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次世代リーダー育成プログラム
「渡邉利三デモクラシー・フェローシップ」
2週間の訪米を含む1年間の
対話型リーダーシップ
プログラムの魅力

全米日系人博物館(JANM:Japanese American National Museum)は、毎年、日本の中堅・若手層8~10人を選出し、次世代リーダーのネットワークを形成する1年間のプログラム「渡邉利三デモクラシー・フェローシップ」を行っている。その目玉は2週間の訪米プログラム。参加者は現地の政府や経済界、市民社会のリーダーとの対話や視察の機会を通じて、民主主義や多様性、日米関係などについて学びの機会を持つ。全額給付型なので、参加者の経済的負担は最小限。官民を問わず、幅広い分野から参加者を募っている。

日系アメリカ人の歴史が
伝える民主主義の意義

 近年、民主主義の退潮がしばしば語られる。権威主義的な色彩を強めている民主主義国もある。しかし、いうまでもなく世界には民主主義を信じ、その保持と発展を支えるために汗を流す数え切れないほどの人たちがいる。全米日系人博物館(JANM)は、そんな団体の一つである。

全米日系人博物館外観
全米日系人博物館(JANM:Japanese American National Museum)

 「JANMは1985年に設立された、日系アメリカ人の歴史を伝える非営利の博物館です。当館はロサンゼルスのリトル東京地区にあり、150年以上に及ぶ日系アメリカ人の歴史を収集、保存、共有してきました。当館の設立者たちはこの博物館を、歴史を保存し、正義を記憶し、未来の不正を防ぐ場として構想しました」と語るのは、JANM館長のアン・バロウズ氏である。

アン・バロウズ氏

全米日系人博物館
館長 兼 CEO
アン・バロウズ

祖国南アフリカでの反アパルトヘイトの活動から始まり、生涯をかけて人権のための運動を続けてきたリーダーとして国際的に知られている。自身は日系人ではないが、民主主義を体現する日系アメリカ人の歴史の代弁者として、JANM理事らに嘱望されて2017年より現職。アムネスティ・インターナショナルの理事も務めている。

 第二次世界大戦中、アメリカ西海岸の日系アメリカ人は、人種差別と戦時下のヒステリー、そして政治的リーダーの誤りにより、強制収容所に送られた。収容経験者は戦後そのことを語らなかったため一般にはほとんど知られていなかったが、1960年代後半、歴史的事実を知った日系アメリカ人の若者たちが、政府が犯した過ちを正そうと運動を展開。1988年にアメリカ連邦政府が謝罪と賠償を行っている。

 バロウズ氏は南アフリカ出身で、かつて反アパルトヘイト活動に身を投じ、投獄された経験を持つ。その後も一貫して人権活動に取り組んできたバロウズ氏はこう続ける。

「日系アメリカ人の歴史は、民主主義のもろさと同時にその重要性を伝えるものです。当館は歴史を伝える博物館であるだけではなく、歴史の教訓を通して、日系アメリカ人に起きたことが二度と、誰にも起きないように活動を続けています。『渡邉利三デモクラシー・フェローシップ』は、その日系アメリカ人の視点を通して、アメリカ社会や民主主義、多様性推進の取り組みを理解するユニークなプログラムです」

 「渡邉デモクラシー・フェローシップ」は、民主主義の意義と不屈の精神を内包する日系アメリカ人の歴史に感銘を受けた渡邉利三氏の寄付によって設立されたフェローシップである。日系アメリカ人の歴史は民主主義の重要さを体現するだけではなく、移民や排外主義、多様な背景を持つ人々の社会への包摂、コミュニティーの存続、報道の自由など、現在私たちが直面している課題にもヒントを与えてくれるものでもある。

民主主義を“体感”する
2週間の訪米プログラム

 渡邉デモクラシー・フェローシップは、次世代リーダーを育て、ネットワークを形成する対話型のプログラムである。そのテーマは対話と協力、民主主義、日米関係強化の3つだ。いずれのテーマにおいても、日系アメリカ人の視点を通して考えるところがユニークな特徴。さらに、フェロー自身の日本人としての視点、アメリカ人、移民、また社会におけるマイノリティーという多様な視点を加えることで、物事をより深く理解する機会となる。

 「本フェローシップは2024年度に始まりました。毎年8~10人のフェローが選出され、ともに1年間の様々な活動に参加します。現在、2回目のプログラムが進行中で、この秋には2026年度フェローの募集を開始します」と、フェローシップを運営するJANMの三木昌子氏。

 選出されたフェローらは、訪米プログラムをはじめ、オンラインと対面のプログラムを通してフェローシップに参加する。全額給付型のフェローシップなので、参加者の費用的な負担は最小限だ。

 「アメリカの政府や経済界、市民社会のリーダーとの対話や、仲間との協働の機会を提供し、相互の理解と学びを深めます。また、アメリカの民主主義や制度、社会課題に触れるとともに、アメリカのリーダーシップについても学びます。日米関係を理解し、考え、実際に関わっていただく多くの機会も用意しています」

 1年間のプログラムには様々なメニューが用意されており、その中核をなすのがアメリカのロサンゼルスとワシントンDCでの2週間の視察である。2025年度の内容を一部紹介しよう。

  • 第二次世界大戦中に強制収容を経験した日系アメリカ人との対話。続いて、マンザナー国定史跡(収容所跡地)を訪問
  • 著名ジャーナリストらによる民主主義と報道の現在についての座談会
  • 国務省東アジア・太平洋局を訪問。日米関係などについて意見交換
  • コロンビア特別区(ワシントンDC)区長秘書官や連邦議員事務所とのミーティング
  • 在ロサンゼルス日本国総領事公邸でのレセプション。総領事をはじめ、州議会議員や市議会議員、日系人リーダーらが参加
  • ワシントンDCの在米日本国大使館にてランチレセプション。外交官や日系人リーダーらと交流
  • 大学やシンクタンクの専門家から、学術界やシンクタンクの政策への関わり等について座談会

 2025年度の場合、このほか元ギャングの社会復帰を支援するNPO訪問や、移民やLGBTQの権利を擁護するNPOとの対話、スミソニアン博物館のプライベートツアーなどがあった。

視察の様子
JANMの収蔵庫で、日系アメリカ人の史料の実物を見学
視察の様子
日系人強制収容所の一つマンザナー国定史跡を訪れ歴史の重みを体感
視察の様子
民主主義の基盤となる報道の現場で活躍するジャーナリストらと懇談
視察の様子
米国国務省の東アジア太平洋局を訪問し、日米関係について意見交換

「訪問先などは毎年、世の中の動きやフェローの専門分野や関心に合わせて少しずつ変えています。毎回変わらないのは、密度の濃さでしょうか。民主主義の意義ともろさ、社会が多様な人を包摂することの価値、日米関係のあり方などを学びつつ、対話を通じて深く考える2週間です」と語る三木氏は、フェローがこのときの経験を日本に持ち帰って醸成させ、自身の仕事や家庭、そして社会に役立ててくれることを願っている。またアメリカでの多くの出会いが、将来にわたる日米間の相互理解、相互交流のきっかけになることも期待している。

三木 昌子氏

全米日系人博物館
渉外担当ディレクター
三木 昌子

2018年より全米日系人博物館で、プログラム企画、マーケティング、PRなどを通して、日本人コミュニティーに日系アメリカ人の歴史を伝えている。渡邉デモクラシー・フェローシップ事務局を共同運営。早稲田大学卒業。

この秋、社会を動かす
一歩を踏み出す

 訪米プログラム以外の内容も充実している。ただ、参加するフェローは社会人なので、なるべく仕事に支障のない範囲での活動を予定している。6月の金土日に開催される対面でのオリエンテーションと、9月の訪米プログラムを除けば、オンラインの月例ミーティングや訪米後のフォローアップミーティングは週末の開催である。これまでの参加フェローや日米関係に関わる他団体のフェローとの交流の場もあり、フェローシップ参加者は、翌年度フェローのメンターになるという仕組みだ。

 「訪米プログラムのために、2週間も仕事を休めるだろうかと躊躇される方もいらっしゃると思います。ご参考までに、これまでのフェローの多くは、お勤め先から人材育成研修の一環として認めていただき『出張扱い』で参加いただきました」と三木氏。企業・団体にとっても、次世代リーダーが直接アメリカの連邦や州政府、民間団体とつながるきっかけになる。それは、企業・団体の日米での活動にも資するはずだ。

 フェローシップの応募資格は、職務経験5年以上・45歳以下、日本在住の日本人または特別永住者。これまで参加したフェローの職業は多様だ。行政機関や民間企業、NPO/NGO、アート、教育機関など幅広い分野から選出されている。

 「お仕事で多くの責任を担う中堅のリーダーが、日々の差し迫った仕事の外に出て、民主主義や日米関係、多様性という、一見抽象的にも見える大きなテーマを通して、他分野のリーダーと交流することは、自身の『当たり前』が、人や場所や時代が変われば『当たり前』ではないことに気づく機会にもなります」(三木氏)

 民主主義は、異なる背景や意見を持つ個人が、違いを理解し、互いの権利と自由を尊重し、ともに社会正義を守り続けていくことで持続されるものだ。だからこそ、民主主義を構成する個々人が学び、考え続ける必要がある。いま多様性が増し、包摂や寛容がより求められる社会において、とりわけリーダーの役割は大きい。渡邉利三デモクラシー・フェローシップに参加する次世代リーダーも同様だ。

 「参加してくださる皆さんには、フェローシップを通して、より良い未来をともにつくっていくための多様なバックグラウンドを持つ仲間を見つけ、対話をし、学び合い、その経験を生かし、多様性豊かなより良い民主主義社会づくり、日米関係の強化に貢献してもらいたいと願っています」とバロウズ氏。第3回となる2026年度のフェローシップにも、意欲と情熱に溢れた中堅・若手層の応募が集まることをバロウズ氏は確信している。

フェローが語る、
未来への決意

組織をよい方向に導くリーダーを目指す

石森 孝志 三菱電機

石森 孝志

変容する国際秩序において、アメリカに拠点を持つ日本企業の一員として、日米関係の深化や民主主義の保全に貢献したい。それが応募の理由です。訪米時、マイノリティーの方々との対話が印象に残っています。自分たちのコミュニティーの権利を維持するための努力が、地域や人種、世代を超えて継続されてきたことを知り、その重要な意義を学びました。自身のコミュニティーと世代を超えて、社会によりよいものを遺したい。民主主義は、そんな思いに支えられた人々のパワーであると感じました。アメリカで様々な分野のリーダーたちの持つ強い思いと信念に触れたことは貴重な体験です。私自身、組織をよい方向に導くリーダーを目指すとの思いを新たにしました。

教育現場における民主主義のあり方を考えたい

矢後 千紘 富山県立高岡高等学校教諭

矢後 千紘

教育現場における民主主義を改めて深く考え、フェローシップでの学びを現場に持ち帰りたい。これが、参加した一番の理由です。私が働く学校では、ふるさとに誇りと愛着を持ったグローバルリーダーの育成を目指す生徒像に掲げています。そんな高校において、生徒とともに民主主義の価値観を問い直し、よりよい実践を目指したいと考えています。米国では歴史を知ることの重要性を学び、対話を通して多様性の意味を感じ取り、そして何より民主主義の重要な一端を担う「教育」の役割を実感しました。訪米中、生徒たちに向けて送った報告レポートは、生徒以上に同僚の教員たちから反響がありました。日本の民主主義を下支えする教育を、生徒や教員とともにつくっていきたいと思っています。

【応募について】

応募資格

対象 民間企業、政府機関、アート、メディア、NPO/NGO、教育機関などの分野における、中堅および若手(企業や団体勤務、自営業などの別を問いません)
国籍 日本国籍を有する者、または日本の特別永住者
居住地 応募時点、または2026年6月の対面でのオリエンテーション実施時に日本在住であること
年齢 応募時点で45歳以下であること
職歴 5年以上の職務経験を有すること
英語力(目安) TOEIC850点以上、TOEFL600点(iBT 100)以上に相当する英語力を持つこと
  • ※「訪米プログラム」は全て英語で実施するため、英語での交流に支障や抵抗がないことを重要視しています
その他の応募要件
  • リーダーシップ能力を有し、今後の成長が見込めること
  • 公共の利益のために働く責任感があること
  • 民主主義、異文化、分野をまたぐコラボレーション、および日米関係に関心を持っていること
  • 政策、サステナビリティ、包括性促進、市民の政治参加推進、教育などに携わり、人々に影響を与えたり変化を起こしたりする立場や職種に現在ある、または将来就く可能性があること
  • 2026年6月19日(金)〜21日(日)に東京で開催する「訪米前オリエンテーション」に参加できること(21日は午前中のみ)
  • 2026年9月28日(月)〜10月8日(木)の「訪米プログラム」に参加できること
  • 2026年9月10月の渡米に際し、有効なパスポートを所持していること

応募受付期間

2025年10月27日(月)〜2026年1月15日(木)

応募書類

応募には「応募フォーム」と、推薦者にご記入いただく「推薦フォーム」の2つのフォームの提出が必要です。フォームは渡邉デモクラシー・フェローシップのWebページからアクセスできます。

その他の詳細は下記のWebページをご覧ください。

渡邉デモクラシー・フェローシップ
https://www.janm.org/ja/democracy/watanabe-democracy-fellowship

説明会を
開催!

2026年度フェローシップ・オンライン説明会 #1

2026年11月8日(土)午前9時〜10時(日本時間)
2026年渡邉デモクラシー・フェローシップの概要や応募方法を説明するとともに、2025年度フェローからの報告をいたします。質疑応答の時間も設けますので、本フェローシップにご関心をお持ちの方はぜひご参加ください。

2026年度フェローシップ・オンライン説明会 #2

2026年12月16日(火)午前10時〜10時30分(日本時間)
2026年渡邉デモクラシー・フェローシップの概要や応募方法を説明し、ご質問に回答します。

【お問い合わせ】

渡邉デモクラシー・フェローシップ事務局

democracyfellowship@janm.org

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