“明日”をつむぐテクノロジー special

人と店とを情報でつなぐ「スマートレシート」「電子レシートで未来を先取り買い物をより楽しく、便利に」

※記事中の情報につきましては、すべて取材時点のものとなります。
財布の中でかさばりがちなレシートやクーポンをスマートフォンで手軽に閲覧・管理できる「スマートレシート」が誕生した。すでに東北四県の生協(COOP)82店舗でサービスを提供中で、利用者の評判も良好だ。利便性の訴求や効率的な販促につなげられるとして、店舗側の期待も大きい。
長谷川 圭一 氏 東芝テック株式会社 商品・マーケティング統括部  量販ソリューション商品部 量販ソリューション商品第二担当 部長

新たなビジネスチャンスは単純な発想から生まれることも多い。POSレジシステムの業界大手である東芝テックが開発した「スマートレシート」も、その1つだ。

「財布の中でかさばりがちなレシートを電子化してみたら面白いことができるのではないか、という単純な着想を元に、2011年ごろに社内で勉強会を行ったのが始まりでした」と、東芝テックで量販ソリューション商品第二担当部長を務める長谷川圭一氏は振り返る。

さまざまな検討を重ねたのち、2012年から本格的な開発に着手。作業は順調に進み、スマートフォンアプリを含む試作システムは2013年に完成した。

その後、「スマートレシート」のコンセプトに賛同したみやぎ生活協同組合(宮城県)の協力を得て、2014年1月から3月まで29店舗で実証実験を実施。アンケート回答者の92%がサービス継続を望むなど利用者に好評だったことを受けて、同年10月からサービスを正式に提供中である。

2015年5月末現在で、みやぎ生協、いわて生協、生協共立社、コープふくしまの82店舗に「スマートレシート」が導入されており、会員数は延べ10,000人に達する勢いだという。

みやぎ生協で行われた「スマートレシート」の正式導入の発表会

利用方法は簡単で、(1)スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、(2)レジにて生協の組合員カードとアプリとの対応を登録したのち(初回のみ)、(3)いつも通り組合員カードを提示して買い物をすると、(4)紙のレシートの代わりにアプリにレシートデータが送られてくるという仕組みだ(図)。

「レシートで財布がかさばらなくなった、過去の買い物の履歴が見られる、出費を月単位や週単位で簡単に集計できるなど、利便性を評価する声を多数頂戴しています」と長谷川氏は述べる。

図 生協における「スマートレシート」の大まかな利用手順
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クーポンやキャンペーンにも効果。プラットフォームとして展開を図る

スマートレシート」はもともとは紙のレシートを単純に電子化するところから構想されたが、実際の仕組みの構築に当たっては、消費者、小売業者、さらには小売店に商品を納める卸売業者やメーカーなど、すべてのプレーヤーにメリットをもたらす「プラットフォーム」を目指したと長谷川氏は述べる。

例えば、スーパーなどでレシートとともに渡されるクーポン券は利用客の財布に入れてもらえる確率が低いといわれており、効果的な販促になかなかつながらないという課題がある。

一方、「スマートレシート」でクーポンを配布すれば、利用客はアプリからいつでもクーポンを参照できるため、利用の増加が期待される。また、すでにサービス開始している電子レシート上からのキャンペーン応募では、従来のはがきによる応募率に比べ桁違いに高いという成果も出ている。

こうした工夫が販促や集客につながれば店舗側のメリットはもとより、メーカー側にとっても効率的なキャンペーンインフラとして大きなメリットをもたらす。

また、「オムニチャネル」と呼ばれる複数の販売チャネル(店舗、オンライン、カタログ通販など)間の連動性の向上や、他業種あるいは他店舗と連携したキャンペーン施策なども展開できるだろう。

スマートレシート」は、そうしたさまざまな取り組みを実現するプラットフォームの役割を担うことになる。

消費者起点でサービスや情報を循環。新たな価値提供として普及を目指す

スマートレシート」は小売り側の導入が進むほど、プラットフォーム利用者の利用価値が高まるため、東芝テックではPOSシステムのシェアの高さを生かし、全国導入を推進している。

さて、「スマートレシート」のサービスはまだ始まったばかりで利用可能店舗も限られているが、消費者から見ると日々の買い物に新しい楽しみが加わったことになり、店舗から見れば新しい価値の訴求につなげられる。

「消費者を中心にサービスや情報が循環し、人と店とをつなぐ『サイクル・オブ・リテール』のプラットフォームとして、『スマートレシート』の可能性を広げていきたいと考えています」と長谷川氏。

生活の中ですぐに捨てられてしまうことも多いレシートに、東芝テックによって新しい価値が吹き込まれようとしている。

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