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24時間365日連続稼働の高信頼性 社会や産業に不可欠の産業用コンピュータ 安定稼動と長期供給で顧客ニーズに応える

※記事中の情報につきましては、すべて取材時点のものとなります。
社会インフラや産業システムに組み込まれ、24時間365日連続稼動など過酷な動作条件が課せられる産業用コンピュータ分野において、40年以上の実績を誇る東芝。主要な構成部品の内製化や 厳しい検査基準を通じて信頼性と可用性の向上を図っている他、最長15年にわたって供給および サポートを保証するなど、さまざまな取り組みが製品の強みとなっている。新たに高性能モデルも 投入して、多様化する産業界のニーズに応えていく。
田中 繁宏 氏 株式会社 東芝 インフラシステムソリューション社 産業システム統括部 計装制御営業部 部長

各種の制御システムや製造装置に組み込まれているのが「産業用コンピュータ」だ。電力、放送、通信、上・下水処理、交通などの社会インフラシステムや製造、流通、一般産業などの制御・監視システム、半導体製造装置に代表される自動化機械・装置への組込み制御など、広範囲にわたり社会インフラや産業システムを統制する重要な役割を担っている。

産業用コンピュータは、時には過酷な環境で24時間365日の連続稼動を何年も求められるなど、民生用の一般的なパソコンとはまったく異なる要件が課せられる。そのため、過去にはベンダー独自のプロセッサに独自のOSを組み合わせて構成し、そうした要件に対応していた時代もあったほどだ。

現在の産業用コンピュータはオープンアーキテクチャで構成されているが、標準性を保ちながらも信頼性や可用性をいかに高めるかが、ベンダーの腕の見せ所となっている。

東 隆男 氏 株式会社 東芝 インフラシステムソリューション社 産業システム統括部 計装制御戦略・企画担当 産業用コンピュータ責任者 玉置 克也 氏 株式会社 東芝 インフラシステムソリューション社 産業システム統括部 計装制御営業部 制御営業担当 グループ長

産業システムや産業機器の厳しいニーズを満たす産業用コンピュータを長年にわたって提供してきたのが、さまざまな社会インフラと産業システムを手掛けていることで知られる東芝である(図1)。

「当社の産業用コンピュータの歴史は、独自のアーキテクチャで開発していた1975年に遡ります。その後40年以上にわたって、長期の安定稼動に必要な高い信頼性を実現する技術開発に取り組むとともに、製品の長期供給と長期保守を維持する体制作りを進めてきました。産業用コンピュータに求められる機能と性能において業界をリードしていると考えています」と、東芝のインフラシステムソリューション社の玉置克也氏は説明する。

図1 東芝の産業用コンピュータの特徴
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供給+サポートで最長15年を保証

東芝では、産業用コンピュータが組み込まれるシステムや装置のさまざまなニーズに応えられるように、2016年7月現在で、ハイエンドの「FS20000S model 200/100」から、スリムタイプの「FA2100SS model 500/400」、さらに小型組込み用(ファンレス)の「EC20 model 100」まで、幅広い製品をラインアップしている(図2)。

このうちFS20000S model 200/100は、「Broadwell-EP」と呼ばれるインテルの最新プロセッサであるIntel® Xeon® E5-2658 v4(2.3GHz/14コア)またはIntel® Xeon® E5-2609 v4(1.7GHz/8コア)を搭載した最新モデルで、産業用コンピュータに対する高性能化のニーズに応えた製品だ。なお、東芝では、全事業領域で統一デザインを展開する計画で、産業用機器である本モデルにも新しいデザインが採用されている。

FS20000S

図2に示したいずれのモデルも、製品販売開始から5年間(一部モデルは3年間)の供給と、製品供給終了後7年間またはロングライフオプションの場合は10年間の長期保守が保証される。すなわち最長で15年間にも及ぶサポートが提供されるため、長期間使い続けることが多い産業用のシステムや装置に安心して組み込むことができる。

「民生用のパソコンのようにモデルチェンジの間隔が短ければお客様はシステムの再検証をその都度行わなければならず、多大なコストと手間が生じてしまいます。長期供給と長期サポートを保証する当社の取り組みは、お客様にとって、トータルのライフサイクルコストを抑えるという点でもメリットがあると考えています」と、同社の田中繁宏氏は価値を訴求する。

図2 東芝の産業用コンピュータのラインアップ
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RAIDコントローラボードを含めた内製化を徹底

東芝では信頼性と耐障害性を高めるためにマザーボードをはじめとする主要な構成部品については自社設計および自社生産を行なっている。

「外製化が進む最近では珍しいのではないかと思いますが、例えばディスクアレイ(RAID)のコントローラボードも、ファームウェアとデバイスドライバを含めて、東芝グループ内で設計開発をしていますので、担当する部署と連携して信頼性強化を図っています。

また、エンタープライズ向けHDDやSSDの開発も、同じく東芝グループ内で自社設計を行っています。とくにSSDは、フラッシュメモリやコントローラを自社で開発している強みを生かし、最適な制御を行っているところが他社にはない特徴の1つです」

ハードウェアの異常を早期に検出する「RAS機能」(Reliability, Availability and Serviceability)も充実させた。

「内部を監視する専用のマイコンを搭載して、電源異常やファン異常、HDD異常や温度異常などを早期に検出します。また、リモートでの電源オン/オフやリブート機能なども備えている他、そういった状態を把握する専用のアプリケーションソフトも提供しています」と、同社の東 隆男氏は説明する。また、これらのRAS機能をユーザーが利用できるようにAPIも用意されている。

さらに筐体の設計を工夫することで保守性も高めた。「HDDや冷却ファンなどの寿命部品は筐体の前面に配置して、前述のRAS機能との連携で、速やかな保守ができるように配慮しました」(東氏)。

なお、製品の動作保証温度範囲は+5℃から+40℃だが、出荷の際には+5℃を下回る低温から+40℃を上回る高温まで全数検査を行っているという。設計マージンが十分に確保されている証ともいえるだろう。

ソフトウェアのバージョン管理も徹底

長期で使用する産業用システムや装置では、OSなどのバージョン管理とバージョン固定も重要になる。「OSをプレインストールした形でお客様に出荷していますが、お客様のご要望に合わせて、ビルド番号、サービスパック適用の有無、デバイスドライバのバージョン等についても当社側できちんと管理した上で提供しています」(玉置氏)。

ちなみに、最新モデルのFS20000S model 200/100の 場合で、Microsoft® Windows Server® 2008 R2、Microsoft® Windows Server® 2012 R2、Red Hat® Enterprise Linux® 6.7を選択できる他、一般向けにはサポートが終了したMicrosoft® Windows XP® Professional SP3を選択できるモデルもある(FA3100SS model 1000はじめ他機種も)。

最新の技術課題へも積極的に対応

さらに東芝は、最近話題になっているIIoT(産業用IoT)に関して、IIoTで不可欠なビックデータ解析をクラウドではなくエッジコンピュータで処理できるように、フィールドマシンとしての機能および性能を満足した製品の提供と合わせて、運用を手助けする予防保全・リモート監視・故障予兆監視などにも積極的に取り組んでいる。

また、近年課題として指摘されている産業システムの制御システムセキュリティについて、田中氏は次のように述べる。「産業用のシステムや装置は、ローカルな運用のみでインターネットに接続しないためセキュリティ的に安全、といった先入観で扱いがちですが、マルウェアに感染したUSBメモリを誰かがUSBコネクタにうっかり挿してしまうリスクもゼロではありません。セキュリティの運用や考え方はお客様によってそれぞれ異なるため、啓蒙活動も含め、積極的に取り組みを行っています」。

その一環として、経産省の支援を得た技術研究組合制御システムセキュリティセンタ(CSSC)に参画し、制御システムに関するセキュリティの確保及び啓蒙活動を推進している。

持続的なライフサイクルで産業に貢献

東芝は2016年4月に、「エネルギーシステムソリューション社」、「インフラシステムソリューション社」、「ストレージ&デバイスソリューション社」、および「インダストリアルICTソリューション社」の4つのカンパニー体制に再編を行い、「すべての活動を支える安全でクリーンなエネルギー」、「豊かな暮らしを支える社会インフラ」、「高度な情報社会を支えるストレージ」という三つの基盤事業に注力する経営方針を示している。

今回紹介した産業用コンピュータを扱うインフラシステムソリューション社は、「社会インフラ・産業システム、ビル・施設へのソリューションの提供を通じて、安全・安心で信頼できる持続可能な社会を実現し、人と地球の未来に貢献する」という一文をカンパニーのビジョンを掲げている(図3)。産業用コンピュータは、そのビジョンを構成する一要素だ。

田中氏は最後に「長期にわたって安心して使っていただける当社の産業用コンピュータは、ビジョンに掲げたような持続可能なシステムを実現する典型的なソリューションのひとつです。これからもお客様の厳しい要件に応える製品を通じて、社会や暮らしに少しでも貢献していきたいと考えています」と述べ、引き続き価値の提供に努めていく考えを示した。

図3 東芝インフラシステムソリューション社のビジョンと事業領域
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