思います。

星とオーロラのどちらもはっきりと映っている。赤いオーロラは緑色のオーロラよりも高い位置で見えることが多い。
PHOTOGRAPH BY JUNJI TAKASAGO

オーロラの下に見える木々は、湖に浮かぶ小島から生えたもの。湖が凍っているので、この位置での撮影ができる。
PHOTOGRAPH BY JUNJI TAKASAGO

オーロラは何度この目で見ても本当に飽きません。両側から少しずつ集まってきて重なったり、真上に登っていって渦のようになったりして、バッと弾けるように消える。オーロラのかけらが残って、空一面が緑色に染まったさまは非常に美しいです。

真冬のイエローナイフで、冷凍庫に入ったみたいな寒さを体験するだけでも面白いですよ。日本にいるとここまでの寒さを経験することはないですよね。真っ暗な中、凍えるような寒さのパキッとした空の下でオーロラを眺めていると、まるで宇宙にポツンと一人でいるような不思議な気持ちになれるはずです。

ノースウエスト準州観光局

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