阿部さん(仮名)、40代、女性
職業:事務系会社員
勤務先:外資系アパレルメーカー(製造販売)
健康保険:有り(詳細不明)

乳がん、ステージⅡb(トリプルネガティブ※)
乳房全摘手術後、抗がん剤治療(4クール)終了。現在の体調は良好
※女性ホルモン受容体を持たず、がん細胞の増殖に関わるHER2タンパクを過剰に持っていない乳がんのタイプ

・手術と術後の療養では、約1か月を病気欠勤で対応。抗がん剤治療中は、仕事で大きなブランクも避けたいので、全治療期間の3分の1は有給休暇で、3分の2は時短勤務で対応した。

・あまり先例もないため、無防備に相談してお互いに想定外の結果にならないように、社内制度や他の患者社員の状況の確認など、事前準備をしてから周囲に相談するようにした。社内では信頼できる人にのみ情報開示している。

いろいろ調べて、自分からも提案

健康診断で再検査になり、2011年2月に乳がんの告知を受けた。周囲には同世代のがん経験者はいなくて途方にくれたが、告知直後に携帯電話に仕事の問い合わせが入り、「私にはやることがある」と気を奮い立たせた。

2か所でセカンドオピニオンを受け、5月に内視鏡による乳房全摘手術を受けた。9日間の入院を含め、傷病休暇を3週間取得。その後職場復帰し、抜糸までの2週間は、通勤ラッシュを避けるため時短勤務を行った。

当初はステージ0で手術だけの予定が、病理検査でステージIIb・トリプルネガティブの診断を受け、抗がん剤治療を受けることになった。上司からは休職を提案されたが、有給休暇での対応を希望した。長期間休職すると変化が速い業界で置いて行かれそうなことと、社会との接点を持っていたいこと、職場でどう見られるかが不安といった理由で勤務継続にこだわった。

仕事は過去の経験を活かして、対外折衝が少なく体調の変化に対応しやすい業務にシフトしてもらった。

抗がん剤治療中は、基本的に点滴をした週は有給休暇を取得し、翌週から時短で勤務した。一度、急な発熱で休んだものの、だいたい予定通りに勤務できた。想像以上に脱毛が激しく、勤務中に「もしウィッグがずれたらどうしよう」などと気になったが、幸い杞憂だった。

8月に前半4回の治療が終了。通常なら後半があるところだが、標準治療の抗がん剤が既往歴と相性が非常に悪いため、主治医との相談やセカンドオピニオンの結果、前半のみで治療を中止した。

治療終了後も、しばらくは体調が不安定で、リンパ浮腫が悪化してパソコンが打てないほどの激痛があったり、副作用の更年期障害で、頭痛、めまい、ホットフラッシュ、気分の落ち込みなどを体験した。体調がよくないときは、医務室で休ませてもらったり、会議室で仕事をしたりして、勤務を継続した。

翌年、時短をやめて通常勤務に復帰。2013年9月くらいから体調が安定し、現在は普通に勤務できている。

・医療者・会社に対する積極的なコミュニケーションにより、ツール、制度を活用し、働き易い環境を整えた。

・医療者からの抗がん剤治療に関する患者説明用ツールを活用し、1)具体的な副作用、2)治療中に一般に休むこととなる期間を明示した

・体調の変化に対応しやすい対外折衝が少ない業務に変更した。

・治療経過に合わせて時短勤務、有休休暇などを組み合わせて活用した。

阿部さんが、ご自分の病気や体調について細やかに職場に報告し、あわせて対応を提案していたことが印象的。正確な判断材料があり、ご本人の希望も明らかだったので、職場側は『対応できること、できないこと』を一緒に考えやすかったのではないでしょうか。阿部さんの工夫は、多くの方の参考になると思います。

時短勤務、業務内容変更、社内への情報開示

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