中小企業、大企業の人事・労務担当者との意見交換会をそれぞれ開催

 当プロジェクトでは、今年度(2018年度)は、企業の人事・労務担当者向けのがんと就労に関するガイドブック作成を進めています。2回のアドバイザリーボード会議(第1回:7月26日開催、第2回:10月4日開催)を経て、10月には中小企業編と大企業編の意見交換会を開催しました。2回の意見交換会では、企業の人事・労務担当の方々に集まっていただき、ご意見を伺いました。

中小企業の方々に参加いただいた意見交換会(2018年10月17日)

中小企業編の意見交換会は、10月17日に東京都中央区の国立がん研究センターにて実施されました。

中小企業編ということで、社員数が数十名から数百人規模の企業・団体から、7名の人事・労務担当者が参加してくださいました。そこに、10名のアドバイザリーボードメンバーとがん研究センターがん対策情報センターの若尾文彦センター長と高橋都がんサバイバーシップ支援部長、事務局として日経メディカル開発小崎丈太郎編集部長が加わり、活発な意見交換が行われました。

最初に若尾センター長からプロジェクトの概要説明があった後、出席者が1人ずつ自己紹介とそれぞれの会社の現状説明を行いました。

社員数が少ない中小企業でも、何人かの社員ががんに罹ったという企業は少なくありません。大半の企業では、ダイバーシティや働き方改革の必要性を感じているものの、がん患者を支援する体制は、まだ整っていないようです。

次に小崎編集部長が中小企業編のガイドブック企画案を説明した後、意見交換が行われました。意見交換では、次のようなご意見をいただきました。

<意見要約>

・人事だけの問題ではなく経営課題であり、支援をしたほうが会社にとってメリットがあると訴えたほうがよい。経営トップを説得するためのツールにしたい。

・がんに負けないというよりも、がんと共に生きる、共に働くといった表現がよい。

・中小企業の社員は、働かなければ生活に困る。

・経営者や人事が、がんになった社員をどう考えるかが大事だ。まず、「社員は朝9時に出社するべき」といった「べき論」は意味がないと伝えてはどうか。例えば、就労規則を見直す、弾力的に運用するなどの措置を講じることにより、9時に出社しなくても、自宅で仕事はできる。

・中小企業では、社員1人が抜けるだけで、業務に支障を来たす例も少なくない。社員全体が、誰かががんに罹るという事態を身近に考えていけるマインドが必要。

・既に社外に存在する様々な有益な制度を知らない社員も多い。まずそこから社員に知ってもらうことが大切。

・社員のマインドを変えていくには、トップから「がんに罹患しても希望に応じて就労を維持できる」などのメッセージを出す必要がある。

・患者がまず報告するのは上長であるので、そのときに備えて予め中間管理職に対して研修などを通じて情報や知識を提供しておくことが重要。

・トップは身近な同業他社の動向を気にする傾向がある。人事・労務担当の立場からトップを説得するには、「他の企業がこういうことをやっている」という事例があると便利。

・患者の思いや希望は体調の変化や治療の進展などの状況に応じて変わることを前提に対応を進めていくべき。就労継続の意思の確認は「1回聞いて終わり」ではなく、どんどん変わっていくものだという認識が必要。

大企業編:社員に相談してもらえる風土作りが必要

大企業の方々に参加いただいた意見交換会(2018年10月22日)

大企業編の意見交換会は、10月22日に東京都港区の日経BP社本館にて開催されました。

大企業編では、6社の大企業から計8名の人事担当者、産業医、産業保健師の方々にご参加いただきました。さらに9名のアドバイザリーボードメンバーと、がん研究センターから若尾文彦がん対策センター長と高橋都がんサバイバーシップ支援部長、それに日経メディカル開発小崎丈太郎編集部長が加わって、意見交換が行われました。

まず、若尾センター長の挨拶と概要説明のあと、参加者が自己紹介を行いました。

大企業では健康経営宣言をしている企業が多く、私傷病に対する制度もかなり整っています。がんに罹って職場復帰した社員は多いものの、本人が自己申告しない限り、人事として把握できていないようでした。

次に小崎編集部長による大企業編のガイドブック企画案説明の後、意見交換が行われました。意見交換では、次のようなご意見をいただきました。

<意見要約>

・どのような制度を整えるかだけではなく、社員からの相談にどう対応するかという話を入れてほしい。

・制度をどのように運用すればいいのか、具体的な事例を知りたい。

・経営者を説得するには、働き方改革実行計画、がん対策推進基本計画、SDGs(国連サミット採択:持続可能な開発目標)のような大局的な観点から話題を展開すると受け入れやすい。

・産業保健スタッフには守秘義務がある。ただ、人事と産業保健スタッフの関係が良好だと連携しやすいことは事実である。

・社員が「この会社ならがんになっても働ける」と思ってくれれば、相談してくれる。両立支援の優良企業として表彰されたり、がんを公表する社員がいたりすると、雰囲気が変わる。

・社内ガイドブックを作っても、なかなか社員全体には広まらない。様々な方法で社員に知らせる努力をしている。

・大企業では、以前からメンタルヘルスの対策に取り組んでいるところが多く。メンタルヘルス対策の経験ががんにどう生きるのか、逆にメンタルヘルスとがんとではどこが違うのかを知りたい。

・がんに罹患したことを社内で開示するかしないかは、あくまで本人の自由に委ねるべき。ただ、開示することで必要な配慮を引き出すことができ、当人にとって有益であることを本人に理解してもらったうえで、開示は判断をしてもらうことが大切。

謝辞

お忙しい中お集まりくださいまして、どうもありがとうございました。いただいたご意見を反映させながら、現在、ガイドブックを作成中です。作成した原稿はアドバイザリーボードメンバーに確認していただき、さらに修正を重ねていきます。そして、2019年1月に開催されるアドバイザリーボード第3回会議で最終的にご確認いただき、3月末には印刷物として完成する予定です。

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