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モーター制御やセンシング市場に応えるソリューションを拡充 多様なニーズに応える東芝のマイコン 定評あるベクトル制御エンジンも搭載

※記事中の情報につきましては、すべて取材時点のものとなります。
IoT市場の立ち上がりもあって高性能・低消費電力のマイコンに対する需要が高まる中、東芝はARM Cortex-Mコアを搭載したマイコン製品「TXZファミリー」を発表した。最先端プロセスで低消費電力化を図りながら、顧客の多様なニーズにも対応できるように、さまざまなソリューションを準備しベクトル制御エンジンの搭載など特色を持った製品を多品種揃えていく。
廣里 暢盛 氏 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 ミックスシグナルコントローラ統括部 ミックスシグナルコントローラ応用技術部 ミックスシグナルコントローラ応用技術第一担当 主務

マイコン(マイクロコンピュータ)は、白物家電、デジタル家電、OA機器、産業機器、医療機器、さらには一部のおもちゃにも組み込まれ、それらの制御を担う重要な役割を果たしている。パソコンやスマートフォンに使われているマイクロプロセッサに比べてコンパクトで消費電力が小さく、かつ、アプリケーションに特化した機能を備えているなどの特徴がある。

東芝は1970年代からマイコンを手掛けてきたいわば老舗の一社だが、2009年からは英ARM社のCortex-Mプロセッサコアを搭載した「TXファミリー」という32ビットマイコンを新たにラインアップし、マイコン業界での存在感をさらに高めてきた。

「TXファミリーは2つのコンセプトに基づいて開発しました」と、東芝マイクロエレクトロニクスの廣里暢盛氏は説明する。「1つが世界標準アーキテクチャの採用です。ARM Cortex-Mプロセッサは低消費電力と高性能とを両立したプロセッサコア(IP)として業界で広く使われていることもあって、開発経験を持つエンジニアも多く、開発ツール類も豊富です。もう1つは、ブラシレスモーターを効率的に制御するベクトル制御エンジンなど、お客様のアプリケーションに最適なペリフェラル機能を提供することをコンセプトに据えました」(同氏)。

なおTXファミリーは、コピー機、電動アシスト自転車、ロボット、家庭用電力マネジメントシステム(HEMS)など、多くの分野で採用が進んでいる。

低消費電力化を図ったTXZファミリー
モーター制御やセンシング市場に応えるソリューションを拡充

東芝は、IoTの普及などを背景に高性能化と低消費電力化に対するさらなるニーズの高まりを受けて、前述の2つのコンセプトを踏襲しながらTXファミリーを発展させた「TXZファミリー」を2016年4月に発表した。

「民生用マイコンでは業界トップクラスの微細化となる65nmプロセスを開発し、高性能化と低消費電力化を目指して開発しました」(廣里氏)

製品ラインアップとしては、ARM Cortex-M3コアを搭載し汎用性を主眼に置いた「TXZ3シリーズ」を皮切りに、ARM Cortex-M4Fコアを搭載した高性能シリーズや、同じくARM Cortex-M4Fコアを搭載した低消費電力シリーズなどを順次展開する計画だ。

TXZ3シリーズの最初の製品としては、民生/産業機器など幅広い用途に向けた少ピンかつ小容量フラッシュメモリ搭載品をラインアップする。2016年5月からサンプル出荷を行っており、量産開始は2017年1月の予定だ。その他のシリーズについても順次製品化を進め、顧客の多様なニーズに対して的確な提案ができるように、様々なアプリケーションを対象にしたソリューションを準備していく。

 

「現行のTXファミリーでは、用途を絞り込んでお客様に提供してきましたが、新しいTXZファミリーではさまざまなアプリケーションや機能紹介の切り口で提供するソリューションと多彩なラインアップで、お客様のニーズに一層きめ細かく対応していきます」と廣里氏は取り組みを述べる。

図1 多品種によってユーザーニーズにきめ細かく対応するTXZファミリー
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ブラシレスモーターを効率化する、先進のベクトル制御エンジンを搭載

TXZファミリーの特徴の一部を見ていこう。動作電圧は+1.8V系の回路だけではなく旧来の+5V系の回路にも組み込めるように+1.62~5.5Vのワイドレンジに対応する多彩なラインアップを提供する。消費電流は、基本動作時で1MHz当たり100μA以下に抑えられるところまで実現した。

ペリフェラルは品種によって異なるが、モーター制御向け品種(2016年第4四半期にサンプル出荷を予定)には、先進のベクトル制御によってブラシレスモーターの回転を高効率かつ高精度に制御する「Advanced-Vector Engine Plus (A-VE+)」を搭載する。ベクトル制御をソフトウェアで実装するのは開発者にとって負担が大きいが、A-VEを使うことで開発効率を高められると同時にマイコン本体の処理負荷も軽くできる。

なお、TXZファミリーのA-VE+は、TXファミリーに搭載され同社のベクトル制御エンジンとしては第3世代に相当するA-VEに更なる改良を加えたエンジンであり、モーター本体や制御方式の先端的な研究を行っている東芝 生産技術センターのノウハウを凝縮して開発された。

また、サーボ制御やシーケンス処理に適した「Programmable Servo/Sequence Controller」などを搭載した品種も提供する予定である。

内蔵フラッシュメモリは構造を一新し、使用条件にもよるが10万回の書き換えを保証する。さらに、欧州における家電の安全規格である「IEC 60730」にも対応する。

図2 TXZファミリーの特長
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国内ベンダーならではの安心感と、きめ細かい技術サポートが強み

開発環境についてはサードパーティ製ツールで構成される「ARMエコシステム」を軸に展開していく。東芝独自の取り組みとしては、ベクトル制御エンジンなどの使い方を示したリファレンスソフトウェアなどを提供するとともに、モーター周りの開発を効率化する専用ツールの提供も検討中だ。

また、顧客からの評価の高い技術サポートをさらに充実させ、開発環境のコンサルティング、インバータ制御やベクトル制御などを含む無料セミナーの開催、ドキュメント類の拡充などを図っていくという。

「当社は国産としての安心感や技術サポートの質においてお客様から高いご評価を頂いてきました。特長を最大限に生かし多彩なソリューション提案を行っていくTXZファミリーにもぜひ期待していただきたいと思います」と廣里氏。

性能が高く、かつ、消費電力が小さいマイコンは、高機能化が進む家電や産業機器だけではなく、普及が始まったIoTシステムにおけるセンシングやゲートウェイにも不可欠な存在だ。これからも東芝は、優れたマイコン製品や技術サポートを通じて、市場のニーズに応えていく考えだ。

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