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失敗を糧に一念発起、自らの道を切り拓く

「働く女性のロールモデルということで、大変名誉な賞をいただきましたが、私は悪いお手本なんですよ」と国谷さん。

誰もが憧れる凛とした働きぶりは、この3月までキャスターを務めたNHK『クローズアップ現代』でもおなじみだ。にもかかわらず、「私のマネをしてはいけません」と言う。

「私は男性社会の価値観に合わせて、時間外労働も睡眠不足もいとわず働き続けることで、何とかキャリアを築いてきました。理想の働き方とはほど遠いんです」

国谷さんをそこまでせき立てた理由は、若い頃の苦い経験にあった。滞在中のニューヨークで誘われた衛星放送のキャスターを7カ月担当したあと、総合テレビのキャスターに異例の抜擢。ところが、経験不足が災いし、半年で降板させられてしまったのだという。

「キャスターとして認められたい。それにはもうしがみついて頑張るしかなかったんです」

チャンスはすぐに訪れた。1989年、再びBS放送でキャスターとして登板。折しもその年には天安門事件が起こり、ベルリンの壁が崩壊、91年には湾岸戦争が始まり、ソ連が解体するなど、まさに激動の時代と重なった。その最前線で得意の英語を駆使してあらゆる要人や識者にインタビューし世に伝えた功績が認められ、「クローズアップ現代」キャスターという大役が回ってきた。

「一度失敗したからこそ、貪欲にチャンスをつかむことができた。何が幸いするかわかりませんね」

悪いお手本だからこそ働く女性を支援したい

『クローズアップ現代』は、23年間で3784回を放送。そのなかには、社会を動かすきっかけとなった回も少なくない。

「例えば、犯罪被害者の問題を継続的にとりあげ、新たな法律が制定される機運を高めるお手伝いができました。また自殺遺児に焦点を当てた番組では、後にNHKを退職した担当ディレクターが中心的役割を果たし、自殺対策基本法の成立につなげた経緯もあります」

なかでも国谷さんが強い関心を寄せているのが、「女性が生きやすい社会づくり」の実現だ。

「NHKの外でつながった女性たちに刺激を受けながら、働く女性を取り巻く問題を番組に提案していきました。番組を辞した今も、このテーマとは向き合っていくつもりです」

悪いロールモデルと自嘲する国谷さんだからこそ、女性支援への思いは人一倍強い。

「ウーマノミクスの追い風はあるものの、仕事と家庭の板挟みで孤独を抱える女性たちはまだ多い。今後は地方の実態にも目を向け、意識改革に尽力したいです」

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