米国が支えるセブン&アイの事例から読む持続可能な未来のためのフードシステム

昨今、世界的に大豆の需要と供給は、食用、飼料用、工業用など
いずれのニーズにおいても増加傾向にある。
環境問題や食料安全保障の課題が深刻化し、
持続可能な農業と食料供給の重要性がより一層高まる中、
サステナブルなアメリカ産大豆が果たす役割、可能性とは。

SSAP認証大豆が広がる日本

 世界人口の増加に伴い、大豆の需要と供給が増加傾向にある中、大豆を取り巻く国際環境の変化として、自然資本(生物多様性)でのセクターガイダンスが進んでいる。最新の動向について、ニューラルCEOで信州大学特任教授の夫馬賢治氏は、こう説明する。

ニューラルCEO
信州大学 特任教授
夫馬 賢治

 「世界的な大豆生産地である南米において、大豆生産の拡大による熱帯雨林の破壊が進んでいることが大きな問題になっています。こうした背景を受け、自然資本の観点から、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)『食料・農業セクターガイダンス』や、国連責任銀行原則(PRB)『自然のためのセクター行動ガイダンス』、生物多様性条約『COP16』などで、大豆のサステナビリティに関する言及がなされています。食卓に欠かせない食用大豆の約7割を米国からの輸入に頼っている日本にとって、この動きは決して無視できません。

また、農林水産省が『みどり戦略』で、2030年までに食品企業における持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現を掲げています。入門書で第三者認証の活用を促しており、一例として紹介されているのがアメリカ大豆輸出協会(以下、USSEC)の『アメリカ大豆サステナビリティ認証プロトコル(以下、SSAP)』です。基準に整合性があることから、輸入大豆を使用する日本企業で、SSAP認証の活用が増えてきています」

 またSSAP認証の国内実績としては、東京五輪2020に続き、25年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の調達基準にも定められた。

飼料用アメリカ大豆ミールに期待

 さらに夫馬氏は、農林水産省地球温暖化対策計画で初めて畜産が対象になったことも、大豆に関する注目すべきトピックだと話す。

「この計画では、温室効果ガスの排出削減に資する飼料などの利用推進について示されています。大豆は畜水産飼料にも使われていますので、飼料業界においても国内外の動向を注視しておく必要があるでしょう」

 ところで、飼料業界にとって大豆とはどんな存在なのか。日清丸紅飼料の宇野剛氏は次のように話す。

日清丸紅飼料
経営企画部
新事業・サステナビリティ推進課課長
宇野 剛

「飼料会社の最大のミッションは、よりおいしい肉や魚を作ることです。餌の品質で味が大きく変化するため、緻密な計算をしながら配合飼料を生産しています。現在飼料業界では、配合飼料の11~13%に大豆かす(ミール)を使用しています。その利点は、高たんぱく質、優れたアミノ酸組成、消化吸収性の高さといった性能面。また、安定供給・価格競争力という点においても、大豆かすは優れた飼料原料です。

飼料業界にとって、大豆の国際的なサステナビリティ要求の高まりは人ごとでなく、当社も、持続可能な原材料調達に可能な限り注力していきたいと考えています。そうした中、1つの選択肢として、持続可能な生産・収穫・サプライチェーンシステムを備えるSSAP認証大豆の価値や可能性を高く評価しています」

大豆から知る持続可能性の真意

 地球の持続可能性と人類の食料アクセスの問題は、密接にリンクしていると夫馬氏。「世界中で持続可能な生産を実現させない限り、安定した調達は実現しません。食料自給率が著しく低い日本は、その影響をダイレクトに受けます。日本食を食べ続けるためにも、世界の大豆生産の状況に一人ひとりが関心を持つことは非常に重要です」

 また宇野氏は、飼料業界が果たす役割についてこう話す。「大豆かすをはじめ原料の副産物を有効活用している飼料業界が、循環型社会の実現における重要な立ち位置にあることを自覚し、原料調達の持続可能性について、今後も突き詰めていきたいと思っています」

サステナブルな大豆製品に付与される「SSAP認証」マーク

環境負荷を抑えた持続可能な方法で生産・管理された、米国産大豆が使われていることを証明するマーク。認証には4つの基準を満たすことが求められている。SSAP認証マーク付きの製品を購入することは、持続可能な未来への後押しとなる(左が食品用大豆、右が飼料等非食品用大豆のSSAP認証マーク)。

「SSAP認証」の4つの基準
01 生物多様性と高炭素ストック
湿地、草地、森林、生物多様性
02 生産活動
保全耕起、輪作、精密農業
03 労働者の健康・福祉と人権
EPA、EEO、OHSA、環境保護庁、
雇用機会均等法、労働安全性製法
04 生産活動と環境保全
CRP(土壌保全留保計画)、保全プログラム、
トレーニング、情報共有

持続可能な未来の必須要素──SSAP認証の価値と役割

 SSAP認証およびFed with SSAPは、温室効果ガス削減の実績を可視化する重要なツールです。アメリカ大豆は動物飼料用途においても、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルを改善する選択肢として評価されます。透明性と検証可能なデータに基づく意思決定を支援します。

アメリカ大豆輸出協会(USSEC)
日本副代表
立石 雅子