「責任ある調達」で日常的に接する
サステナビリティ
日本マクドナルドの全国約3000の店舗には年間延べ人数で約14億人が足を運ぶ。さらに働くクルーの人数は約21万人と地域社会の雇用にも大きく貢献し、日常生活に密着した存在となっている。
サステナビリティ&ESG部 部長を務める牧陽子氏は、「『おいしさとFeel-Goodなモーメントを、いつでもどこでもすべての人に。』がマクドナルドのミッション。もはや生活に密着した社会インフラと言っても過言ではありません。だからこそ環境保全に寄与することはマクドナルドの責務だと考えています」と語る。
サステナビリティ戦略としては「地球環境のために(Our Planet)」「安心でおいしいお食事を(Food Quality & Sourcing)」「働きがいをすべての人に(Jobs, Inclusion & Empowerment)」「地域の仲間にサポートを(Community Connection)」の4つを重点領域とした。
このうち、気候変動対策に関わるOur Planetでは2050年のネット・ゼロ・エミッション達成をゴールに設定。2030年までに2018年比で温室効果ガス(GHG)排出量を店舗・オフィスで50.4%、サプライチェーンで50.4%、牛肉と鶏肉で16%の削減を目指す。
店舗・オフィスのGHG削減は着々と進んでいる。2024年にはオフィスの再生可能エネルギー(再エネ)調達率100%を実現し、GHG排出量が実質ゼロに。また、再エネ由来の電力導入店舗数が約520店舗まで普及した。これにより、2024年における直営・フランチャイズ店舗の電気とガスのGHG排出量は2018年比でマイナス21.3%となった。
国内外食産業で最大規模となるコーポレートPPA契約も大きなチャレンジだ。関西電力、東京ガスグループとの契約により、まずは2025年2月から関西地方約130店舗、関東地方73店舗への再エネ調達をスタート。太陽光発電と環境価値(非化石証書)の活用によって、店舗使用電力に再生可能エネルギーを導入した。今後は他の地域でも再エネ導入を拡大していく。
こうした陰の努力は消費者に見えにくい。しかし実のところ、私たちは日常的に日本マクドナルドのサステナビリティに接している。最も身近に体感できるのはFood Quality & Sourcingで掲げる「責任ある調達」の部分だろう。森林、水資源、生態系に配慮した持続可能な原材料の調達に力を尽くし、変わらないおいしさとともに商品を届けてくれているからだ。
食べるたびに実感できる
持続可能性の証
代表的な取り組みをいくつか紹介していきたい。1つ目はフィレオフィッシュ®の原料、スケソウダラにおける「MSC認証」だ。MSC認証とは、水産資源と環境に配慮して適切に管理された持続可能な漁業に関する認証で、漁業に対する「MSC漁業認証」と、水産物の水揚げ以降のサプライチェーンに対する「MSC CoC認証」の2つがある。
マクドナルドは2015年7月にMSC認証を取得した漁業者からのスケソウダラ調達を開始し、2019年10月には「MSC CoC認証」を取得。その功績が認められ、「MSCジャパン・アワード 2024」フードサービス部門を受賞した。
「フィレオフィッシュのパッケージには認証の証となるMSC『海のエコラベル』が付いています。MSC認証は厳格な審査が毎年あり、認証を継続するハードルは非常に高いものです。約3000店舗で毎日提供するフィレオフィッシュにMSC認証のスケソウダラを使用している事実は、専門家の方々からも誇ってよいことだと励ましをいただいております」(牧氏)
2つ目は、コーヒーで取得している「レインフォレスト・アライアンス認証」だ。森林保護はもとより、気候変動への適応や緩和、さらには労働者の人権尊重・生活向上までを含んだ持続可能な農業を推進する認証制度で、マクドナルドでは認証を受けた農園のコーヒー豆を100%使用。こちらも証としてコーヒーパッケージにカエルのマークが付与されている。
■レインフォレスト・アライアンス認証は森林や生態系を守り、労働者に適切な労働条件を提供している農園にのみ与えられる
3つ目の「FSC®認証」は生物多様性を守り、管理の行き届いた森林から生産された林産物に与えられる認証である。マクドナルドでは2022年10月から順次サラダボックスやカトラリーなどを紙製、木製に切り替え、それらのすべてでFSC認証材を使用している。2025年末までに顧客提供用の容器包装類を再生可能な素材、リサイクル素材あるいは認証済みの素材に変更する予定だ。
変更に向け、様々なプロジェクトが進行している。中でも、現場からの反響は商品開発に欠かせない。牧氏らが中心となったゼロプラスチックプロジェクトのメンバーは店舗のクルーに話を聞いたり、顧客にどのように提供しているかを実際に見たりして参考にしている。
「例えば以前のサイドサラダの容器はプラスチック製で、ドレッシングを入れた後、振って撹拌することが定番でした。それができなくなるとお客さまによっては不便になったとのお声が出るのではないかとの懸念もありましたが、箱の外側においしい食べ方をイラストで示したところ、お客さまにも受け入れていただけたようです。それ以上に、『環境に配慮するとこうしたパッケージに変わるんだな』ということをたくさんのお客さまにご理解いただけた手応えを感じています」(牧氏)
■サイドサラダの紙容器。日本マクドナルドではハッピーセット®の紙製おもちゃの包装材もFSC®認証を取得した紙製に変更している
“自分ごと”として環境/社会問題を
考えるきっかけにしてほしい
この他にも、ビーフは森林破壊を伴わないサプライチェーンによる調達を目指しており、グローバルでは98.8%(2023年時点)まで達成している。2005年に全店導入完了した「Made For You(メイド・フォー・ユー)」はオーダーを受けてからバーガー類を作るキッチンのシステムで、出来たてのおいしさを提供するとともに、食品ロス削減に大幅に貢献。2024年の食品ロス率はわずか2.3%にとどまっている。
積極的なリサイクル推進も日本マクドナルドの特徴だ。2018年から展開してきたハッピーセット®のプラスチック製おもちゃ回収は定番化し、累計で約2280万個を回収。その後は店舗内で使用する緑色トレイや回収ボックス等にリサイクルしている。2024年からは一部店舗で使用済み紙カップのリサイクルを開始し、回収後は店舗で使用するペーパータオルへと生まれ変わる。2025年中には105店舗まで導入を増やしたい構えだ。
現在、1日約7000万人が世界中のマクドナルドの店舗を利用しているという。これはイギリスやフランスの人口に匹敵するほどの規模であり、徹底的に環境に配慮した原材料の調達、廃棄物の削減、リサイクルの実施は、世の中が変わるほどのインパクトをもたらすに違いない。誰もが知る“食の巨人”がサステナビリティ戦略に取り組む意義について、牧氏は改めてこのようなメッセージを寄せた。
「フィレオフィッシュを通じて MSC認証を、コーヒーを通じてレインフォレスト・アライアンス認証を知っていただく。そうした気づきは、マクドナルドの商品とともに過ごす楽しい時間の中でお客さまの環境配慮のきっかけとなるはずです。そこから一人ひとりの意識が少しでも高まれば、大きな力につながるに違いないと信じて私たちはサステナビリティに全力で向き合っています。ぜひマクドナルドで、“自分ごと”として環境/社会問題を考えるきっかけをつかんでほしいですね」(牧氏)



