山崎宏之さん、40代、男性
職業:事務系会社員(総務)
勤務先:JFEスチール(製鉄業他、連結従業員数4万2千名)(当時。2015年6月現在はグループ会社のJFEライフに在籍)
健康保険:一企業運営の健康保険組合(JFE健康保険組合)

脳腫瘍、グレードⅡ
覚醒下開頭手術により腫瘍の約85%を摘出。その後、放射線治療とリハビリテーションを受ける。

・脳の手術の影響で、復職当初は言葉がうまく出てこない症状があったが、Eメール等でやり取りし、業務になるべく支障が出ないようにした。

・短時間勤務や週4日勤務などを認めてもらい、徐々に体を慣らすことができた。

まずやってみて、できない部分をフォローしてもらった

工場の総務室で管財を担当している。2010年9月、44歳のときに原発性脳腫瘍の一種グリオーマの中の乏突起星細胞腫(グレードⅡ)を発症した。最初の病院で診断に疑問をもったため、産業医に相談して専門医の紹介を受けた。同年12月に覚醒下開頭手術により、腫瘍の約85%を摘出(右前頭葉運動野付近のため全摘はできなかった)。翌年1月から2月には、補助治療として未摘出部分とその周辺の放射線治療を実施。並行して身体が不自由になったためのリハビリを行った。

治療終了後、2011年4月に復職した。手術前の1か月間は半日勤務で通勤したため、休業期間は通算6か月だった。

新しい職場はむしろ大変だろうという配慮から、元の職場に復職した。以前と同じようにはできないため、普通に仕事をして、できない部分は周囲にフォローしてもらう形をとったことが、とてもよかった。

病気の人は、元通りではなくても、何か少しはできるはずだ。山崎さんも復職直後は大変だったが、仕事が最強のリハビリになった。だから、会社は仕事ができないと決めつける前に、少しだけ猶予を与えてほしい。

復帰直後は、入院による体力の低下と集中力や就業意欲の低下があったが、現在はほぼ回復している。最初の約2年間は、できないことがあまりにも多くて気分の落ち込みが激しく、精神安定剤や睡眠導入剤を服用するようになった。これはいまでも続いている。考えることはできても、それを言葉にするのが難しく、電話での会話やメモ取りが困難だった。そのため、当初は仕事はほぼe-メールで行った。これらは、少しずつ程度は軽くなっている。

どこまで大丈夫なのか、自分が責任をもって判断することが大事だ。最善を尽くす必要はあるが、体調悪化で、より大きな迷惑をかけないことも重要。書籍などから、山田規畝子先生の「元気出さない、頑張らない」、樋野興夫先生の「病気も込みで人生」といった言葉を得て、頼りにしている。

いまの問題は、就業制限のために早出残業休日出勤等ができないことだ。工場の総務には、地域との交流行事や緊急呼び出しへの対応など、特有の時間外業務がある。それを自分だけはずしてもらうことが心苦しいため、異動を希望している。

産業医面談と産業保健師面談を、毎月1回実施してもらっている。3名の産業医と4名の保健師の全員が、山崎さんのことをわかってくれていて、非常に心強い。また、通常は行わない人事室長による個別面談を半年に1回実施してもらっている。

お金の面では、大手の生命保険(医療特約+がん確定診断後保険料無料特約付き)に2つ、がん保険、GLTD(団体長期障害所得補償保険)に個人で加入していた。GLTDは、仕事ができない状態になったときに、契約額が60歳の誕生日まで支給される。再発したら半身不随になる可能性が高いため、大きな安心材料になっている。なお、長期入院がなく、高額療養費制度を利用したため、治療の出費はそれほど大きくはなかった。

・早期復職は大変だったが、最大のリハビリになった。

・まずやってみて、できない部分を周囲にフォローしてもらうやり方が合っていた。

・体調悪化でより大きな迷惑をかけないためには、がんばりすぎない。

・産業医や人事の定期的な面談で、安心感を得られている。

脳腫瘍の治療は、他のがんに比べて仕事にかなりの影響を及ぼすと思います。山崎さんが、治療前から社内の各方面に相談して理解を得ていたこと、そして復職後もご自分の状況を見極めながら工夫を続けたことに感服しました。まさに、仕事は「最強のリハビリ」ですね。復職当初はお辛かったと思いますが、状況がよくわかるからこそ、周囲はその時々で山崎さんに必要な支援を検討しやすかったものと思います。会社側が常に時間軸を持って対応したこと、人事や産業医が有機的に連携したことも印象的。結果として、会社が貴重な人財を失わずにすんだ好事例です。

時短勤務、就業制限、GLTD(団体長期障害所得補償保険)、産業医

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