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研究現場を変える「ラボインフォマティクス」とは 研究現場を変える「ラボインフォマティクス」とは

創薬や臨床検査、化学、食品などの分野では、研究開発や品質管理の中で、膨大なデータが生み出されている。こうしたデータを迅速かつ高精度で管理・活用するために注目されているのが「ラボインフォマティクス(Laboratory Informatics)」である。単一のITシステムではなく、実験記録、試料情報、分析データやワークフローを統合的に管理する仕組みを指す。本稿ではラボインフォマティクスの概要について紹介する。

従来の研究現場では、紙の実験ノートや個別の表計算ソフト、装置ごとに分断されたデータ管理が一般的だった。しかし、研究の高度化や製品サイクルの短縮、説明責任の厳格化などにより、こうした方法では限界が見え始めている。また近年、創薬の最前線が大学発スタートアップなどに移り、アカデミアなど小規模な研究施設でも古典的な情報管理では許容されなくなりつつある。

こうした流れの中、わが国でもラボインフォマティクスの導入が進みつつある。ラボインフォマティクスは、データの一貫性や再現性、トレーサビリティを高めると同時に、ワークフローの質を向上させるラボラトリーDXの基盤として期待されている。

特に医薬・製薬業界では、コンプライアンス強化の観点からラボインフォマティクスは不可欠なものとなっている。GMP(Good Manufacturing Practice)やGLP(Good Laboratory Practice)など国内規制への対応のほか、cGMP(米国)、EU GMP(欧州)、MHRA(英国)、PIC/S(各国規制当局の協力枠組み)などの国際的な規制への対応においても、ラボインフォマティクスの果たす役割は大きい。

ラボを支える中核システム
とその役割

ラボインフォマティクスは複数のシステム群で構成される。製品によっても異なるが代表的なコンポーネントは次のとおり(図1)。

ラボインフォマティクスの主な構成要素

図1 ラボインフォマティクスの主な構成要素

LIMS
中核となるのがラボ情報管理システム(LIMS:Laboratory Information Management System)である。これは、検体(試料)の受付から追跡、試験の手順に基づく進捗管理、結果の判定、評価、最終的な報告書の作成まで、一連のワークフローを一元的に管理する。LIMSの導入により、実験プロセスを可視化でき、業務の効率化や人的ミスの低減が実現する。

ELN
研究室でおなじみの実験ノート(ELN:Electronic Laboratory Notebook)の電子版で非定型的な情報を柔軟に記録できる。紙のノートでは困難だった検索や共有による資産化を実現でき、動画や音響などの記録も可能だ。

SDMS
科学データ管理システム(SDMS:Scientific Data Management System)は、複数のメーカーの分析装置などから出力される多様な生データをそのまま自動的に収集し、長期保存する。

LES
ラボ実行システム(Laboratory Execution System)は、標準作業手順や実験プロトコルに従って作業者にステップごとの指示を行うことで作業の標準化を支援する。手順飛ばしや転記ミスなどの作業ミスを防止し、コンプライアンスを強化する。

これらのシステムが相互に連携することで、データの帰属性や正確性を担保する「データインテグリティ(データの完全性)」が確立され、ラボ全体のDXを実現する。これは特に規制の厳しい製薬業界などにおいて、不正防止や品質保証の観点から極めて重要な基盤となる。

日本における普及の壁と
今後の展望

日本でもラボインフォマティクスへの関心は高まりつつあるが、普及にはいくつかの課題がある。ひとつは導入コストや運用負担への懸念が根強いこと。特に中小規模の研究機関では、初期投資に加え、既存業務の見直しや人材育成が必要となる点が障壁となっている。また、長年の紙中心の運用や部門ごとに最適化された管理方法が残っており、データやプロセスの標準化が容易ではないという現実もある。

一方で、ラボインフォマティクスを後押しする要因も見えつつある。クラウド技術の進展により、初期投資を抑えて柔軟に導入できる環境が整いつつあるほか、AIや高度なデータ解析技術を組み合わせることで、単なる管理を超えた価値創出も期待されている。

今後、ラボラトリーインフォマティクスは、研究の競争力を左右する基盤技術になりつつある。日本においても、業務プロセスや組織文化の変革と併せて進めることで、その真価が発揮されるだろう。

AIドリブン・ラボへの
一里塚に

ラボインフォマティクスの真価は、まもなく到来する「AI駆動型科学」の時代においてフルに発揮されるだろう。蓄積した実験データは、人工知能(AI)や機械学習にとって最良の教師データとなる。例えば、無数の化合物から有望な薬剤候補を予測することで、従来は十数年を要していた新薬の開発期間を大幅に短縮するといった革新が可能となる。

最近、注目されている「セルフドライビング・ラボ(自律型実験室)」への期待も大きい。これは、LIMSが管理するワークフローに基づき、実験ロボットが自動で実験を行い、結果をAIが解析して新たな実験計画を自律的に立案するといったものだ。人間が介在することなく、最適解を探索し続ける仕組みは、創薬や工業材料の開発スピードを別次元のレベルに押し上げる。ラボインフォマティクスは、単なる効率化ではなく、科学そのもののあり方を変えていこうとしている。

提供:三菱電機ソフトウエア

国内外2,000社以上導入!
信頼性と効率を両立するLabVantage

LabVantageは、ラボ向けLIMS(Laboratory Information Management System)で、試験指図・サンプル管理・分析データ取込・結果判定・COA発行までを一元管理します。紙運用や手作業による転記ミス・改ざんリスクを低減し、トレーサビリティとデータインテグリティを強化します。世界で2,000社以上、国内50社超の導入実績があり、官公庁の研究機関や、民間のCDMO/CMOにも採用されるなど、国内外で豊富な事例があります。完全Webベースのシステムで、多言語表示、ロールベース権限管理、モバイル機器対応により現場運用性が高く、監査証跡や電子署名でデータインテグリティを確保します。分析機器連携ではAPI/XML/ファイル連携を標準搭載し、既存システムとの連携も容易です。製薬業界向けの「Pharma Package」はプリバリデーション済みで、CSV(コンピュータ化システムバリデーション)の検証負荷を軽減します。多機能ながら不要な機能は削除できる“引き算の考え方”により、最適なシステム構築を実現します。導入後も日本人メンバーが継続的に支援します。

主な機能
〇SDMSによる分析データの自動収集・保存、変更履歴・電子署名での改ざん防止
〇LESでのSOP準拠ワークフロー
〇ELNでの非構造化データ管理
〇校正・試薬・在庫管理、傾向分析、逸脱(CAPA)管理、ダッシュボード、リソース管理
〇分析機器や上位システムとの連携(ファイル/API/RS232C等)を標準対応

規制対応
米国FDA(21CFR Part11)やEMA、MHRA、CLIA/CAP、GxPを想定した設計により監査対応力を高め、業務効率化とデータ信頼性の向上を実現します。また各種ISO認証にも対応しています。
詳細や導入相談、お見積りについては、お気軽にお問い合わせください。

三菱電機ソフトウェアエンジニアリング株式会社

お問い合わせ先

三菱電機ソフトウエア株式会社
つくば事業所営業部
https://www.mesw.co.jp/labvantage/

メールアドレス:lvs_lims.tkb.els@mesw.co.jp

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