標高930メートルの高原に佇むオライリーズ・レインフォレスト・リトリートは、世界自然遺産に登録される70年以上も前から、この原生林の価値を見出し、守り続けてきた施設である。1915年にラミントン国立公園が制定される前の1911年にオライリー一家がこの地に移住。1926年に開業した宿泊施設は、今日まで家族経営の歴史を刻んでいる。
ブリスベン空港から車で約2時間。周囲には2万ヘクタール以上の広大な原生林が広がり、樹齢数千年を超えるナンキョクブナをはじめとする太古の植物が生い茂る。この地は1994年、「オーストラリアのゴンドワナ多雨林群」として世界自然遺産に登録された。これにより、オライリーズ・レインフォレスト・リトリートは世界自然遺産に囲まれた宿泊施設となった。
48室のヴィラと66室のホテルタイプの客室は、モダンな設備を備えながらも周囲の自然と調和するよう設計されている。より自然を身近に感じたい人のために、グランピング施設「サファリ・テント」やキャンプサイトも用意されている。
リゾートの目玉は、地上15メートルの高さに設置された「ツリー・トップ・ウォーク」だ。全長160メートルの吊り橋を渡りながら、亜熱帯雨林の林冠を散策できる。途中のツリーハウスからは、数千年の時を刻んできた原生林の全貌を一望できる。このユニークな施設は、宿泊客以外も無料で利用することができる。
オライリーズは単なる宿泊施設にとどまらない。敷地内の環境教育センターでは、世界自然遺産の価値や保護活動について学ぶことができる。リゾートでは太陽光発電や水の循環利用など、環境負荷を低減するための取り組みも積極的に行っている。また、ワイナリーの経営など、その活動は多岐にわたる。
夕暮れ時、テラスに立つと、原生林に棲む野鳥たちの鳴き声が響き渡る。ここでは、快適でアクティビティに富んだ滞在と環境保護という、一見相反する価値観が見事に調和している。それは100年近い歳月をかけて、オライリー家が築き上げてきた遺産なのだ。
ラミントン国立公園の南端、原生林に囲まれた一角に佇むビナバラ・ロッジ。1933年、アーサー・グルームとロメオ・ラヘイによって設立されたこの施設は、オーストラリアにおけるエコツーリズムの先駆けとして知られている。自然保護の意識が社会に浸透する遥か以前から、この土地の価値を見出し、守り続けてきた歴史があるのだ。
1930年代前半、二人は公園内で最初に土地をリースし、1934年に最初のキャビンを建設。1937年にはロッジを完成させた。その後、80年以上にわたり人気のロッジとして多くのハイカーに愛されてきたが、2019年、大規模な山火事により、長年親しまれてきたロッジは全焼の憂き目にあう。それでも、スタッフと地域コミュニティの懸命な努力により、2020年以降の再建プロジェクトで「スカイロッジ」と「タイニー・ワイルド・ハウス」が完成した。
ビナバラ・ロッジの真髄は、周辺に広がる総延長160キロメートルのブッシュウォーク・トラックにある。中でも注目すべきは全長21.4キロメートルの「ボーダー・トラック」だ。ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州の境界線に沿って公園の尾根を辿るこのコースからは、晴れた日にはバイロンベイまでの壮大な眺望が広がる。
施設内の道は意図的に自然のままの状態を保っている。これは、本格的なトレッキングやアウトドア体験を求める人々のニーズに応えるためだ。トラック沿いでは、野鳥や野生動物との出会いも頻繁にある。まさに原生林との一体感を味わえる場所となっている。
原生林の中で90年の歴史を刻んできたビナバラ・ロッジは、大火を乗り越え、新たな章を開きつつある。それは、人と自然の持続可能な関係を模索する、静かなる挑戦の記録でもある。
日本からゴールドコーストへの玄関口となるのが、オーストラリアのナショナル・フラッグ・キャリア、カンタス航空だ。東京(成田)─ブリスベン間を毎日運航する直行便は、夜に出発し翌早朝に到着する。時差がわずか1時間という利点も相まって、到着日から効率的な旅程を組むことが可能である。ブリスベン空港からゴールドコーストまでは車で約1時間半だ。
成田-ブリスベン線 成田発着の毎日1便
| 便名/運航区間 | 運航スケジュール | 使用機材 | 運航曜日 |
| QF62 成田 → ブリスベン | 21:20/07:20 +1* | A330 | 毎日 |
| QF61 ブリスベン → 成田 | 10:30/18:50 | A330 | 毎日 |
スケジュール、機材は予告なく変更になる場合があります。
カンタス航空の機内では質の高いサービスを提供している。エコノミークラスではプラントベースを含む3種類から機内食を選ぶことができ、オーストラリア産ワインを含む豊富なドリンクが楽しめる。ビジネスクラスでは、オーストラリアで有名なシェフのニール・ペリー監修のコース料理が味わえる。日本発オーストラリア路線では、預け手荷物も個数制限なしでエコノミーは30キログラムまで、ビジネスクラスは40キログラムまで無料という寛容な手荷物規定も、長期滞在の旅行者には魅力的な設定だ。

そして、カンタス航空ではサステナブルな活動にも積極的に取り組んでいる。機内では木製カトラリーや堆肥化可能なホットカップを採用し、使い捨てプラスチックの削減を推進。ビジネスクラスのアメニティキットには、竹製の歯ブラシやリサイクルプラスチック製のチューブを導入するなど、細部にまで配慮が行き届いている。
カンタス航空の取り組みは、快適な空の旅と環境保護は両立可能であることを示している。それは、世界自然遺産を擁するゴールドコーストへの旅にふさわしい、持続可能な移動手段と言えるだろう。
2032年のブリスベンオリンピック開催を控え、ゴールドコーストは新たな変貌を遂げようとしている。5つ星高級ホテルチェーンが相次いで進出し、都市としての魅力を高める一方で、内陸部には太古の時代から変わることなく、世界自然遺産の原生林が静かに息づいている。
この二つの顔を持つ街で、オライリーズ・レインフォレスト・リトリートとビナバラ・ロッジは、それぞれ100年近くにわたって自然との共生を実践してきた。彼らの歩みは、観光と環境保護の両立という、現代社会が直面する課題への一つの答えを示しているのかもしれない。
海岸線に広がる白砂のビーチから、内陸部の原生林まで、ゴールドコーストには無限の可能性が眠っている。それは、現代的な快適さと太古からの自然が見事に調和した、世界でも稀有な観光地だ。日本からは、環境に配慮したサービスを提供するカンタス航空の直行便で、この特別な場所へと旅立つことができる。
人類の歴史と地球の歴史が交差するこの地を訪れることは、きっと私たちに新たな発見と気づきをもたらしてくれるはずだ。




