“明日”をつむぐテクノロジー special

技術を生かし、市場で「勝つ」 動き出した新しい東芝の“今”を追う サイバー・フィジカル技術の融合めざす

※記事中の情報につきましては、すべて取材時点のものとなります。
新しい東芝が動き出した。2019年度からの中期経営目標である「東芝Nextプラン」では、AIなどのデジタル領域におけるサイバー技術のさらなる進化と、ロボティクスや自動走行などフィジカル技術のブレークスルーを通じ、2つの技術の融合が進むと想定。収益力・成長力を高め、「世界有数のCPS(サイバー・フィジカル・システム)テクノロジー企業」を目指す方針を打ち出している。その実現のうえでカギを握る技術が、東芝が長年培ってきたパワーデバイスだ。電気を使う大半の製品に使用されるパワーデバイスは、東芝の多くの事業とも関連をもっており「東芝全体の成長を支える原動力になります」と、東芝デバイス&ストレージ株式会社取締役 ディスクリート半導体事業部長の岸本憲治氏は説明する。市場の拡大が期待され、今後の成長のカギを握るパワーデバイスに関する東芝の取り組みを追った。

家電から自動車、鉄道に5G基地局まで大きく広がる市場

岸本 憲治 氏
東芝デバイス&ストレージ株式会社 取締役 ディスクリート半導体事業部長

パワーデバイスとは電気の制御に使われる半導体だ。パソコンの電源、冷蔵庫や洗濯機などモーターを回す家電、電車や電気自動車といった乗り物、工場で使われる産業機械など、幅広い分野で使用されている。中でも東芝のパワーデバイスが強みとしているのは、省エネに大きく貢献するすぐれた低損失性能、そして車載用から民生分野にいたるまでの豊富なラインアップだ。「いかにラインアップをそろえるかはこれからの事業にとって大切ですが、東芝には昔からパワーデバイスに取り組んできた歴史があります」と岸本氏は指摘する。市場拡大が予想されるパワーデバイス市場では、顧客の需要に幅広く対応できる東芝の総合力が重要になるとの考えだ。

実際、パワーデバイス市場の拡大は急ピッチで進んでいる。2018年の後半には自動車の電子化が進みパワーデバイスの需要が大きく伸びた結果、パワーデバイス製造用の中古半導体装置が値上がりする場面もあった。車載用だけでなく「たとえば次世代通信規格(5G)の展開に伴い、電源用途のパワーデバイス需要の拡大も期待できます」(岸本氏)。省エネ効果の高いインバータエアコンの普及が十分ではない新興国にも、新たな市場が期待できる。

2030年には4.7兆円の市場に

低炭素社会の実現に向け省エネの拡大に努める国や企業は多い。パワーデバイスはスイッチのオンオフや交流と直流の変換、電圧の上げ下げなど電力を効率よくコントロールする役目を担っており、しかも世の中のほとんどの電気機器で使われている。それだけ省エネ推進のうえで果たす役割は大きく、潜在的な需要も多い。富士経済の予測によれば、2017年に2.7兆円だったパワーデバイス市場は2030年には4.7兆円まで拡大する見通しだ。中でもシリコンカーバイド(SiC)やガリウムナイトライド(GaN)といった新素材を使う次世代デバイスは、従来の素材より高温や高速での動作や小型化が実現できるため、同じ期間に市場規模が17倍に拡大すると見られている。

図1 市場環境と主要注力領域
リンク

広がる市場に向け、東芝内では既に体制作りも進んでいる。主力工場である加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)内には2014年から次世代デバイス開発を含む開発機能を置き、量産ラインに至る一貫した体制を構築。また東芝 研究開発センターなどとも連携して開発に力を注いでおり、2019年度にはSiCデバイスを姫路半導体工場(兵庫県太子町)の6インチラインで量産を始める予定だ。最初は新幹線などの鉄道といった注力領域向けに製品を投入していくが、その狙いについて岸本氏は「素早いフィードバックを得られる東芝内の他事業との連携が可能な分野に取り組むことで、社内のシナジーを高められます」と話している。

オール東芝の信頼・実績生かす

岸本 憲治 氏
東芝デバイス&ストレージ株式会社
取締役

自動車向けのパワーデバイスには、一段と高い品質や信頼性が求められる。その開発に際し、自動車部品を製造している約200社との長年の関係を生かしながら自社の持つ技術を高めていけるのは、東芝ならではの強みだろう。顧客との間に築いたオール東芝の信頼や実績に基づき、年率5%以上の伸びが期待されている車載・産業分野の市場で「それを上回る成長を計画しています」と岸本氏は決意を述べる。

東芝はNextプランでパワーデバイスを含む高シェア・成長分野に投資額の60%を投入する計画を表明しているが、具体的な投資方法について岸本氏は「安定的な成長が期待できるパワーデバイスでは景気に左右されることなく、コンスタントに投資を続けていくつもりです」と話している。

図2 事業ポートフォリオ
リンク

長い歴史を持ち、技術の深みと多様性を兼ね備える東芝のパワーデバイス。東芝の持つ総合力を象徴するようなこの事業を成長させるため、新しい東芝は走り出した。家電や車から社会インフラまで、あまり人目に付かないながらも広範に使われるこの分野で、東芝の技術力がまさに発揮されようとしている。

岸本 憲治 氏 プロフィール
きしもと・けんじ 1984年慶応義塾大学 法学部 法律学科卒。同年株式会社 東芝入社、2004年ブロードバンドシステムLSI事業企画部長、07年イノベーション開発部長、16年ロジックLSI統括部長、ストレージ&デバイスソリューション社企画部長、17年東芝デバイス&ストレージ株式会社ディスクリート半導体事業部長、18年同社取締役。

【関連サイト】
(公式サイト)東芝デバイス&ストレージ株式会社 製品紹介ページ

※本コンテンツは2019年3月21日から4月20日まで(予定)の期間、日経電子版で掲載した広告特集の転載です。
pagetop

お問い合わせ