アドバイザリーボード会議(第3回:2019年1月24日)を開催

 「がんとともに働く 知る・伝える・動き出す」のプロジェクトの最終年度もいよいよ大詰め。2019年1月24日に国立がん研究センター会議室で開催されたアドバイザリーボード第3回会議では、事務局が作成したガイドブックの初稿をもとに、意見交換が行われました。

アドバイザリーボード会議構成員

若尾 文彦

議長
国立がん研究センター
がん対策情報センターセンター長

小崎 丈太郎

議長
日経メディカル開発・編集部

高橋 都

リーダー
国立がん研究センター
がん対策情報センターがんサバイバーシップ支援部長

松下 和正

メンバー
松下産業
代表取締役社長

齋藤 朋子

メンバー
松下産業
ヒューマンリソースセンター長

小島 俊一

メンバー
元気ファクトリー
代表(明屋書店 元社長)

櫻井 公恵

メンバー
櫻井謙二商店
代表取締役社長

太田 純子

メンバー
日立製作所
アプリケーションサービス事業部
事業企画部 部長

村本 高史

メンバー
サッポロビール
人事部 プランニング・ディレクター

伊藤 道博

メンバー
アフラック
人事部 人事企画課長

金室 麗子

メンバー
アフラック
人事部 健康管理室室長

藤林 哲也

メンバー
中外製薬
人事部 人事推進グループ

功能 聡子

監修
ARUN
 

(敬称略)

意見交換会での議論と調査結果を踏まえて扱いを協議 罹患後の就労継続希望が大多数

 今回の第3回アドバイザリーボード会議は、過去2回のアドバイザリーボード会議と大企業と中小企業のそれぞれの関係者を招いて開催した意見交換会の議論や提案を、具体的にどのようにガイドブックに落とし込むのか協議する目的で開きました。

 アドバイザリーボードメンバーからは、事例を充実させ、読者の多くが自分の問題と受け取るようなスタイルを取ること、がんに罹患した社員への対策で先行した企業の事例を参考とすべきこと、諸制度の整備は、社員の意見を聞いたうえでまずできるところから着手して、その後も見直しを重ね、徐々に持続的に充実を図っていくことなどの提言がなされました。

 また、意見交換会では中小企業関係者からは、がんになったことによって業務の第一線からの社員の離脱は大きな経営問題である事実を経営幹部に訴求することの重要性を強調してほしいとの意見が出されました。一方の大企業関係者からは、大組織である分、個々の社員の声が届き難い面もあるが、折に触れて自主的に相談ができる社風の醸成や先行しているメンタル対策との融合などを要望する意見などが出されました。

 こうした意見交換会での意見を踏まえ、日経BPコンサルティングが実施したビジネスパーソンを対象にしたWEBアンケート調査と合わせてガイドブックでどのように活用するかが協議されました。

 アンケート調査では、がんになると長期入院を余儀なくされ、辞職しなければならないと誤解している回答者がまだ全体の3割にのぼることが明らかになりました。

 一方で、がんになっても現職場での就労の継続を希望する声は、中小企業従業員で71.4%、大企業従業員では87.7%に達しました。

 職場における環境づくりに関する設問では、大企業が中小企業よりも制度面で充実している傾向が認められたものの、社内での周知が十分に行われていない実態も明らかになりました。

 本プロジェクトでは、大企業編、中小企業編の分冊での発行を予定していますが、会議では、大企業と中小企業双方の調査結果をそれぞれのガイドブックに掲載することが提案され、アドバイザリーボードメンバーの了承を得ました。

血が通うガイドブックにするためにケースの積極的な紹介が必要

 ボードメンバーからは、ガイドブックの誌面全体に「がんになっても会社を辞めない、辞めさせない」というメッセージを前面に出すべきという意見が上がりました。就労人口が減少する中でがん罹患者は今後増える傾向にあります。この点をもっと積極的にアピールして、「簡単に辞めて当然」という誤解を修正するガイドブックにしてほしいとの声もあがりました。

 また、事務局が作成したガイドブック(案)が総花的という指摘もありました。あるメンバーは「削っていくことで見えてくることもある」との発言。企業経営者の関心を引くためには、今の企業経営の重要なテーマである持続可能な開発目標(SDGs)など大局的な観点も訴求すべきと指摘されました。

 通じるメッセージをガイドブックに反映させるために、実際にがん罹患者の就労をサポートしている企業のケースを積極的に紹介すべきとの提案があり、これがボードメンバーの大多数の支持を得ました。

社員からの意向を収集する企業側のスタンスの明確化

 社員ががんに罹患した場合には、社員の状況と意向を十分に聴取することが求められます。そのとき重視されるべきは、情報を収集するための目的を企業側と社員とが共有することであると指摘されました。社員からの情報収集が時として、社員の不安を煽る結果になることもありますが、そのような事態は極力回避しなければなりません。

 例えば、症状に関する情報は個人情報の最たるものであり、それをどのように扱うかは社員の意向を十分に反映することが重要であり、現行のガイドブック案では、その点に関わる配慮がもっとほしいとの声もあがりました。

 社員がどこまで情報を企業側に情報を開示すべきかは、社員自身が判断すべきであり、そこを最大限に強調してほしいとの要請もありました。そのためにも、なぜ情報を収集するのかは、「患者となった従業員の方に寄り添うため」という明確なスタンスが欠かせません。

 がんに罹患しても、不安を極力抑えて、上司や人事担当者に相談できる企業風土が大事ですし、そこがゴールといえます。ただし、それを一朝一夕に作ることは困難であり、高いハードルです。ボードメンバーからは、企業風土の重要性は分かるが、企業風土の形成をガイドブックで指摘しても読み手に訴求し難いという意見がありました。そのためにはまず、日頃からの職場での声掛けなどの習慣を形成することが重要であり、ガイドブックにも反映してほしいとの声もありました。

意識や行動の変容を促す契機に

 アンケート結果からも、がんになっても就労の継続を希望する声が大勢を占めるにも関わらず、がんという病気やその治療にはまだまだ、就労が困難になるというイメージが根強くあり、一方で社員の意思を尊重した就労継続を確保するために中小企業、大企業ともに模索段階であることも明らかになりました。

 本プロジェクトで準備しているガイドブックは、そうした企業の経営者の意識や行動の変容を促すものであってほしいという声がアドバイザリーボードメンバーから繰り返し寄せられました。

 事務局では、これらの意見を集約したガイドブック(案)を作成することを表明し、会議は終了しました。

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