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水素社会に向けた取り組み「東芝の水素コア技術がつくる2020年 日本の水素社会」

※記事中の情報につきましては、すべて取材時点のものとなります。
なかなか進まない再生可能エネルギー導入や低いエネルギー自給率。こうした国内のエネルギー問題を解決する切り札として「水素」の利活用が注目されている。東芝では昨年、次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームを発足し、水素社会実現に向けた取り組みを本格的にスタートさせた。同社が長年蓄積してきた高度な水素コア技術が可能にする水素社会とは。
大田 裕之 氏 株式会社東芝  次世代エネルギー事業 開発プロジェクトチーム 統括部長 中島 良 氏 株式会社東芝  次世代エネルギー事業 開発プロジェクトチーム サブプロジェクトマネージャー

日本は、2009年に家庭用燃料電池(エネファーム)の実用化を果たし、燃料電池自動車の販売もスタートするなど、水素社会の実現に向けた取り組みで世界をリードしてきた。東芝はその先駆企業の一つ。東芝のエネファームは、2014年9月には累積5万台を販売してトップシェア※を確保。都市ガス以外にもLPガスや国産天然ガスでも稼働する独自の改質技術を搭載し、様々なガスに対応できる強みを活かして初の海外展開も予定されている。こうした技術をベースに開発された純水素燃料電池は、既に2万時間を超える実証試験を重ねてきた。

※自社調べ

「しかし水素の利活用は燃料電池だけにとどまるものではない。燃料電池技術に加え、社会インフラ事業で蓄積された各種技術やエネルギーマネジメントのノウハウ。水素社会実現には、縦割りの水素関連技術を横断的に再編集する必要がありました。そこで昨年春、東芝では社長直轄組織として、各関連部門の技師長クラスの人材を集めた、次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームが発足、春には水素インフラ構想の実証を行う『水素エネルギー研究開発センター』設立も控えています」(東芝 次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームサブプロジェクトマネージャー・中島良氏)。

サプライチェーン事業と地産地消事業

同チームが描く東芝の水素社会の未来は、大きく二つの事業に収斂される。一つは水素サプライチェーン事業だ。

風力発電の適地で電力を水素に変え、日本に運び、東芝が開発した水素ガスタービンや燃料電池で発電する。つくりやすく運びやすく貯めやすい水素の特質を生かした、地球規模の仮想的な電力網とも言える壮大な計画で、2025年のスタートが目標だ。そしてもう一つが水素の地産地消事業だ。

「当社では、水素が現実的に役立つことを一日も早く社会に示したい。サプライチェーン確立に至るまでの10年間、当社の水素コア技術で切迫するエネルギー問題を解決できるアイデアはないか。そこで着想されたもう一つの事業案が、水素の地産地消事業でした。不安定な再エネや夜間の余剰電力を水素に変えて貯め、需要のタイミングに合わせて燃料電池で発電する。これが当社の水素地産地消モデルの原型です。エネファームを始めとする現在の東芝の技術を活用した現実的な提案と言えるでしょう」(東芝 次世代エネルギー事業開発プロジェクトチーム統括部長・大田裕之氏)。

その主な事業提案を紹介しよう。

東芝が目指す水素社会
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地産地消ソリューションの展開事例2題

●再エネと水素を用いた自立型エネルギー供給システム(H2One)

太陽光発電設備、蓄電池、水素製造のための水電気分解装置、燃料電池など、東芝の水素コア技術を組み合わせたシステム。平常時は水素EMSとして電気、温水、水素の使用量、貯蔵量を適切に配分し供給。災害時は太陽光と燃料電池の発電で300人に一週間分の電力と温水を供給する。20ftコンテナ3台に基本構成機器がパッケージされ、鉄道やトレーラーでの輸送も可能。BCP機能に着目したシステムで、川崎市の帰宅困難者の一時滞在施設に指定されている「川崎マリエン」で今年4月から実証実験が行われる予定。小規模コミュニティへの導入も視野に入れられており、1億円程度を目標に、今年秋の商品化も検討されている。

●中規模コミュニティ型水素地産地消システム

再エネを活用した離島や遠隔地向けマイクログリッド。再エネ+蓄電池のシステムは、コストが高く長期的なエネルギー貯蔵も難しいが、水素は長期間貯蔵が容易で備蓄コストも安い。再エネでつくる水素を備蓄し、中規模水素燃料電池や各家庭の純水素燃料電池で発電、排熱を給湯に利用。海外展開も視野に入れている。

「この他、立地制約から新規建造が難しい揚水発電の代替となる、大容量水素電力貯蔵システムの開発も、NEDOプロジェクトとして進行中です。エネルギー変換効率80%と揚水発電に匹敵するシステムで、余剰電力対応や、特に不安定な再エネ活用の切り札となる事業として期待されます」(大田氏)。

水素サプライチェーンは他社も事業化を計画しているが、水素地産地消モデルは、オール東芝の水素技術を横断的に組み合わせた独自の取り組みだ。いずれも2020年までの実現を目標としている。

自立型水素エネルギー供給システム H2One(エイチツーワン)
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  • 株式会社 東芝

    〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72-34(ラゾーナ川崎東芝ビル)
    次世代エネルギー事業開発プロジェクトチーム
    https://www.toshiba-newenergy.com/