第2回意見交換会(中小企業編)を開催

 2018年1月20日に新大阪にて、「がんと共に働く 知る・伝える・動きだす」第2回意見交換会(中小企業編)が開催されました。

 今回は、従業員を大切にする経営で業績をV字回復させ、2016年に「週刊ダイヤモンド」の「地方『元気』企業ランキング」1位を獲得した愛媛県松山市の株式会社明屋書店(はるやしょてん)が、産業医科大学の柴田喜幸氏の協力の下、四国がんセンターと実施したがん患者就労支援のための社内研修がテーマです。3人の講師による紹介のあと、会場からの発言も含めた意見交換で大いに議論が盛り上がりました。

第2回意見交換会(中小企業編)登壇者

小島 俊一氏(こじま・しゅんいち)

株式会社明屋書店 元社長(現 元気ファクトリー代表)
(株)トーハン入社後、2013年より四国松山の老舗書店である明屋書店(はるやしょてん)に出向し経営再建に努める。業績を2年でV字回復させ 週刊ダイヤモンド2016年「地方元気企業ランキング」で全国中小企業300万社の中から全国1位に導く。2017年に退任し、各種中小企業の経営コンサルティングに携わっている。

前田 俊彦氏(まえだ・としひこ)

株式会社明屋書店 山口東ブロック ブロック長
明屋書店入社後、山口県内の店舗店長として店舗管理に従事。その後、山口中央・西エリア長としてのエリア店のサポートを経験。2014年より北九州ブロック長として北九州と大分中津の一部店舗を担当管理。2017年9月より現職。

青儀 健二郎氏(あおぎ・けんじろう)

NHO四国がんセンター 臨床研究センター 臨床研究推進部長
昭和60年:広島大学医学部卒業、同原爆放射能医学研究所第二臨床部門(外科)入局
平成8年11月:英国オックスフォード大学留学
平成11年4月:国立病院四国がんセンター外科医師
平成15年4月:米国MDアンダーソン癌センターで研修
平成24年3月:NHO四国がんセンターICU病棟医長
平成24年4月:同化学療法科医長 兼 同外来化学療法室長
平成24年7月より現職、主に乳腺外科診療に携わる。

柴田 喜幸氏(しばた・よしゆき)

産業医科大学 産業医実務研修センター 准教授
専門は教育設計学(インストラクショナル・デザイン)。社会人教育を行う企業で、営業・開発・事業責任者などを行った後、2008年より現職。医師・保健師等を対象に「教え方を教える」ワークショップを行うほか、企業でもコミュニケーション、問題解決、講師養成の研修や教育制度設計等を幅広く行う。併行して、東京医科歯科大学、熊本大学、三重大学等の非常勤講師を務める。

若尾 文彦(わかお・ふみひこ)

国立がん研究センター がん対策情報センター センター長
1986年横浜市立大学医学部卒業。国立がんセンター病院放射線診断部医長などを経て2012年より現職。「がん情報サービス」や「がんの冊子」などを通して、がんの情報の発信と普及に取り組んでいる。

高橋 都(たかはし・みやこ)

国立がん研究センター がん対策情報センター がんサバイバーシップ支援部長
一般内科医として勤務後、がん患者の生活の質やサバイバーシップに関する研究に従事。罹患後の暮らし全般、特に本人や家族の就労問題に取り組む。厚労省「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」構成員。

 最初に、若尾文彦国立がん研究センター(NCC)がん対策情報センター長から、「がんと共に働く 知る・伝える・動きだす」プロジェクトの紹介と背景説明がありました。

 「医療の進歩で治療をしながら働き続けられる人が増え、現在、働くがん患者は32万人いる。今後、定年延長などで職場のがん患者は増えていく。ところが、患者は仕事との両立に悩み、企業はがんに罹った社員への対応に苦慮している。

 厚労省は、2016年2月14日に『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』を出した。この中には、企業に求められる就労支援制度が記載されているが、実際に整備済みの企業は20%に満たない。

 2016(平成28)年12月にがん対策基本法が改正され、『事業主は、がん患者の雇用の継続等に配慮するとともに、がん対策に協力するように努力する』という事業主の責務が追加された。基本的施策の中でも、がん患者の雇用の継続等に係る規定及びがんに関する教育の推進のための規定が新設された。2017年3月の働き方改革実行計画にも、病気の治療と仕事の両立が入り、病気を持ちながら仕事をする人への支援体制を作ることが求められている。

 2017年10月末に、第3期がん対策推進基本計画が策定された。就労については3つの全体目標の3番目、『尊厳をもって安心して暮らせる社会の構築』で、関係者が医療、福祉、介護産業、保健、労働支援分野と連携して、効率的なサービスの提供や就労支援を行うしくみを作っていくことが求められている。

 がん患者の就労支援は制度上進んで来てはいるが、このままでは絵に描いた餅になる。今日紹介する明屋書店と四国がんセンターの研修は、それを現実にする取り組みだ」とのことでした。

 次に、明屋書店が実施したがん罹患者就労支援のための社内研修について、3つの講演が実施されました。

講演1:株式会社明屋書店 元社長 小島俊一

 最初に明屋書店元社長の小島俊一さんから、「がんと就労の問題に取り組むのは、企業経営の立場から見てメリットが大きい。従業員を大切にしない企業では、従業員のモチベーションが上がらない。また、従業員が辞めれば、これまでの経験とスキルが失われる。従業員はコストではなく財産だ」という話がありました。

 詳しい内容は、別途取材したものも合わせて企業レポート「明屋書店の取り組み」にて報告していますので、そちらも参照してください。

講演2:産業医科大学 産業医実務研修センター 准教授 柴田喜幸氏

 次に、産業医科大学産業医実務研修センター准教授の柴田喜幸さんから、教育設計学という観点から、どのように明屋書店の研修プログラム設計に関わったかが紹介されました。

 詳しい内容は、企業レポート「明屋書店の取り組み」を参照してください。

講演3:四国がんセンター 臨床研究センター 臨床研究推進部長 青儀健二郎氏

 講演の最後は、四国がんセンター臨床研究センター臨床研究推進部長の青儀健二郎氏から、働くがん患者の現状と、それを踏まえて実施した明屋書店の研修プログラムの具体内容について発表がありました。

 「がんの診断を受けた人々が、その後の生活で抱える身体的・心理的・社会的なさまざまな課題を、社会全体が協力して克服していく必要がある。第3期がん対策推進基本計画でも就労支援への取り組みが明記されているが、就労者の3人に1人が退職、解雇や休職・休業など仕事に影響を受け、67%が減収になっている。また、仕事を辞めた時期は、3分の1が診断後治療を開始するまでの間という調査結果もある。共同通信のアンケート調査では、大企業でも7割ほどが両立支援制度を整えていない。愛媛県のがん患者支援団体おれんじの会の調査では、就労相談をしたことがない人が多く(61%)、そのうち約56%は相談窓口の必要性があった。また、『がん治療や検査のために2週間に1度病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うか』という問いに、『そう思う』と答えたのはわずか27.9%だった。

 

 四国がんセンターのがん相談支援センターでは、看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)等が相談にあたり、就労支援の相談にも応じているが、病院だけの支援は限界がある。われわれ医療者が外に出て職場や地域の人と協力していく必要がある。そこに明屋書店の研修の話がきて、こういうものが全国に広がればという思いで取り組んだ」とのことでした。

 講演後半の明屋書店の研修内容については、企業レポート「明屋書店の取り組み」を参照してください。

パネルディスカッション

 次に、パネルディスカッションによる意見交換が行われました。

 研修を体験した感想を問われて、明屋書店山口東ブロック・ブロック長の前田俊彦氏は、「企業がどうサポートできるかは個人的興味があったが、本当に何かできるのかということは、半信半疑だった。わが社には『3つの大切』があり、1.社員、2.お客さま、3.地域に貢献の順番で大切にすると言っている。以前はお客さま第一と言われていたが、小島社長は社員が一番で、この順番は絶対にずらすなと繰り返した。研修前に、ある店長が脳の手術をして、復帰までに約6カ月かかった。当初2カ月で復帰する予定ができなくて小島社長に1カ月ずつ延期してもらったが、3カ月以上になると自分が不安になった。しかし、『復帰の時期はわからない』と言うと、『お前にまかせた』と言ってもらえた。がんと共に働くということには、トップの意志と態度が非常に大事だ。研修後は、半日休暇の取得が可能になったり、休業期間が延びたり、実質的に制度が変わったこともあり、社員の意識も変わった」と述べました。

 感想を求められて、NCCがん対策情報センターの高橋都がんサバイバーシップ支援部長は、「松山という街に、従業員第一という企業トップがいて、外に出ていこうと考える医療機関があって、そこに研修立案のプロが入ったことは、非常に幸運で独自性が高い状況だった。こういうことがどうしたら他でもできるかに興味がある。どのように工夫したのか、また、実際に研修をやってどう変わっていったのか」とコメントしました。

 若尾センター長から、「医療者が企業に対して行う研修でロールプレイを導入した例は覚えがない。どういう経緯で決めたのか」と問われて、柴田氏は「研修を設計するには、最初にゴールを決めることが大事だ。今回のゴールは、『店長やブロック長が、がんになった従業員に好ましい対応ができるようになる』なので、座学では足りないと考えた」と答えました。

 青儀氏は、「情報提供で理解したものをどう実践するかが大事だ。ロールプレイなら親身になってもらえると思った。患者役は、看護師のスタッフ2名が担当して、女優のように迫真の演技をしてくれた」と答えました。

 会場には、実際にロールプレイで患者役を務めた四国がんセンター患者・家族総合支援センター看護師の宮内一恵さんと清水弥生さんが参加していました。コメントを求められて、宮内さんは、「一番苦労したのは、企業の人の思惑と医療者が伝えたいことをどうすりあわせるかだ。実際の研修よりも研修設計書を完成させるほうが大変だった。ロールプレイは、患者さんと常日頃接している看護師は、よりリアルに患者さんの思いを表現できるのではと考えて、自分から申し出た」と述べました。

 小島さんは、「鬼気迫る演技で熱意が伝わってきた。店長は圧倒的に男性が多く、女性従業員に婦人科系のがんに罹ったと言われると、どこまで聞いてよいのかわからない。どう聞けばよいかを学ぶために、ロールプレイは極めて有効だった」とコメントしました。

 前田さんは、「ロールプレイでは、休職したら生活をどうしようといった相談もあった。人事や福利厚生の部分で具体的な質疑応答を体験できたことは、現場では非常に有効だった」と述べました。

 柴田氏から、「看護師2人が患者役、店長が店長役でロールプレイをした。店長には、いままでがんの人と働いた経験がある人は、ほとんどいない。がん専門の看護師は、年中がん患者と会っているので、その琴線がわかる。それから、がんという病気でロールプレイをやると、ほかの疾病や介護など社員の困りごとでも対応力がつくのではないかと考えた」とコメントしました。

 小島氏は、「最初の段階で、がんで実施するが、すべての重篤な病気への対応力を身につけたいと言ったら、快く了承してもらえた。そのため、汎用性が広い研修になった」と発言しました。

 青儀氏から、「ロールプレイでは、柴田氏から『いまのお話はこういう意味ですよね、もっとこう言ったらいいですよね』というコメントをもらった。コミュニケーションの取り方を具体的にアドバイスしてもらえたのは、ありがたかった」と発言しました。

 若尾センター長から「このような研修は、時間も含めて非常にコストがかかる。コストをかけた結果、どういう良い結果がでたのか、あるいは悪い結果がでたか」と問われて、小島氏は、「悪い結果はあるかもしれないが、いまのところ見えていない。いい結果としては、財政面で連続赤字の会社だったのが、約1年半で経常利益が2億円出るようになった。研修だけではなく、基本給をひとり1万円ぐらい上げるなど、いろいろなことをした結果だ。また、中小企業は一般に新卒採用に苦労するが、明屋書店は4名の募集にエントリーシートで700名、一次試験に60名くらい応募があり、東京大学、岡山大学、鹿児島大学等の学生が来た。明屋書店は愛媛県で知らない人はいない企業だ。あそこはこういう会社だと、地域で伝わったので、優秀な人材が来てくれたと思う」と答えました。

 「会社側が利益優先で考えている場合、従業員を大切にするという異なる目的に向かせるにはどうすればよいか」と問われて、柴田氏は「教育設計としては、動機づけで一番大切なのは、相手が関心のあることのスイッチをどう押すかだ。社員の幸福に関心がない社長の関心事は、利益や株価だろう。すると、例えば健康経営で株価が上がるといった実証例が増えれば関心を持ってもらえる」と答えました。

 高橋部長から、「研修をするぞと言われたとき、そして参加したあと、どう思ったか。その後、現場で目に見える形で変わったことはあるか」と問われて、前田氏は、「管理職に自信がついた。ある程度こういう質問がくるとわかっているので備えられる。また、健康管理に気をつけるようになった。それから、乳がん治療4年目の女性スタッフに一番してほしかったことを聞いてみたら、本人だけではなく、残った店のスタッフのフォローだと言われた。確かにひとりいないと、他のスタッフに仕事の負担も精神的な負担もかかってくる。そこで3カ月くらいの短期の時間労働者を雇うことにした。短期間働きたい人が案外いて、うまく機能した」と答えました。

 小島氏は、「私は、短期労働者を雇ったことを今日まで知らなかった。マネジメントの方法として、自律的にやるほうが組織は強くなる。社長は80人の店長を管理できないので、8人のブロック長を管理し、ブロック長が店長を管理する。従業員第一のような定性的な要求のほか、定量的な指標を与えるが、方法は自由でよい」とコメントしました。

 前田氏は、「研修が始まる前に『がんに罹りました』と言われたときは、『大丈夫』と声をかけても、根拠がなかった。研修を終えたあとには、具体的に根拠のある形で『大丈夫』と言えるようになった。根拠があると伝わり方も違う」ともコメントしました。

 最後にひとことずつ意見を求められ、前田氏は「会社としてどう向き合うかは、トップの考えが非常に大きい。トップがこういう考えでこう進めていくと明確にしていくことが、いちばん大事ではないか」と発言しました。

 小島氏は、「経営者として資本の論理を大事にするからこそ、従業員を大切にすることが必要だ。最近人手不足倒産が増えているが、明屋書店は人材採用に困らない。人口が減少する日本では、従業員を大切にする会社こそ生き残る」と発言しました。

 柴田氏は、「大事なことは2つある。ひとつは、自分がちょっとがんばればできるゴールを明確にすることだ。3をいきなり10に上げるのではなく、3をまず4にするにはどうするかを考える。もうひとつは、『人を見て法を説け』だ。自分の論理ではなく、相手の心が動くスイッチからアプローチすることだ」と発言しました。

 青儀氏は、「医師はもっと世の中に出ていくべきだ。もう少し社会学的に、システムとして世の中の病気を治すことに向き合う方がいい。今回の研修は、本当に勉強になった。今後、他への展開を目指したい」と発言しました。

 高橋部長は、「医療機関が地域に出て貢献できることがいろいろある。地域の中で、病院の活動がうわさとして広まれば、変化が見えやすい。ひとりひとりの患者レベルでも、いいフィードバックがあるだろう」と発言しました。

 若尾センター長は、「四国がんセンターでは、研修は病院の業務として行っているとうかがった。年休を取ってやってくれという医療機関は多いが、職員が地域に出ていくと、最終的に病院にもフィードバックがあると思う」と発言しました。

会場を交えての意見交換

 その後、会場からの質問や意見を交えて、意見交換が行われました。

今回の研修が広がる可能性

 若尾センター長から感想を求められて、会場に参加していた大阪国際がんセンターがん相談支援センターの池山晴人さんは、「大阪府社会保険労務士(社労士)会が、ホットラインで相談員の支援事業を開始した。自助グループによる働くがん患者支援など、いろいろな支援は増えている。今日の報告のような一企業に対する支援はなかなか難しいが、会社の社風に合った支援は効果があがりやすい。また、四国がんセンターが、外部企業への研修を業務として実施したことは素晴らしい。この方法が広がって、大阪でも同様のことができるようになればいい」と感想を述べました。

 若尾センター長から、一企業への支援について意見を求められて、青儀氏は「明屋書店の研修実施後、別の企業から研修依頼の話があった。私たちは明屋書店のような研修をしたかったが、講演だけでよいと言われてしまった。小島氏はいま中小企業の経営コンサルタントなので、その協力を得て愛媛県で中小企業の集まりなどで、もう一度やり直してはと考えている。少しずつ広げていきたい」と答えました。小島氏は、「組織論的には、広がったものは深まらず、深まったものしか広がらない。今回の研修は深まったので、非常に魅力的なセミナーになった。だから、広まると思う」と答えました。

医療機関と企業の連絡

 岡山ろうさい病院で就労両立支援をしている石崎雅浩さんから、「私たちは、患者が了解した上で、治療スケジュールや必要な配慮などの情報を人事に伝えている。明屋書店では、従業員の治療スケジュールなどを、医療機関に問い合わせたりはしなかったのか」という質問がありました。前田氏は「当社は事業所単位では50人以下なので、産業医がいない。情報公開については、まず本人に意志確認をする。私の担当範囲にも何人かの患者がいるが、本人の意向を最優先し、その後の他スタッフへの対応を決めている。私が主治医に会うこともできると伝えたが、そこまではよいと言われ、現時点では医療機関とコンタクトしたことはない」と答えました。石崎さんは、「自分たちも、事業者から問い合わせを受けたことはほとんどない。できれば、復職のときなどに連絡してもらえればよいのにと思う」と述べました。

 若尾センター長から、「明屋書店の研修の中で、こういう場合は病院に連絡するとよいと習うことはあったか」と問われて、小島氏は、「問い合わせ先などの知識は得た。以前は、乳がんで乳房切除をしたら重い荷物を持てないとか、手を上げにくいといった知識はなかったが、いまは全員が知っている。書店では重い荷物を持つことがあるが、いまは知識があるから、カバーしてあげられる。知識は大切だ」と答えました。

 若尾センター長から、「医療知識が大事だという話があったが、逆に医療者は会社活動の知識がない。ロールプレイで患者役をやった看護師は、明屋書店へ仕事内容を見に行ったそうだが、どうか」と問われて、青儀氏は、「外に出ていくためには、知る必要がある。医師は、社会勉強をした方がよい」と答えました。

 小島氏は、「看護師らは、午前8時半から本屋の荷物出しを体験してくれた。ともかくやってみようと動く看護師のチャレンジ精神に感動した。社員には、『見逃し三振は退場だが空振り三振はOKだ』と常に話してきた。完璧を目指して動かないよりも、ともかく行動してみることが大切だ」とコメントしました。

社内患者会の提案

 大学病院の中で患者会をしているという女性から、「いまは、病院内患者会がかなり一般化している。患者サロンで、仲間同士で思いのたけを吐き出した人は、とても元気になれる。社内患者会があれば励まし合えると思うが、どうか」と発言がありました。

 それについて小島氏は、「マネジメントにおいては、コミュニケーションが大事だ。コミュニケーションがあって、モチベーションが上がり、イノベーションにつながる。だから、コミュニケーションができない、自分の抱えていることを話せない組織はダメだと思う。ネガティブなことでも話せる組織を作ることが大事だ」と意見を述べました。

 高橋部長から、「『がんと共に働く』プロジェクトでは、現在20以上の事例が蓄積されている。その中には社内患者会を作りたいという話もあるが、会社側にがん患者のリストをもらうわけにはいかない。ただ、社内報にがん体験を載せると、『実は私も』と声をかけられたという話は聞いている。ある程度大きな組織なら、そういうことができるかもしれない」とコメントしました。

 若尾センター長からは、「明屋書店は、病気のことを隠す必要がない風土がある。みんなが話を聞いてくれるので、社内患者会のニーズはあまり出てこないのかもしれない」と感想を述べました。

大阪府社労士会の取り組み

 大阪府社労士会会長の飯田政信さんから、「先ほど池山氏から紹介があったが、1年ほど前から、がん患者就労支援に取り組んでいる。昨年10月からは、大阪府の65カ所のがん診療拠点病院のうち、大阪国際がんセンター、大阪大学医学部附属病院、大阪市立大学医学部附属病院、近畿大学医学部附属病院、関西医科大学附属病院、大阪赤十字病院、市立東大阪医療センター、堺市立総合医療センター、市立岸和田市民病院の9カ所と協定を結んで、これらの拠点病院に患者さんから相談があったとき、ホットラインで相談支援センターの相談員が社労士に相談できるようにしている。スタッフは、がんの治療について研修を受け、最低限の医療知識を学んで準備した。

 柴田氏の講演資料では、社労士は企業側の人間として分類されている。企業から報酬をもらう以上、企業の立場でアドバイスすることはあるが、それとは別に大阪府社労士会は患者さんに寄り添う活動をしていきたい」と発言がありました。

 若尾センター長から、「バックに社労士会がいれば、難しい社会保険制度のことを安心して相談できる。企業の人でもがん相談支援センターに相談できるので、ぜひ使っていただければ」と意見を述べました。

 最後に若尾センター長が、「今日は大変勉強になった。この研修は『特別な例だからうちでは無理』というのではなく、全国に広げなくてはならない。柴田氏のアドバイスは、まず、できる目標を立てるということだ。がん対策推進基本計画が目指す、すべての患者さんが尊厳をもって安心して生きられる社会を作る。そのためには、医療機関や患者さんだけではなく、社会として取り組む必要があると、あらためて認識した」と締めくくりました。

ご来場頂いた皆様から貴重なご意見を頂きました!

第2回意見交換会(中小企業編)会場アンケート結果

あなたのがんとの関わり方は?(複数回答)

本日の意見交換会は?

8割の方に「役にたった」とお答えいただきました

本日の意見交換会は?

本日のご感想をお聞かせください。今後とりあげてほしい事例や話題・論点などがあれば、お書きください。(一部をご紹介しています。また、読みやすいよう加筆や修正などをしています)。

・企業側の取り組みを具体的にお聞きでき参考になりました。座学ではなくロールプレイングの効果をお聞きでき、よかったです。

・がんに限らず、他の病気(うつ等)にも通じるものがあると思います。また、企業の中でかかえる”人”にまつわる課題(働き方改革、人手不足)にも通じます。社会・企業の中でしくみ化していくための努力、実践はずっと続くものだと思いますが、とてもやりごたえのある取り組みだと改めて実感いたしました。自分もコンサル・社労士を通して取り組みを始めたいと思います。

・貴重なお話をありがとうございました。企業の安全配慮義務についてのお話も聞きたかったです。(このあたりが従業員・企業ともに苦慮している部分でもあります)

・研修を受けた前田さんのお話が聞けたことが一番良かった。

・実例を交えたお話は分かり易くて良かったです。

・とても素晴らしい取り組みについて知ることができ、とても参考になりました。今後、同じような取り組みをどのように広げていくのかに興味があります。是非、この取り組みが日本でスタンダードとなり全国で展開されることを望みます。

・これから、日本では労働人口が減っていくなか、このようなアクションはとても重要と思います。人は財産です。

・今はどちらの立場でもないのですが、いずれ自身が病にかかった時、周りにそういう人が現れた時どう対処すれば良いか考えさせられます。

・企業のトップが従業員を大切にすることが経営においてとても大切である。ゴールを明確にすることが大切でどこにその人のスイッチがあるか気付く手がかりにもなる。

・有益なお話を伺うことができました。ありがとうございます。今回のような好事例をぜひ全国に展開することができればと感じました。また柴田先生のお話にあった「講師チーム(命に関心がある)」と「受講者チーム(ビジネスに関心がある)」の間をつなぐ存在として、私たちキャリアコンサルタントがお役に立てればと思います。

・がんを患い、情報収集するなかで今回のセミナーを知り参加させていただきました。明屋書店さんの取り組みと貴重なお話が聞けて勇気をいただきました。ありがとうございました。

・トップ(経営者)の意識、メッセージは大切だとあらためて痛感した。

・経営者、医師、各々のお立場でのお話を伺えて良かったです。各経営者に響く方法で興味をもってもらえるところに働きかけて、取り組みを広めていけたらと思います。

・成功事例をとても興味深く拝聴しました。明屋書店様のような企業が少しでも増える事を強く望みます。私自身社労士をして少しでもお役に立てるよう努めてまいります。

・医療と企業の連携の具体的取り組みのお話は参考になりました。

・非常に参考になりました。患者の立場で自分の働く会社がこういった取り組みをすればよいと感じました。

・今回のような取り組みがどんどん広がって行く事が大切だと思います。それに対する行政の支援も必要だと思います。

・がんと向き合うことは全ての企業がやるべきことなので、このセミナーがもっと広がると良いと思いました。

・企業内でロールプレイングをされている話は意外でした。教育設計の試みは興味深かったです。(明屋書店さん)四国がんセンターさんの取り組みは参考になりました。私はキャリアコンサルタントとして就労支援に携わりたいと切に考えています。今年初めての勉強会に参加でき大変刺激になりました。

・ファイナンシャルプランナーとして、ライフプランのリスクマネジメントに関して、がんサバイバーの方々の実態と、これからの対応について大変参考になりました。

・取り組み、考え方、思い等、教えていただいた事から様々なものに気付かされました。「いい取り組みですね」で終わらないようにどう展開していくかも論議してみたいです。

・医療の知識が大事で、がんにかかった社員に対して、話ができる幅も広がると思いました。

・医療機関や専門職だけでなく、企業の方が入るととても新鮮でおもしろい研修になると感じます。私たちの地域の中でも何かできることがないかと考えながら聞いていました。

・今まで東京の開催が多かったですが、大阪で開催していただきありがたかったです。機会があれば大阪での開催が増えればと思います。

・貴重なお話ありがとうございました。また繰り返し、このような会を設けていただきたいです。

・四国がんセンターと明屋書店との事例、官民一体の取り組み(しかも個別企業との)は非常にいいことだと思いました。

・長年医療機関に勤務しておりましたが、今、医療現場の働き方改革に取り組んでおります。医療環境が大変厳しく改善に取り組む問題が多大であり、特に経営者側の努力が必要である事が実感であります。前回も参加しましたが、有意義でした。

・企業と患者(従業員)との関わり方でヒントになるところが多くありました。

・「他人事ではないと考えて」と会社での会議でよく聞く(言われる)のですが、今回のようなトップから現場までが深く関わっている取り組みはありませんでした。小島元社長が「広がったものは深まらず、深まったものだけが広がる」とおっしゃったのがとても印象的でした。自らの会社をふくめて、優等生的な理想論を揚げる企業が多い中、実際に行動を起こされた明屋書店様のような職場に勤めておられる社員の方々はとても幸せな環境におられるなと感じました。

・患者の就労支援の在り方、奥深さが良く理解できました。働き手が不足するこれからの日本社会において、患者(社員・従業員)を守る企業経営の大切さがよく理解できました。

・経営者の社員に対する考え方次第だという事が分かった。健康経営という言葉が悪い方にひとり歩きしてはいけないと思う。

・自身は慢性肝炎で、継続治療が必要で通院をしています。考え方、取り組み方について参考になりました。ありがとうございます。

・自分ができることから、まず始めてみようと思います。

・がん就労だけでなく、あらゆることに応用できるお話で大変有意義でした。研修のより具体的な内容(プログラムの項目など)もお伺いしたかったです。退職よりも継続就労をすすめる取り組みの大切さがよくわかりました。

・がん就労だけでなく、あらゆることに応用できるお話で大変有意義でした。研修のより具体的な内容(プログラムの項目など)もお伺いしたかったです。退職よりも継続就労をすすめる取り組みの大切さがよくわかりました。

企業レポート「明屋書店の取り組み」も参照してください。

事例紹介

「がんと共に働く 知る・伝える・動きだす」では、がんと共に働く事例をご紹介してまいります。

企業レポート

「がんと共に働く 知る・伝える・動きだす」で紹介した、企業の「がんと就労」事例です。

意見交換会

「がんと共に働く 知る・伝える・動きだす」が開催した意見交換会の模様をレポートします。

セミナーレポート

「がんと共に働く 知る・伝える・動き出す」が開催したセミナーをレポートします。

セミナーレポート

「がんと共に働く 知る・伝える・動き出す」が開催したセミナーをレポートします。

インタビュー

がんと共に働く、をテーマにしたインタビュー記事を掲載しています。

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